遊戯王ARC-V 黒竜を従えしデュエリスト   作:鈴木颯手

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第1章【エクシーズ次元】
第一話「全ての始まり」


「総員! 傾注! 隊長より、訓示!」

 

 融合次元と呼ばれる世界にある孤島。そこにはデュエル戦士育成を目的としたデュエルアカデミアが存在する。この世界に置いてデュエル戦士になる事は名誉でありここに入学する事は必須と言えた。そんなデュエルアカデミアのとある場所にて十数人のデュエリストが整列していた。全員が赤や青、黄のラインが走った黒いアカデミアの服を着ておりただモノではないとうかがわせる雰囲気を纏っていた。

 そんな彼らの前に立つのは三人の男。一人は右端に立ちアカデミアの精鋭であるオベリスクフォースが付けている仮面の右半分のみを装着した大男。二人目は左端に立ち何処か可愛らしさを残しつつ狂気的な笑みを浮かべている少年と呼べる男。そして最後、大男に隊長と呼ばれた青年がたっていた。

 隊長と呼ばれた男は息を軽く吸い込むと高らかに言った。

 

「諸君! これより我らはエクシーズ次元へと侵攻を開始する! 事前の調べでエクシーズ次元は我らに気付かず、安穏とした日々を過ごしているという。だが! 我らが侵攻すれば彼らとて決死の覚悟で抵抗するだろう! 我らにも犠牲が出る可能性がある! だが! 我らはデュエルアカデミア、いや、この次元最強の部隊である! 我らの力を知らしめよ! 敵を倒し、我らの悲願を叶えるのだ!」

「「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」

 

 隊長、赤城リョーマの言葉に隊員たちは割れんばかりの雄たけびを上げた。それを見た大男、No.1城口従吾は何処か呆れたような表情を、少年のような男、No.2茨木瑞樹は狂気的な笑みを浮かべた。

 赤城リョーマも好戦的な笑みを浮かべると宣言する。

 

「さぁ、侵攻の始まりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世界は四つの次元に分かれている。スタンダード、融合、シンクロ、エクシーズ。それらの世界は他の次元の事など知らないが融合次元でプロフェッサーと呼ばれる男の誕生により変わった。彼はアークエリアプロジェクトと呼ばれる全次元統合を掲げデュエルアカデミアの戦士たちでエクシーズ次元へと侵攻を開始したのである。僅か数時間でエクシーズ次元は荒廃し、人々はカードの中に封印されていった。

 そして、翌日にはエクシーズ次元の生き残りの中でレジスタンス組織が結成され抵抗が始まった。しかし、この日の為に実力を身に着けて来たアカデミアは返り討ちにしていった。

 

「ちくしょう……! 俺たちの町を……!」

「哀れだな。弱くて醜い」

 

 ハートランドと呼ばれた町の一角で一人の男が倒れていた。レジスタンスとなりアカデミアと戦う事を決意した彼はたった今、デュエルに敗北したのである。それも圧倒的な力の前に。男と対戦したアカデミアの戦士は赤いラインが入った黒服をたなびかせ男に侮蔑の視線を向けた。

 

「貴様の様な者にはカードとなり我らの養分となるのがお似合いだ」

「っ! ま、待ってくれ! やめ……!」

「喚くな。余計醜くなる」

 

 戦士は左腕に装着したデュエルディスクを使って相手をカード化しようとした時だった。二人の間に別の男が割って入る。突然の事に男は驚くがそれ以上に戦士の方が驚愕した。

 

「っ!? No.9!? 何故ここに……!」

「……一つ、聞かせてくれ。お前はこれを見てなんとも思わないのか?」

「は?」

 

 No.9と呼んだ男の言葉に困惑するがNo.9の言いたい事が分かり眉を顰める。

 

「貴様、裏切るのか?」

「……俺は、こんな事を平気で行うようなお前たちについていく事はできない!」

 

 そう言うとデュエルディスクを起動させた。No.9の顔は憤怒で溢れており目の前の元同胞を睨みつけている。

 

「覚悟しろNo.4! 俺は、彼らを助けるために俺の持てる全てで貴様を叩き潰す!」

「っ! 抜かせ! 返り討ちにしてくれる!」

 

 No.4と呼ばれた男はNo.9にデュエルディスクを向ける。そして、互いの思いの下、デュエルが始まろうとした時だった。

 

「……下がれ、No.4」

「っ! 隊長……」

 

 No.4の後ろから赤城リョーマが現れ前に出る。すると、デュエルディスクを起動させてNo.9と向き合った。

 

「裏切り者は俺が始末する。貴様は貴様の役目を全うせよ」

「っ! はっ!」

「ひっ!」

 

 赤城リョーマの言葉にNo.4は返事をすると悲鳴を上げて逃げ出した男に向かって行く。それを止めようとNo.9が動こうとしたがリョーマが彼の前に出て進路を塞ぐ。

 

「No.9。デニスと共にエクシーズ次元の調査をしていた貴様が裏切るとはな。ほだされたか?」

「っ! 違う! 俺は、お前たちを信じる事が出来なくなっただけだ! 次元の統合の為に、何の罪もない彼らを犠牲にするなんて間違っている!」

 

 No.9は思い出す。エクシーズ次元の日々を。みんなが楽しくデュエルを行っている様子は殺伐とするアカデミアどころか融合次元で見る事が出来なかった風景だ。それを一瞬で破壊したアカデミアにNo.9は怒りを露にしたのだ。

 

「俺は! お前を倒しエクシーズ次元を救って見せる!」

「……無駄な事を」

「行くぞ! デュエル!」

「……デュエル」

 

 先行を取ったのはリョーマだった。リョーマは自身の手札を見ると軽く息を吐きNo.9の方を見た。

 

「……最後の通告だ。本当に、裏切るのだな?」

「当たり前だ! 今更おじけづいたか!?」

「違う。貴様を殺す事になるからだ」

 

 そう言うとリョーマは一枚のカードを発動し効果を適用、モンスターをフィールドに出すと効果を発動した。No.9に衝撃波が襲い掛かった。

 

「ぐっ!」

「更に魔法カード発動」

「そ、それは……!」

 

 No.9はそれを見て自らの敗北を悟る。自分のターンすら行わせない先行ワンキルに恐怖を抱く。そんなNo.9に召喚されたモンスターは容赦なく赤き炎を生み出し大きくしていく。

 

「残念だ。まさか最初の脱落者が裏切り者とはな」

「くそっ! リョーマ! お前は必ず地獄に落ちる! こんな事をしている限り! お前は……!」

 

 No.9は最後まで言い切る事は出来なかった。言い切る前にモンスターが炎の球体を生み出しそれを放ったからである。No.9は炎によって体中を焼かれ、骨すら炭と化して消滅した。風によって炭が飛ばされていくのを見ながらリョーマは侮蔑の視線を向けながら呟いた。

 

「くだらない。負けた者がいくら吼えようが何も意味がない。何も響かない。勝利してこそ人は漸く話を聞く気になるのだ」

 

 そう言うとリョーマは踵を返す。人々の悲鳴やアカデミアの笑い声がいたるところで聞こえてくるハートランドを後にするのだった。

 

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