変身とメビウスの輪   作:スカルT

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本当は前書きにして、本文で()()()を始めるつもりだったのですが、長くなってしまったので一話増えます


第二層:243次からの休暇、或いは五体機械捜索記

『と言っても、やっぱり怖いヨな』

 

彼女は目を見開いた。今までに遭遇した無言で襲いかかって来る機械生命体と異なり、目の前に居る、手脚が()()()()()奇妙な小型個体は流暢に喋ったからだ。しかし驚く暇も無かった。もはや今の彼女にとって全てが不気味でしかなかったからだ。彼が何を考えているのか、何故壊れかけの自分を気に掛けているのかさっぱり分からなかった。

 

『時間が惜しい。本来なら君の意思を確認すべきだが…済まない、少し手荒な真似になってしまうことを許してくれ』

 

そう言うと彼は白い布のようなものを取り出し、素早く彼女の視界を塞いだ。其は色が違えどヨルハ部隊隊員が身につけている戦闘用ゴーグル(見ざるの目隠し)と同様のものだった。気付いた彼女は混乱し暴れようとするが、身体は全く動かなかった。

 

『暫くの辛抱だ。今はどうかゆっくり眠っていて欲しい』

 

意識が途切れる瞬間、それが彼女の聞いた最後の言葉であった…

 

 

◇◇◇

 

 

『よいしょッ、ト』

 

圧電素子を加工したハイテク感圧シートを全て回収し、応急処置を終えた11Bを台車に載せ、彼…小型改造個体であるカフカは一息付いた。あと少し遅かったらどうなっていたものかと安堵する。

 

『黒にしなくて良かったな。いや、関係ないか…』

 

彼が11Bにした目隠し。それは、身に付けたアンドロイドをスリープモードに移行させるプログラムがインストールされている強制睡眠装置であった。論理ウイルス抑制の緊急手段として開発された代物である。黒だとまんまヨルハ部隊隊員のするゴーグルなので、恐怖に陥った脱走兵である彼女をより刺激させる恐れがあった。そこで白色のものを使ったという訳だ。とはいえ、あまり変わらなかったようだが。

 

『さて、そろそろ帰ってさっさとしよう…』

 

台車を押してカフカが踵を返そうとしたその時だった。

 

『うん?秘匿回線から連絡だ。彼方でも収穫があったらしい。もしもし、こちらコードネームK、貴殿の名を告げよ』

[こちらコードネームC、()()Y()を一人見つけ保護した(連れ去った)()()()()()を巻いてスリープモードに移行させ、コードネームNに応急処置を施させたところだ]

 

秘匿回線に通信を入れてきたのは、別動隊であるカフカの仲間からだった。

 

『良くやったC。その一体以外は発見出来なかったのか?』

[見当たらなかった、恐らく奥深く沈んでしまったと思われる]

『分かった。一体だけでも良くやってくれた。くれぐれも気を付けて』

[そっちも見つかったみたいだな]

『御前たちに比べりゃ確実な賭けだっただけだ。寧ろ一体も見つからなかったかもしれないそっちの強運に感謝だよ。空振りに終わるかもしれないことを押しつけて済まないな』

[良いって事よ、一体でも見つかっただけ儲けもんさ。取り敢えず切るぞ]

『おう…あ、そうだ』

 

連絡し合い、秘匿回線をそのまま切ろうとした時、カフカはふと何か良くない予感がした。

 

[なんだよ]

『…因みに、救助したやつの型番は?』

[ちょっと待てよ…。どれどれ…この子は■■というらしいが…どうした?]

 

それを聞いた彼は良くない予感が確信に変わったのを感じた。

 

『…マジカ…マジカぁ』

[そんなにヤバいのか?ひょっとして、見つけない方が良かったのか…?]

『いや、例の五人の中で見つけない方が良かったやつなんて絶対居ないから安心してくれ』

[お、おう…そうか、それなら良いんだが。…どういう意味でヤバいんだ?]

『強いて一言言うなら…オレが救助したやつと()()()()()()()()ということだ』

[おい!組み合わせが最悪ってどういうことだ!大丈夫なのかよそれ!]

『オレが何とかする!取り敢えず後で説明するぞ!御前の名前、()()()()()()()()()()だろ!その名を名乗るんだったらドシッと構えてろ!』

[ああ、済まねぇナ!情けねぇ部分見せちまった、分かったゼ…!]

『それでこそ()()()()()を名乗る御前だ、待ってろ!』

 

秘匿回線を切り、彼は空を仰いだ。

 

『と、オレも思わず啖呵を切ってしまったが…ああ、困ったことになったな。…いけないいけない、折角救助したのに放っておいてしまったら全部泡になる。待ってろ、治してやるからな』

 

気を取り直してカフカは台車を大急ぎで押していくのであった…

 

 

◆◆◆

 

 

『はぁ、本当良く見つかったよねぇ』

 

所変わって()()()。カフカの仲間達四機の機械生命体は()()()の中に居た。

 

『一体見つかっただけでも上出来ダゼ。なんせ沈んだアンドロイド、それも最新型のヨルハ機体を探せっていうんだゼ?そりゃあ空振りに終わるかもしれないと分かっていても価値はあるッ!』

 

船の舵を取る個体が一機。

 

『見ツカルモンナン()()ナァ…』

 

何処か訛っている個体が一機。

 

『そういえば先程、秘匿回線でカフカ氏が言っていたことでござるが』

 

忍者らしい?口調で話す個体が一機。その個体が、救助したヨルハ機体を眺めて言う。

 

『ん?』

『カフカ氏が救助した機体と某たちが救助した機体だと()()()()()()()()だ…ってどういうことなんでやんすかねぇ、()()?』

 

船長と云われた船の舵を取る個体が答えた。

 

『オレにも分かんねぇ。ただ、カフカの野郎は知っているんだろうな』

『ほーう…()()()氏。ナイル氏は何か分からないでござるか?』

 

()()を呼ばれた眼鏡風の装飾を付けた一機がクイッと装飾を上げて答える。

 

『うーん…情報が少ないからあまり分からないけど…確か作戦会議で、Mr.カフカが救助する11Bはヨルハ部隊の脱走兵だって言ってなかったか?』

『ほうほう、そういえばカフカ氏そんなことを言ってましたな…はっ、まさかまさか…』

 

機械生命体な彼等は直ぐある結論に至った。

 

『うん…Mr.カフカが言いたかったのは、そういうことだと思う』

『万ガ一二備エテ、気ヲ引キ締メテ行クべ…!』

『そうか…カフカ氏…無茶を云いますなぁ…』

『…まずは帰還する。問題はそれからだ。このヨルハも…治さないとな』

 

各々の決意、そして11Bと同じく白い目隠し(強制睡眠装置)をされたヨルハ機体を見ていた()()は前へ向き直り、彼等の秘密基地へ向けて潜水艦のエンジンを強く噴射させた。

 

彼等はカフカの仲間である。それぞれの思いを抱えながらも、彼等はカフカと同じ道を行く。

全ては、ターミナル(イカれ野郎)を打倒し盤面の駒を進めるために。

 




さて、船長とは一体誰の名前なのか?そして()()()とは?勘の良い人なら分かるかもしれませんね

カフカがレスキューした11Bと、その仲間がレスキューしたヨルハ…()()()()()()()()ということらしいですが…もしこの局面を乗り越えることが出来たならば、彼等にとってより心強い存在になることは間違いないでしょう。
もうそのヨルハの型番がお分かりの人は多いと思います。サブタイもまた分かることでしょう。解決編はまた次回。
作者でした。
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