ホロライブオルタナティブ@upside down 作:風木守人
「酷い目にあったにぇ!」
プンスカと怒っているピンク髪の巫女さん、さくらみこは台風中継のアナウンサーが持ってるビニール傘のように、主に上方向に目を泳がせるウサミミ少女、兎田ぺこらに近づきながら「みこ怒ってんにぇ!」と全身で訴えていた。
「だからごめんって言ってるぺこ!」
一方、初めは謝っていたぺこらも、みこの機嫌がなかなか直らないせいか逆ギレモードに突入していた。
「ぺこーらの【封閃】は一部オートで動くスキルだから、悪気はなかったぺこよ!」
「ほんとにぇ?」
ジト目で疑うみこは、突然ふふんと不敵に笑うと、すぐにビックリするように二、三度瞬きをした。表情の変化速度が早すぎる。
「……ほんとだにぇ」
「なに自己完結してるぺこ?」
ぺこらがよく見ると普段黄緑色に近いみこの瞳が少し光を放っているのが分かった。
「みこ、こっちにきてなんか色々見えるようになったにぇ。パッシブスキル【てんちゅがん】って言うらしいにぇ」
なお、正確には【
そんな
「ぺこーら達一体どこにきたぺこよ?」
「にぇ〜? 不思議〜」
「
正確には歩いているのは背の低い馬くらいの大きさの【封閃】なのだが、みこは初めて乗る生き物に最初は内心びびっていたものの、今ではすごくはしゃいでいる。
「うさだー! これすごいにぇ!」
さっきまでご機嫌ナナメだったのが嘘のようである。
ぺこらもぺこらで楽しそうなみこを見て笑みを抑えきれずにいる。なんだかんだ似たもの同士というか、単純なのである。
「みこ先輩のスキルもすごいぺこ」
ぺこらが言うように、【パッシブスキル:天智眼】はバグった性能を持っているのだが、二人(主に持ち主)はその事実を正しく認識していない。
「ぺこーらの【封閃】が、まさか相手の攻撃も封じ込めて投げ返せるなんて思わなかったぺこ!」
この世界のアイテムやスキルのシステムは不親切で、名前くらいしかメニュー画面は表示してくれない。それ以上を知るには、修練と試行錯誤の繰り返しの気づきを重ねていくか、目に関するパッシブスキルが必要だ。
獅白ボタンが使い勝手悪そうにしている、スキルやアイテムの効果を見抜く【明鏡止水の瞳】、宝鐘マリンが持つアイテムの価値を見抜き価値に応じて出し入れする【禁価眼】。
そしてさくらみこの目に宿る圧倒的なバグスキル【天智眼】。
無論、これ以外にも大神ミオの持つパッシブスキルのように、目から見た視界に何らかの効果を付与するように見えるスキルはあれど、この世界で生まれた【魔眼】とでも呼ぶべきスキルはこの三つだけだ。
事実、みこは情報が多すぎて兎田ぺこらへスキルの使い方だけを簡明に教えたが、彼女の【天智眼】にはこんな風に【封閃】が見えていた。
【アクティブスキル:封閃。……アクセス……許可します……封閃は自身の肉体で作った隙間に何かを押し込めるスキルです。
相手の攻撃を包み取って無効化して返すカウンターは非常に燃費が良く、受けた攻撃属性によって自身の眷属【地を這う者ども】【陽を翳す者ども】【津に潜む者ども】などを使役可能です。【者ども】の固有能力は別表を参照してください。
使役された【者ども】は全て自爆スキルを持ち、攻撃を受けた時点で保有するエネルギーを任意の対象に放出します。
このスキルはかつて【魔人:
なお、【天智眼】を顕現させた【魔人:
と、明らかに重要な情報が飛び交っていたが、みこちなので深く考えていなかった。とりあえず話が長いので無視する自前のスキル「わかった!(わかってない)」を発動している。
なお、可愛い以外デメリットしかないスキルである。
可愛いからいいけど。