【完結】MUDDY GLORY 〜泥だらけの栄光 byウマ娘プリティーダービー 作:ちありや
カメの衝撃的な勝利から1週間、次はコロの皐月賞トライアルである若葉ステークスが開催される。
カメが帰京してからの約1週間だが、まぁまず相変わらず鬼忙しいトレーニング&レッスンの日々であった事は既定なので、それ以外のイレギュラーなイベントをざっくり説明したいと思う。
まずフィリーズレビューでカメの見せた急加速だが、本人
「ローゼスさんが詰まっていた所から抜け出したのが見えたから、『あ、これは捲くらないとヤバい!』って思って必死で走ってただけだよ。それにその《
だそうである。チィッ、
「う〜ん、本当にアレを言葉で説明するのって凄く難しいんだよ。ゴメンねコロちゃん…」
一応私は入口だけどは言え《
「別にカメが悪いわけじゃ無いから謝らなくても良いよ。なんかいつもあたしだけ置いていかれているみたいで、それが気に入らないだけ…」
弥生賞の結果で皐月賞出場を決めた私と、フィリーズレビュー優勝で同期で重賞勝利 (しかもGⅡだ)一番乗り、かつ桜花賞への参加キップを手にしたカメ。
更には2人とも《
同期の私達やリリィを前にコロの焦りが募ってくるのは十分に理解できる。その日から口数が減っていったコロに、私は最後まで気の利いた言葉を掛けてやる事が出来なかった。
☆
もう1つ、この週のイベントとしてはナズナグレートちゃんからまたお便りが来た。最早私単体ではなくチーム〈ポラリス〉全体へのファンレターとなっている。寂しくもあり嬉しくもあり、だ。
内容は私の弥生賞敢闘への賛辞と励まし(弥生賞はテレビで見たそうだ)、カメの優勝への祝辞、メル先輩や今週末走るコロへの激励が綴られていた。
中でも目を引いたのは『こんどのファン感しゃさいにはぜったい遊びに行きます! スズシロナズナさんに会えたらいいな…』の一文だった。
その言葉に背中を押される様に、翌日私は少々緊張しながら学園の生徒会室へと足を運ぶ事になる。
「やぁ、中等部C組のスズシロナズナ君だね。私が生徒会長のトウザイブレイカーだ。宜しく頼む。何やら春ファンの企画の相談と聞いたが…?」
昨年の天皇賞 (秋)でアモ先輩を破って見事『天皇賞ウマ娘』となったトウザイブレイカーさんだ(ちなみにその後の有馬記念でも2着に入っている)。
天皇賞 (秋)後のステージで、涙目ながらもとても嬉しそうに歌っていたのが強く印象に残っている。
生徒会長なんてもっと怖い人かと思っていたから、意外と優しそうな人で安心した。
「はい、まだちょっと企画として固まってはいないのですが、やってみたい事がありまして…」
☆
さて週の最終日である土曜日、前回カメも走った阪神レース場でコロの若葉ステークスへの挑戦が行われる。
当初は私とカメに合わせる様に、同じGⅡの皐月賞トライアルである明日のスプリングステークス(1800m)が検討されたそうなのだが、長距離型のコロなら若葉ステークスの2000mの方が相性が良かろうとして変更されたらしい。
「ナズナやカメに置いていかれない様にあたしも特訓したからな! あたしの《
レース前日に府中駅まで送り出したコロは、トレーナーの源逸さんとともに元気に旅立っていった。
コロが《
「コロちゃんかなり無理してたみたいだけど大丈夫かな…?」
カメもコロに関して私と近い感想の様だ。私も《
《
「ナズナはあたしが強くなると困るからそういう事を言うんだろ? あたしの邪魔をしないでくれ」
と、取り付く島も無かった。《
「まぁ今回のコロも先週のナズナと同じだよ。あたしの言葉も届かなかったからねぇ…」
テレビの前でアモ先輩もボソリと呟く。アモ先輩も姉弟子として何とかコロの目を覚まさせてやろうとしたらしいのだが、コロの対応は私と同様にけんもほろろだったそうだ。
「前回のナズナ同様にトライアル条件の2着までに入ってくれれば、皐月賞へは出られるから頑張って欲しいんだけど…」
そして私達の期待は裏切られ、予想は当たる事となる。
この日、コロのレース結果は12着と惨敗、彼女の皐月賞への挑戦はここで幕を閉じる事になった……。