変身とメビウスの輪   作:スカルT

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歓迎会ならぬ歓迎回です
なかなか難儀致しました

お久しぶりです
生きてます

お待たせしました


第六層:何者(後)

「うーん……」

 

 最近凶暴な機械生命体が多く出現しているから調査をして欲しい、と

 レジスタンスキャンプのリーダー・アネモネから依頼され、砂漠地帯へ向かう2Bと9Sだったが……

 

「9S、どうしたの?」

 

 何処か上の空で静止していた9Sを見かね、2Bが話し掛けた。

 

「あっ……例の回復部屋と地下浴場についてつい、考えてしまって」

「何を?」

「まず、そもそもどうして提供したのか……機械生命体にとってアンドロイドは敵な筈なのに、提供者に利点がありません。日頃の感謝、というなら別かもしれませんが……それにしては釣り合いが取れていません。むしろぶっ壊れています。もしレジスタンスを裏切るつもりなら、こんな手の込んだことをする必要はありません。時が来たら自爆型とかの爆弾を送り込むなり、論理ウィルスを拡散させるなり攻め込むなりすれば良い筈です」

「確かに」

「それに、多分彼処のレジスタンスキャンプにしか無さそうですし……他のキャンプのレジスタンスに情報が知れ渡ったら暴動が起きる可能性もあります」

「暴動?」

「一種の娯楽や技術を独占しているようなものですからね……自分たちの所にも置いてくれ、使いたいから武力行使で占拠するとか……提供者が機械生命体だと知ったら尚更。其処の所も気になりますね……それに排気の問題もありますから」

「9S、今は調査中。余計なことを考えない。この調査が終わったらリーダーのアネモネに聞けば良い。今は調査のことだけを考えて」

 

 このままでは任務に支障が出ると懸念した2Bが9Sをたしなめた。

 

「はーい……」

 

 少し気落ちした9Sだったが、確かにその通りなので気を引き締めるのであった……

 


 

『こっちだ』

 

 ポポルに腕を引っ張られ、先導するカフカに通路を進んで行った11Bの目に映ったのは

 床の畳、そして襖と旧世界の和室を模した大広間であった。

 

『おっ、どうやら終わったようだな』

「おーい」

 

 そこにはカフカ以外の仲間の機械生命体とデボル、そして部隊の命令には従わないと啖呵を切ったものの、やはり気まずいのか俯く7Eの姿があった。

 そしてカフカが皆の前に立つ。

 

『これで全員揃ったな、始めるとしよう。7E、11B……前へ来て欲しい』

 

 一体何が始まるのだろうと身構える二機だったが、言われるままに揃って座った。

 

『まずは……死を免れ君たちがここまで何とか無事に来られたことに感謝する』

 

 意外な言葉に何を今更、と微笑む7Eと11B。

 

「ううん……感謝しなきゃいけないのは私の方。きっとあのままだったらウイルス汚染で死んでいただろうし。何もメリットが無いのに、助けてくれた……」

「私たちをここの一員にして動かせるメンバーを増やす。それがメリットでしょう? 外れ者になった以上、他に行くところ無いし」

『さて、勝手に助けておいてくどいと思うかもしれないが……だからこそ聞く必要がある。

 行動中の安全は保障出来ない。危険な橋を渡るだろう。部隊とも対立するかもしれない。何より……もしかしたら免れた死よりも酷かったり、呆気ない死に方をするかもしれない。我等と共にするということはそれ相応のリスクが付きまとう。それでも……君たちは我等の同志になることを望むか?』

 

 とうに二機は腹を決めていた。逃亡か残留、どちらの選択をとるかは明白だった。

 

「勿論、最初から部隊から出ようと行動してたし……仲間が居るのは心強いよ。何でも……じゃないけど、出来ることはやってみせる」

「当然よ、貴方たちに付いていく方が何かと良さそうだし……」

『決まりだな……よし、これを』

 

 カフカは紙を取り出し、それぞれ二機に差し出した。

 

「これは?」

『簡易的な契約書だ。かつて人間が取り扱っていたそれとは違い……形式的なものになっているが』

 

 その紙には「労働条件通知書兼雇用契約書」と記されていた。

 

『一応会社の体裁をしておこうと思ってな……ルールはそれに書いてある。後でじっくりと読み返しておくと良い』

「契約書……人類記録のアーカイヴで見たことがあるけど、()()()()・必要に応じて要相談ってあるわね」

「ブラック企業……ってこと!?」

『ここにおいて貨幣は必要ない、ということだ。人件費が無い代わりに、家賃・食費・光熱費・メンテナンス……その他諸々の費用がタダ……自分で言うのもなんだが……これ程良い環境は無いと思うぞ。ただ会社が文字通り家という欠点があるし、材料は有限だから自給自足だがな』

「どうして会社が家だとダメなの?」

『自分一人の空間と時間が得られないからだな、人間にとって一人の時間は大事だった。アットホームとか謳っておいていざ入ると実態は真っ黒……というのは珍しくないことだったらしい」

「そうなのね……」

「まぁ、もし費用が必要になったら言っておくれよ。使用用途は都度書いてもらうが、無理の無い分は捻出しよう……さて、戻って良いぞ」

 

 カフカは二機を下がらせる。

 

「そろそろ行こうか……皆改めて紹介しよう! 今日から我等の同志となる7Eと11Bだ! 

 そしてうちのイカレたメンバーを紹介するぜ! 

 操縦はお手のもの、()()改めキャプテン・ネモ! 

 冷静沈着、()()サン! 

 ヒーラー兼研究者、()()()ナイル! 

 目指すは「 」のその先、()()ミヤモトムサシ! 

 そして君たちと同じアンドロイドの脱走兵たち! 

 そして最古参の同志、骸骨頭のエミール! 

 双子のデボル・ポポル! 以上だ!!!』

 

『船長はオレだ! 機械操作は任セロ!』

『宜しくお願いするよ』

『……メンテナンスのことなら言ってくれ』

『改めて宜しくでござるよ! お二方!』

「骸骨頭って確かにその通りですけど!!! ……まぁ、宜しくお願いしますね」

 

「船長? 踊り子???」

「骸……骨?」

 

 突拍子もないメンバー紹介に、二人の新参者はただただ困惑するのであった……

 

 


 

 

 ??? 

 

 

 ■■■■■

 ■■■■

 ■■■

 ■■

 ■

 

 

【遂にやるんだね】

【遂にやるんだよォ】

 

 何時かの時間、何処かの場所でヒソヒソと話し込むモノ達が居タ。

 

【楽しみだなぁ】

【楽しみだねぇ】

 

【でも()()()()()()良いの?】

【増やしちゃって良いの!】

 

【あはは、確かに()()()()()と楽しくないよねぇ】

【あはは、変化が無いと楽しくないよォ】

 

()()()()()()()()使わないとォ】

【折角あるんだから使わないとねェ】

 

【あはははは!!!】

【あはははは!!!】

 

 狂ッタように、その者タチハ嗤ウ。

 

【それじゃあ】

【それじゃあ】

 

【行ってらっしゃい】

【行ってらっしゃ~い】

 

 その者タチハ、()()()()()……送別の言葉を送ッタ。

 

 今し方動き出し、自分たちから遠ざかっていく()()()()()()に向けて────―

 

 

 □

 □□

 □□□

 □□□□

 □□□□□

 

 

 〔ワタシノ、カラッポ……ウメルモノ、サガス。

 キット……キット、アルハズ……ダカラ。

 ワタシガ『何者』ナノカ……シルタメニ〕

 

()()()()()()はゆっくりと外へ向かっていった。

 

どくん、どくん。 どくん、どくん。

 

 まるで、生き物のように胎動しながら────―




・9Sの懸念について
治療機材は兎も角…銭湯の問題の極め付けは浴場から排出された湯気が狼煙の役割を果たしてしまい、居場所がバレるという洒落にならないこと
(でもとっくにバレてるんだろうネ!(イヴ戦の直前一目散にレジキャンを襲ったゾンビ機械生命体の件)
そもそもバンカーの情報筒抜けだったし!)
独占の問題:資材問題は何処のレジスタンスも同じ(アネモネ陣営のレジスタンスしか描写されなかったが他の陣営のレジスタンスも多分居ると思う)
だというのにどうして御前たちだけ良い思いしてるんだ!!!と知られたら最悪攻め込まれかねない。更にそれが機械生命体との取引によるものだとしたら尚更である(裏切り者と思われかねない)。そのためバレないように銭湯は不定期開催にして、なるべく他のレジスタンスの使者が来ない日にしている。
幸い、その使者はあまり来ないということだが…

・ロボレジスタンス
略してロボレジ。
機械生命体のネームドは本来実存主義に関連する思想家たちの名前を名乗っているが
『その定義については皆考えているから他のことを考えよう』と、時代を逆行するように空想へ走った異端児たち。今作オリ主であるカフカによって結成された。

・カフカから11Bと7Eへの最終確認
くどいと思われるかも知れないがやはりやっておきたかった。

・労働条件通知書兼雇用契約書(ロボレジ仕様)
人間がかつて使っていたものを真似た。
通貨概念はあまり無い方が良いという方針で賃金無し若しくは現物支給という形を執っている。無賃金なためブラックに思われがちだが、家賃・メンテナンス等諸々の費用が無いためホワイト。ロボレジが溜め込んだ資源が尽きない限りは安泰だと云う。

・イカレたメンバーを紹介するぜ!
後悔はしていない。

キャプテン・ネモ…船長と呼ばれる機械生命体。ビークルが好き。船はもっと好き。

サン…自称旅人の機械生命体。ロボレジに入る前は世界中を回っていたという。

ナイル…ヒーラー&スキャナー担当の機械生命体。訳あって()()()()()を名乗っている。

ミヤモトムサシ…某ソシャゲ等と同じく女性…という自称剣豪の機械生命体。
自称剣豪なのに何故か忍者言葉を使う。
二刀流(二天一流)の使い手…らしい。
ロボレジに入る前は放浪の旅をしていた…とのこと。
時折何故か「()()()()…」と自分の在り方に疑問を感じるらしい。

・ヒソヒソと話し込むモノ達
誰なんだろうね?ダレナンダロウネェ…アーワカラナイナァ(((

・白いキューブ
何だろうね?ナンダロウネェ…(ry

という訳で各々による自己紹介+αの回でした。
ゲーム本編とは何が変わったのか、これから色々表現していく予定です

オートマタのアニメ化が決定し、リィンカネパッチ(物語の修復)が適用されそうで
設定が矛盾しないかヒヤヒヤしていますが、その時はその時でぼちぼちやって行こうと思います

お話が長引いてしまいがちだとは思っていますが…考え直した結果、一話辺りの文字数が多すぎてもそれはそれで長いので、このまま維持して行こうと思っております。
筆が乗れば文字数増えるかもしれませんが、それはそれで。

マテリアル回は先延ばしです。楽しみにしていたらごめんなさい。
更新は亀ですが
それでも宜しければ幸いです

後書きは設定の他、ちょっとした考察も入れていくので苦手で無ければ是非

次回・次々回、幕間 表/裏 の二部構成で御送り致します
お楽しみに

以上、作者でした。

追記:回復部屋と銭湯、資材提供者の説明は前々回の第四層:何者(前)の後書きに移動させました
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