遊戯王ARC-V 黒竜を従えしデュエリスト   作:鈴木颯手

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靴下を履かない社長の登場です


第十一話「赤馬零児」

 リョーマの提案により決まった遊勝塾の今後を賭けた1対3のデュエルは圧倒的な力でリョーマが勝利した。これによりLDSは遊勝塾に手を出す事は出来なくなり二度とこのような事が起きる心配はなくなった。

 その事で塾長の柊修造を始め全員が喜ぶことになったが柚子だけは「勝手に決めて……!」と怒りを露にしていたが無事に勝利したことでホッと安堵の息をついていた。

 そして、三人がかりで負けたLDS三人衆は

 

「……負けた。三人で挑んだのに負けた」

「俺なんて何も出来なかった……」

「……」

 

 惨敗と言える結果に落ち込んでいた。特に今回で二連敗の志島北斗とターンすら来なかった刀堂刃の落ち込み用は凄まじく北斗と並んで部屋の隅で三角座りで落ち込んでいた。唯一まともにデュエルが出来た真澄は悔しそうにしているが今回の事を振り返り色々と考えていた。

 

「これで遊勝塾に今後手出しをする事はなしだ」

「……良いでしょう。それに関してはお約束します。ですが! 榊遊矢君が襲っていない犯人とはまだ断定されていません!」

「まだそんな事を……!」

 

 赤馬理事長はまだあきらめていないのかそんな事を言ってくるがそこへ一人の男が現れた。

 

「母さん、今回は引きましょう」

「零児さん……」

 

 その男、赤馬零児の言葉に一瞬何かを考えて彼に道を譲った。そして、零児はそのまま修造の前に行く。

 

「そこの赤城リョーマとの口約束とは言えこれだけの人数の前で約束しました。故に遊勝塾に関しては二度と手を出しません」

「君は一体……」

「レオコーポレーション社長、赤馬零児です」

「レオコーポレーションの」

「社長……!?」

 

 唐突の社長の登場に誰もが驚いているがそれ以前に若すぎる社長に驚いているという面もあった。しかし、その社長が正式に認めた事で遊勝塾の危機は完全に去ったと言えるだろう。そんな中、零児はとある提案をした。

 

「どうでしょう。もしよければそこの彼とデュエルをしてみたい」

「俺と?」

 

 零児が指名したのは遊矢だった。当の本人は何故自分が?と不思議がっているが彼のデッキを知っているのなら納得できることだった。

 

「ペンデュラム召喚を見たいという事だろう」

「あ、そう言う事か……。分かった! でも今度は何かを賭けるなんてなしだぜ」

「勿論だ。私は君の実力を知りたいのだから」

 

 どこか上から目線な言い方に遊矢は不満そうな表情をするが二人はデュエルコートへと向かって行く。修造もリアル・ソリット・ビジョンの機動の為に部屋を出て言った。残された面々は窓から様子を眺めているが少し後ろで素良とリョーマは壁に背中を付けて並んでいた。

 

「……赤馬零児。実力はあるのか?」

「んー、今のところは分からないかな。というか僕だってこっちの実力者の事はそんなに分からないよ?」

「名前も聞いた事がないのか?」

「僕は完璧な人間じゃないんだよ? そんなになんでも知っている訳じゃないよ」

「……そうか」

「あ! 今僕の事を使えないって思ったでしょ?」

「……」

「ちょっとぉ、何か言ってよ」

 

 そんな事を話している内に遊矢と零児のデュエルが開始された。自分の得意なフィールド魔法となり遊矢は先行を譲るがその事が零児の癪に障ったのか一瞬反応したが直ぐに自分のプレイを開始した。

 

「スタンバイフェイズに1000のダメージを受ける永続魔法か。使い方次第では十分強いな」

「え? でもダメージを態々受けるなんて……」

「“マテリアルドラゴン“というモンスターを用いれば効果ダメージは回復になる。……今、赤マフラーの場には三枚もダメージを受ける契約書カードが存在する。もし、”マテリアルドラゴン“をこの場に出せばライフは3000も回復できる」

「そ、それって結構やばくない!?」

「勿論、入っていればの話だ」

 

 遊勝塾の子供たちに契約書を有効活用する方法を教えるリョーマ。その場合の数値を聞き子供たちのみならず柚子や権現坂も驚いていた。そして、三枚目の契約書の効果により零児は融合召喚を行った。

 

「DDに続きDDD……。中々面白そうなカテゴリだな」

「でも、あのモンスターを出すためにあれだけのリスクを背負うなんて……」

「……いや、おそらくあいつがダメージを受ける事は無いだろうな」

「え?」

「ディスアドバンテージを無効に出来てこそ一流だ。あのダメージを回避、若しくはそこから更に展開できるカードをアイツは持っているはずだ。出なけりゃ3000ものダメージを背負ってまで出す意味がない。最初の一枚目の契約書でモンスターをデッキからサーチしてそいつで守りを固めるだけで十分だ」

 

 リョーマの適切な言葉に誰もが遊矢の方を見る。彼の言っている通りなら遊矢は厳しいデュエルを強いられる事になるだろう。最悪の場合、敗北という可能性もあった。とは言えこれは何の代償もないデュエルだ。遊矢が敗北しても遊勝塾が奪われる事もない。この敗北を糧として更なる高みに登れるだろう。

 そんな遊矢は笑顔で自分のエンタメデュエルを開始する。そして、お得意のペンデュラム召喚を行い一気に大量のモンスターを展開した。

 

「……素良、アイツはどう思う?」

「……少なくともスタンダード次元の中ではトップクラスの実力者じゃないかな? 加えて、おそらくこっち側(・・・・)の人間だよ」

「若しくは離(・)反(・)者(・)、という可能性もある。十年前に逃亡したという奴のようにな」

「LDS。やっぱり調べないといけないかなぁ」

「必要はあるだろうな。だが、それはこちらで行う。素良は今まで通りに過ごせばいい」

「了解。その方が楽に動けるしね」

 

 素良とリョーマがそんな話をしている間に零児は契約書を踏み倒し、大量ドローするという方法を行ったうえでシンクロ、エクシーズモンスターを続けて召喚した。全てのエクストラモンスターの召喚に精通している事実に遊勝塾の面々は驚いている。

 しかし、そんなモンスターたちにも遊矢は怯むことなくたちむかい、全てのモンスターの破壊に成功した。それを見た遊勝塾の面々は歓喜の声を上げるが次の瞬間には破壊したはずのモンスターたちは罠カードの効果によりフィールドに帰還を果たした。勿論、その代償はデカかったが。

 

「次のスタンバイフェイズに合計3000のダメージ……」

「あいつのライフは2300だから遊矢兄ちゃんの勝ちだ!」

「んな訳あるかちび風船」

「ちびっ!?」

 

 ドンでもないあだ名にちび風船と呼ばれた少年原田フトシはショックを受けるがそんな事お構いなしにリョーマは続ける。

 

「前の契約書の様に回避する手段はあるだろう。見てみろ」

 

 そう言ってリョーマが促す先には別の罠カードの効果で三体のモンスターはデッキに戻り新たなモンスター二体を手札に加えている。

 

「これで決まりだな。少なくともあの男はプレイングでは遊矢を超える」

「そんな事!」

「無いとは言い切れない。ここまでデュエルの流れを作っているのは遊矢ではなくあの男だ。恐らく、次のターンで……」

 

 その先をリョーマは言わなかったがその懸念は的中する事になった。零児が持ってきたモンスターはなんとペンデュラムモンスター。そのモンスターでペンデュラムスケールをセッティングして攻撃力3000のモンスター三体のペンデュラム召喚に成功してしまったのだ。

 融合、シンクロ、エクシーズだけではなくペンデュラムも扱う零児にその場の誰もが言葉を発する事が出来なかった。唯一彼の母親である赤馬理事長だけが不敵な笑みで拍手を送っている。その姿はまさに悪役のごときであった。

 そして、三体のモンスターによる攻撃で遊矢のライフは500を下回り形勢は完全に逆転された。とは言え破壊されたモンスターは全てペンデュラムモンスターである。次の遊矢のターンで再び呼び戻す事は可能だった。遊矢は自分のターンになるとペンデュラム召喚を行い今度は三体のモンスターを呼び出した。しかし、それらの攻撃力は圧倒的に零児のモンスターよりも低かったがモンスター効果を用いる事で攻撃力を上回る事に成功した。

 そのまま攻撃を行い一体を破壊したがそのモンスターの攻撃力分だけ他のモンスターの攻撃力が上がってしまう。遊矢は何かを狙っていたようだがこの効果により動きを封じられたらしくターン終了の宣言を行った。

 

「……ここまでだな」

 

 リョーマが零児の勝利を確信した時だった。ペンデュラムスケールにセッティングされた零児のモンスターに異変が起こりペンデュラムスケールが狭まると同時に残っていた二体のモンスターを破壊してしまったのだ。これには零児を含めて誰もが驚く。何しろ何故こうなっているのか誰にも分からないのだから。

 だが、そんな中で二人だけ、リョーマと零児はほぼ同じ結論に至っていた。

 

―所詮はプロトタイプ。まだまだ安定しないか

―成程、要は試作段階のペンデュラムモンスターと言う訳か。だが、レオコーポレーション。彼らのモンスター製造スピードは異様に早い。……まさかとは思うが我らへの対抗か?

 

 そんな時だった。一人の黒服の男性が遊勝塾に入ってきて赤馬理事長に何かを耳打ちした。その事を聞いた赤馬理事長のみならずLDS三人衆も驚きの表情をしていた。

 

「零児さん!」

「……」

 

 赤馬理事長の呼びかけに零児はデュエルディスクの通信機能を使い黒服の報告を受けるとデュエルを中断して出て行ってしまう。それに驚いた遊矢は驚きつつも零児に名を訪ねていた。

 

「……何かあったか」

「可能性は二つかな。一つは僕たちに関係ない事。もう一つは」

「アカデミア関連か。だがアカデミアはスタンダード次元で活動したという話は聞かない」

「僕も特に報告は受けてないよ。やっぱり僕たちには関係ない事かな」

「……そうとは限らない。そもそも今回の発端。恐らくそれに関係する人物だろう。そして俺はそいつを知っている」

「っ! へぇ、それは一体誰なんだい?」

 

 素良はリョーマの言葉に驚きつつ尋ねる。リョーマは顔を険しくしながら言った。

 

「エクシーズ次元のレジスタンスだ」

「っ! 彼らが次元を越えてここに来たって事!?」

「可能性はある。そうなると俺の動きは制限される。俺の顔はレジスタンスで広まっているらしいからな。加えて、榊遊矢と顔が一緒のレジスタンスと俺はデュエルをした事がある。その時は取(・)り(・)逃(・)が(・)し(・)た(・)が(・)もしそいつなら榊遊矢に間違われた事も納得だ」

 

 リョーマはそいつの事を思い出しながら今後の調査の予定を脳内で大幅に変更しながらそう言うのだった。

 




書いた後に気付いたけどモンスター名一切出してないな……

因みにマテリアルドラゴンで契約書のダメージを回復にする事は出来るそうです。
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