【完結】MUDDY GLORY 〜泥だらけの栄光 byウマ娘プリティーダービー 作:ちありや
「ねぇナズナ、あんたずいぶんナメたレースするようになったじゃない…?」
アモ先輩の意外すぎる一言に反応できずに固まってしまう。
私はたった今レースとライブを終わらせてきた。そのどちらもふざけたり手を抜いたりした覚えは一切無い。
最後の力の一滴まで振り絞って走ってきたし、ライブだって来てくれたお客さんの為に精一杯歌って躍ってみせた。
まだレースの結果が3着だったことを咎められる方が分かりやすい。だが今日の弥生賞で私の先を行ったスメラギもセイバーも共に重賞ホルダーで、当然レースの人気も私より高い。
『勝って当然』の格下ではなく、むしろ私が
何より余程の事情が無い限り、着順について後から身内がガイガイと文句を言う文化はトレセン学園には無い。規模や格式に関わらず、レースには常に全身全霊で臨むのは競走ウマ娘の規範であり前提なのだから。
ならば何だと言うのだろうか? そもそもチームトップの実力があるのに自らGⅠロードを外れたアモ先輩に『ナメた真似』などと言われる筋合いは無いのではないか?
どうにかそこまで思考を続けて反論を口にしようとした時にアモ先輩が先制してきた。
「ナズナ、あんた《
反論の言葉が喉から出掛かって止まった。アモ先輩の言葉、私はそっくりそのまま考えていた。そして次の課題も『如何に確実に《
「心当たりがあるみたいね… ね、ナズナ聞いて」
私の感情的な反感も想定していたのだろう。アモ先輩はゆっくりと子供をたしなめる様な口調で、静かだが有無を言わせぬ圧力で私の反論を抑えた。
「あたしも《
「アモ先輩…」
「だからこそ《
「はい、分かります…」
一気にまくし立てて疲れ気味に息をつくアモ先輩に対して、私が言えた事はそれだけだった。
アモ先輩のいう言う通り、私はどこかで《
『ろくに出し方すらも分からない、不確実で下手をすると健康を害する可能性の高い裏技に頼るのは愚策以外の何物でもない』今ならはっきりそう分かる。
レースに負けて悔しい気持ちは強くある。しかしその気持ちも『走りで負けて悔しい』よりも『《
「すみませんでした… 私、ホープフルステークスで《
急に
「うん、分かってくれて嬉しいよ。最初に失礼な事を言ってゴメンね。この話はアイリス先輩からじゃなくてあたしがしないと、って思ったから…」
アモ先輩がニカッと破顔して、いつものアモ先輩に戻る。先輩後輩とは言え、トレーナーのアイリスを抜きに重要な話をするのはアモ先輩も躊躇われただろうし、私が反抗的態度で返してくる可能性も高かったのだから、アモ先輩も怖かったと思う。
「あたしは《
「アモ先輩…」
明るく話すアモ先輩だが、その決断に至るまでには多くの苦悩を飲み込んでメチャクチャ悩んだのだろうと思う。
無理だと思ったら
以前、私の前で涙ながらに「G1に勝ちたい」と語ったアモ先輩の、恐らくは多くの涙に溢れた決断は勇気ある撤退として心に留めておく必要がある。私にもいつ同種の決断を下さねばならない日が来るか分からないのだから……。
「でもそれはそれとしてナズナが《
最後の1人に大きな忖度の形跡が見られました。
「中央のトレーナー試験は東大入試より難しい」とされる中で、大学在学中にトレーナー試験をクリアしたきりさんはかなり優秀な人、のはずだ……。
「ナズナの周りでも故意か無意識か分からないけど《
「リリィ、ですかね…?」
「あ、そうなの? ならリリィの妹を使って何か聞き出せるかも知れないし、出来る事は何でもやってみようよ。あたしも《
アモ先輩の言葉が本当に嬉しい。同じ《
もしこれがアモ先輩ではなくてアイリスからの話だったら、きっと私は意味もなく反抗して更に《
恐らくはアイリスもそれを予見して、この場への同席を遠慮したのではなかろうか? だとしたらそれもそれでアイリスの
☆
後日、アモ先輩の働き掛けでチーム全員で《
ウマ娘に関する研究は現代においてかなり進んではいるものの、ウマソウルや《
一応 《
私やアモ先輩の話を当て嵌めるなら、とても同意できる話なのだが、そこから先の『それを発動させるにはどうすれば良いか?』に関しては、『精神論』や『栄養学』等々諸説あってまとまりが無かった。
もし《
《