ホロライブオルタナティブ@upside down   作:風木守人

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6.世界観とか大前提とかを色々無視する事にしたブチギレししろん。

 獅白ぼたんはローブ男の要求に従って、【アイテム】に収納した武器を捨てる事にした。

 

「マジで全部?」

「そうだ! この女の命がおしかったらな!」

「……」

 

 ぼたんの周囲に銃器や兵器が吐き出されていった。

 ハンドガン、手りゅう弾、コンバットナイフ、アサルトライフル、スナイパーライフル、サブマシンガン、アンチマテリアルライフル……、

 

「ははは、このあたりが切り札だったのかな?」

 

 クレイモア地雷、グレネード、テイザーガン、スペツナズナイフ、対戦車地雷、パンツァーファウスト……、

 

「お、おい?」

 

 アハトアハト、[自主規制]、 [近未来兵器]、[corrected]……。

 

「……ちょっと待て」

「うーん?」

 

 アクティブスキル銃器精製で【アイテム】に突っ込んだものを出し切ったぼたんは、手足のストレッチをしながらのんびりとローブ男に笑顔を向けた。

 

「お前……なんだこれは」

「うん? スキルで作った兵器を全部捨てたんだけど?」

 

 一仕事したわー、と言いたげな様子の獅白ぼたんに、若干引いた表情のローブ男だったが、人質がいることを思い出したのかその表情に動揺が走ったのはわずかな時間だった。

 そのはずだった。

 

「いやー、でもこのスキルって使いにくいね」

「!!?」

 

 刹那、獅白ぼたんの声が背後から聞こえた。

 男の視界から彼女が消えたのとほぼ同時の事である。

 

「スキルで生み出した兵器の重さは、【アイテム】に入っていても、どうやら私自身に反映されるっぽいんだよねー」

「な、なんっ……」

 

 雪原に無造作に転がる黒鉄の兵器。冷たい砲塔や銃身、爆発や閃光などによる殺傷能力を秘めたそれらの数は、おそらく百を超えている。

 一体、何トンの負荷が彼女にかかっていたというのか。

 

「君の勘違いはたったの一つだよ」

 

 ローブ男は振り返ったはずなのに、既に獅白ぼたんはそこに居なかった。

 既に視界から消えている。

 

「私はスキルを使った方が……多分、弱い」

「!!?」

 

 ローブ男の視界が反転した。

 殴られたのだと気が付く前に、雪が降り積もった地面に茶色い線を描きながら転がされていた。

 

「そして、敗因はたった一つ」

 

 百獣の王たる獅子に鬼ごっこを挑んだ愚を、ローブ男はその時ようやく思い知る。

 

「てめーはラミィを傷つけた」

 

 

 

 §

 

 

 

「ねえ、ししろん! いい加減機嫌直してよぉ……」

「ぐすっ……別に怒ってないし」

 

 何故か不思議と目が赤い事を努めて無視しながら、ラミィは早歩きするぼたんの横に並んだ。額に浮かんでいた禍々しい紋章は既に消えており、彼女らしい快活な笑顔は幾ばくか、ぼたんの陰鬱とした気分を払拭した。

 

「ちょっと、ラミィの雪が目と鼻に入っただけだから」

「途中から覚えてないけど、ししろんかっこよかったよ!」

 

 実はぼたん、ローブ男を再起不能にした後、秒でラミィの上半身を抱きかかえたのだが、全く反応しない彼女に最悪の事態を想像し、大泣きしてしまったのだ。

 しかも、その声で起きたラミィにばっちりその泣き顔を見られてしまっており……。

 

 つまり、とても恥ずかしかったのだ。

 

「“ねぇ、起きてよ……お願いだから……”」

「ぐふっ」

 

 ラミィ渾身の獅白ぼたんの声マネ。

 ししろんのライフはもうゼロだ!

 

「“なんでも、なんでもいう事聞くから、ねぇ!”」

「それは言ってない!」

「えぇー」

「えぇー、じゃない!」

 

 等々と、ラミィと軽口を交わし合って落ち着いたぼたんは、そういえばとラミィにこの世界に来た時の事を尋ねる。

 

「ラミィも空から落ちてきた感じ?」

「うん、途中でルーナ先輩が「んなぁぁぁあああ!!」って言いながら遠くに落ちてってたよ」

「そっかー」

「ししろんは?」

「うん、私は……」

 

 この世界に来た時の事を回想したぼたんは、ローブ男に仲間がいることに戦慄する。

 そして、“鬼”ごっこという言葉から、この世界で初めに顔を合わせた先輩の実力を思い起こし、冷や汗と苦笑いを浮かべた。

 

 

 

(あ、やっべ。あの先輩が敵に回ったら勝てないかも……)

 

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