ホロライブオルタナティブ@upside down   作:風木守人

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23.黒いなぁ……

 金髪の天使と銀髪の鬼の刀が目にも止まらぬ速さと言うか、空中で千切りや微塵切りが出来そうな速度で振り下ろされる。

 しかし、白黒獣耳コンビの反応速度と対応能力は異常で、互角に近い戦いが続いていた。

 

「きゃはっ⭐︎ やるねぇ!」

「楽しんどる場合じゃないぞ!?」

「うぅ、でも白い方は愛刀持ちだよチクショウ……」

「悲しんどる場合でもないんだぞ!?」

「黒い子は殴るタイプかぁ」

「DVの告発みたいに言わんでくれ余!」

 

 テンションの躁鬱(アゲサゲ)が激しいカタナに突っ込む余裕を見せるあやめだったが、実際はそれほど余裕があるわけではない。むしろ相方が落ちるとあやめも詰むために、必死で声をかけているのである。

 

(さすがはゲーマーズの二人。阿吽の呼吸だな)

 

 と、納得しかけたあやめはわずかな違和感に気がつく。

 

(いや、そもそもフブキちゃんの立ち回り方は一体……)

 

 そう、これまでミオの未来を見ているかのような動きに気を取られ、フブキの異常な立ち回りに今まで気がつかなかったのだ。

 

 ミオが攻撃しようとするとなぜか間にフブキがいる。

 あやめを追撃しようとしたタイミングでフブキが大振りの一撃を割り込んで回避される。

 下がるミオをカバーしようとして時折つまづいて「にゃぁっ?!」と鳴きながらこける。

 

(そうだ、逆なんだミオちゃんの思惑と……!?)

 

 ほんの一瞬だけ、支配された白上フブキの動作を邪魔するナニカがいる。

 そのナニカは必死で支配されたフブキの行動を止めようとしている。

 

(そもそも、余を支配した人間様たちは……)

 

 それぞれ、他者を支配するスキルを持っていて。

 

(【名前】?)

 

 フブキを縛るソレ。

 

 

 

「まさか、()上フブキちゃん?」

 

 

 

 ソレが名前で縛るなら。

 ナニカはその名を覆す事で顕現する。

 

 白上フブキの雪のような白髪が、まるで月蝕のように端から黒く染まっていく。しかし、それは不気味ではなく、不思議と光と影のようなーープラスとマイナスではないーーただの“変質”であると理解できた。

 白と青を基調にした和装は少しはだけて、黒と赤に塗りつぶされ、鋭い眼光は赫赫とまばゆくーー深紅に鮮やかに輝いている。

 

 

 

「あぁん? どうやら、ようやく外に出れたらしいなぁ、おい?」

 

 

 

 ミオと同じ黒髪ながら、真っ直ぐで烏の濡れた羽のようなーー黒真珠のように深い黒みは彼女の清楚さより、かえって奔放な気質を表すように風にたなびいていた。

 手に持つ刀のこしらえや装飾も白黒が反転したようになっていて、そもそも刀身が真っ黒だ。

 

「おい、あやめ! 長くは持たねぇ! ミオを止めんぞ!」

「! わかったぞ!」

 

 突然の変貌に警戒しているカタナを置いて、あやめはミオに肉薄するや、持てる全力で刀を振り下ろした。

 本来、横に斬り払った方が攻撃範囲が広いのだが、振り下ろした方が重く、速い。

 

「きゃはっ⭐︎ なんだかわからないけど協力するね」

 

 あやめの振り下ろしのさらに上から、跳躍力と飛翔力を合わせて跳んだカタナが、落雷のように真下に白銀の刀身を薙ぎ払う。

 ここまでなら、ミオは回避できたのだが、

 

「悪いな、ミオ」

 

 その背後から、白黒を反転(upsidedown)させたキツネは、容赦なくその刀の柄頭で脳天をぶん殴った。

 

「うぅ、地味に痛いヤツだ……」

「鍛錬の時にパパ百鬼にやられた余……」

 

 何らかのトラウマを刺激された金髪と銀髪は割とガクブルしながら黒上フブキを心の中でクロ様と呼んだそうな。

 なお、ミオは完全に気を失ってちょっと泡を吹いて痙攣してるような気がするが、ホログラ時空ならすぐ回復するはずなのであやめは何も見なかったことにした。

 

「おい、あやめ」

 

 何かを続けようとした黒上だったが、限界が来たのか苦しみ始めた。少しずつ、彼女の黒髪が白く染まっていく。

 

「チッ……白いのを、頼んだぞ」

 

 それだけ言うと拳を握り、

 

「寝てろ!」

 

 自分の顔面を思い切り殴りつけてセルフログアウト(おつこん)した。

 ちなみに、のちに判明した事だが、ちゃんと白いの(・・・)になった瞬間を狙ったようで、痛みを感じたのは白いのだったと言う。

 

「ふ、ふくく、白いの? お前の額、なんだか“赤いなぁ”」

「む、このタンコブはクロちゃんのせいなんですけどっ!?」

 

 

 

 

 

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