ホロライブオルタナティブ@upside down   作:風木守人

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1.オンラインゲーム【オルタナティブ】

 オンラインゲーム【オルタナティブ】。

 アイドル事務所にして動画配信を主な事業にしている“ホロライブ”が作成したとある動画が反響を呼び、有志によって製作されたオンラインゲーム(オンライン要素は未実装・実装未定)であり、そのテストプレイ動画のクオリティが異常に高かったため、ホロライブメンバーの中でも一時期話題に上がっていた。

 

 そして、その製作者がどうやらホロライブの熱心なファンであったようで、正式リリースの数日前に、ゲームのデータが事務所へと送られてきた。

 その際、メッセージには、

 

「拙作、【オルタナティブ】は貴社のアイドルに感銘を受けた有志によって作成された作品です。彼女たちに敬意を表し、正式リリース前に献上いたします。お楽しみいただければ幸いです。

 それでは、貴社と所属アイドル方々の今後のより一層のご発展を心より祈念申し上げ、結びとさせていただきます。

 有志団体 K」

 

 と書かれており、簡単に言うと「ホロライブのファンが作ったゲームだから正式な配布前にあげるね。これからも活動を応援してます。ファンより」といった内容だった。

 

 そのため、メンバーたちの間で正式リリース前でも許可が取れ、プレイ動画を上げようという流れになり、賛同した者たちで同時にライブ配信を行ったのだ。

 天音かなたや、大神ミオもそうであるし他のホロライブメンバーもこのゲームのプレイ動画をライブ配信しようとしていた。

 

「ラミィ、どんなポジションなんだろ! ししろんやろうよぉ!」

「ちょ、FPS(主に銃を打ち合うタイプのゲーム)以外は自信ないし!」

 

 雪の国の令嬢とつよつよライオンはそんな事を話し、

 

「スバルには、ファンタジー要素ねぇからなぁ」

「船長はちゃんと船に乗ってるよね、君たち?」

 

 愚痴るアヒルと恐る恐るといった様子の海賊船船長は顔を見合わせ、

 

「ファンタジー世界でもみこはえりーとなんだにぇ!」

「ふぁふぁふぁ……あんたたち、日よってんじゃねぇぺこよ!」

 

 Luck値にいささかの不安を感じる巫女と兎が煽り合い、

 

「これは刀が使えるタイプの白上だね「……みたいだなぁオイ」」

「……そうのようだなフブキ先輩(YABE! 余、何も聞いとらんかった……)」

 

 白黒狐と二刀の鬼が意思疎通を誤った。

 その他にも、ホロライブメンバーを刺激する要素が満載で、皆が楽しみにしていた。

 

 さて、このゲームの名は【オルタナティブ】。

 日本語に直すと代替品だ。

 

 それは、公式に比べれば児戯に等しいくだらないお遊びという謙遜なのか。

 それとも――

 

 

 

 ――お前の代わり等、いくらでもいるという意味なのか。

 

 

 

 §

 

 

 

「天音ちゃありがとうなのら~」

「気にしなくていいよルーナ。それより、僕たちどこに来たんだろ。【オルタナティブ】のゲーム配信をしていたはずだったんだけど」

「分からないのら~。ルーナもゲームを起動したあたりで記憶が飛んで、気づいたら落ちてたのら~」

 

 コメディ漫画のように頭から地面に突っ込んだ少女を何とか引っ張り出したかなたは、相手が自分の友人であることをようやく確認した。

 ピンク色の長髪に、同色を基調としたドレスを身にまとった彼女は姫森ルーナ。天音かなたと同期のアイドルで、お菓子の国から来たお姫様だ。実際、彼女の愛くるしい表情や独特な口調から、事務所の皆にお姫様のように愛されている。

 いわゆるオッドアイで、夜明けの空のような薄明るい紫色と、春に芽吹いた若葉のような淡い緑色の双眸は、現在、考え事をしているためかやや上を向いている。

 

「ここはゲームの中なのら~? でも、お菓子の国に帰る時みたいな、ぎゅーんってした感じもしたのら~」

「さすがに今の技術でここまでリアルなゲームはないと思うんだけど……お菓子の国に僕ごと転移したとか?」

「それにしては、お菓子がねぇのら! 爺やがいねぇのら!」

「ああ、確かに」

 

 見渡す限り、草、木、花、ゴリラ、岩、空、雲。

 

「……」

「……」

 

 ……視線を戻そう。

 雲、空、岩、ゴリラ、花、木、草。

 

「……」

「……」

 

 二度見するルーナとかなた。

 

「天音ちゃの本体なのら?」

「ちゃうわ!!」

「確かに、あのゴリラは頭に手裏剣ねぇな」

「確かにあったら僕に見えるけども!」

 

 びしっと突っ込むかなた。

 ちなみに、かなたはテンションが上がり目で突っ込む時、何故か関西弁になる。

 しかし、その鋭い動きが目を引いたのか、巨大なゴリラのような何かが胸元を叩きながら咆哮を上げた。

 

「ゴァアアアアアァァアァァァァ!!」

 

 漆黒のゴツゴツとした肌を青白い毛皮が覆っている。声を聴くだけで、それがおおよそ人間の倒せる相手ではないことが分かった。トラックを素手で止められないように、いくら握力が強い天使でも、勝てない。

 

「あちゃぁ……僕以上に握力がありそう。負けた」

「そういう問題じゃねぇのら!!」

 

 少なくとも、ボケとツッコミが逆転する程度には二人とも困惑していたようだ。

 

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