遊戯王ARC-V 黒竜を従えしデュエリスト   作:鈴木颯手

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第二十話「帰還」

 ユートとのデュエルを終えたリョーマは監視カメラを避けるために一度デュエルアカデミアに移動した。ここから拠点に戻るつもりなのだ。そう思っていると素良がやってきた。

 

「リョーマ! あいつは! あの黒咲の仲間はどうなった!?」

「知らん」

 

 治療中なのだろう。リョーマに詰めよる素良の後ろには医師や看護師が数名いた。リョーマに詰め寄っている素良を見て慌てている様で穏便に引き離そうとしている。

 

「知らないって……! あいつはエクシーズの奴なんだよ!? それを……!」

「倒したが逃げられた。それだけだ」

 

 リョーマの言葉に素良は苛立ちを隠しきれないようで睨みつけている。そんな素良にリョーマは呆れたように言った。

 

「お前はさっさと治療を受けろ。報告は俺がしておいてやる」

「なっ!? 僕はまだ話は……!」

「連れて行け」

 

 素良の話を切り上げリョーマは後ろの医師たちに言った。その言葉に医師たちも従い素良を無理やり連れて行った。素良は叫びながら暴れているが引きづられて行った。そんな素良に溜息をつきつつプロフェッサーの下に向かう。

 

「リョーマか。素良といい何があった?」

「エクシーズ次元のレジスタンスと交戦しました。素良はスタンダード次元の公式戦参加中に怪我を負いました」

 

 リョーマは素直に起きた事を伝えていく。それを聞いたプロフェッサーは軽く息を吐くとリョーマに言った。

 

「つまり、スタンダード次元は我らに抵抗しようとしているという事か?」

「レジスタンスを招き入れている事からも可能性は高いでしょう。レジスタンスの掃討は行いますか? 素良はリベンジをしたいと願っている様ですが」

「ふむ……」

 

 プロフェッサーとしてはそんな者達はどうでもよかったが少し悩んだ後に言った。

 

「ならば許可しよう。それと、紫雲院素良の記憶を見た時に発見した柊柚子という少女」

 

 そう言うとプロフェッサーの後ろに画面が出現しそこに柊柚子の姿が映し出される。リョーマは一瞬眉をピクリと動かすがそれ以上の反応を見せる事は無かった。

 

「彼女の捕獲が最優先事項、という事ですか?」

「そうだ。とは言えそれはユーリに頼む予定だ。彼ならば見事捕獲を成功してくれるだろう」

「素良はそのためのかく乱、及び囮という事ですね?」

「素良だけではない。君の部隊、リリーサーズも使って援護せよ」

「……オベリスクフォースではないのですね」

 

 以外にも部隊を率いて行けという言葉にリョーマは驚く。リリーサーズは確かに精強だがコンビネーションやメタカードを用いた数の力で戦うオベリスクフォースも十分に強いと言えた。

 そんなリョーマの考えが分かったのだろう。プロフェッサーは言った。

 

「オベリスクフォースにはエクシーズ次元を担当してもらう。エクストラ召喚をほぼ用いないスタンダード次元よりもエクシーズ次元での方が活躍してくれるだろう」

「……分かりました。素良にはこちらから伝えます。それと、その場合、指揮権は私にあると判断してよろしいですね?」

「君の部隊だ。君が指揮せずに誰がするというのだ」

 

 プロフェッサーの言葉を聞くとリョーマは部屋を出ていく。向かう先はリリーサーズの部屋だ。部屋では相変わらずNo.1が事務作業を行っていたが珍しくNo.2の姿もあった。

 No.2はリョーマに気付くと笑みを浮かべながら手を振って来る。

 

「あれ~? 隊長お久~」

「ああ。No.1、リリーサーズを招集せよ。スタンダード次元に向かう」

「っ! それは本当ですか?」

「先ほど決まった。ユーリの目的達成のためのかく乱任務だ」

「……という事は遂に見つかったという事ですか?」

「そうだ。あまり見つかって欲しくはなかったがな。どちらにしろ我らは与えられた任務をこなすだけだ」

「たいちょ~。僕も参加していい?」

 

 リョーマの説明にNo.2がそう言ってくる。何処か幼さを感じさせる容姿を持つ彼はアカデミアの女子たちに人気が高かった。とは言えデュエルの腕も高く番号はあくまで入隊順と公言されているにも拘わらず1と2はまさに強さ準も兼ねていると言われていた。

 そんな彼はデュエルが好きでエクシーズ次元でレジスタンスを見つけては積極的にデュエルを行っていた。リョーマが外されて以降は実質的なリリーサーズの現場指揮官として活躍していた。

 

「勿論だ。しかし、今回はあくまで囮やかく乱がメインだ。悟られるなよ?」

「勿論だよ。僕にかかればそのくらいお茶の子さいさいさ」

 

 そう言って自信満々に胸を張るNo.2。幼い子供が精一杯虚勢を張っているようにも見えるその光景は周囲をほんわかさせるものだった。

 

「よし、No.1。後の事は任せる。いいな?」

「勿論です。隊長はスタンダード次元に?」

「ああ、セレナを置いてきてしまったからな。指示に従っているのなら今頃拠点に戻っているだろう」

 

 勿論指示に従っていない可能性もありその確認の為に一刻も早く戻る必要があった。それを理解した二人は隊長を見送った。

 そして、リョーマが拠点に戻るとそこにはセレナとNo.4の姿があった。どうやら無事に指示に従ったらしい。

 

「あ、隊長。お疲れ様です」

「ああ。そちらはどうだった?」

「いや、実質俺何もしてませんよ? 普通に戻ってきましたし」

「私も監視カメラに気を付けつつ戻ってきた……つもりだ」

 

 セレナは自身がないのか最後にぼそりと呟いたがそれはリョーマにとっても想定内の為特に何も言わなかった。リョーマは居間にいた二人に今後の動きを説明する。

 

「……リリーサーズの新たな命令だ。ユーリがとある少女を捕獲する。その動きの補助だ」

「ユーリ? あの紫キャベツですか?」

「あまり詳しくは知らないがそんな事より私はどうなのだ?」

「……待機だ」

 

 そこでリョーマはセレナについては何も聞いていなかったことを思い出すもエクシーズ次元への侵攻でも外されていたのだ。今回も待機だろうと予想しそう言う。

 

「何だと!? また作戦に参加できないのか!」

「プロフェッサーには聞いていなかったがあれだけアカデミアに置きたがっていたのだ。当然今回もそう言うだろう」

「馬鹿な!? 私だってデュエルの腕は高いと思っている! それなのに私をのけ者にするなど……!」

「せ、セレナちゃん。落ち着いて……」

「うるさい!」

 

 No.4は荒れるセレナを抑えようとしたがそのセレナによって顔面にパンチをくらい仰向けに吹き飛ぶ。そんな風に荒れるセレナをリョーマは一言で制した。

 

「……セレナ、落ち着け」

「っ! だが!」

「ここに居られるだけでも奇跡という事を忘れるな」

「うっ……」

 

 セレナはその言葉で大人しくなる。そもそも強引についてきたとはいえこの場に居られる事自体が奇跡に等しい現状でこれ以上を望むのは難しかった。その事を思い出しセレナは悔しそうな表情をしながら椅子に座る。漸く大人しくなったのを確認してリョーマは続けた。

 

「リリーサーズの目的はかく乱と囮だ。ユーリに近づけないように、対象の少女を一人の状況を作る。時期はおそらく三回戦が始まる頃だ。紫雲院素良もリベンジ目的で参加する可能性が高い」

「……」

「了解しました」

 

 リョーマの説明にセレナは頬を膨らませつつ拗ねておりNo.4はいつの間にか回復したようで普通に返事をする。

 

「それまでは拠点から出ない方がいいな。セレナもそれで構わないな?」

「……」

 

 一人だけ待機させられることに未だ納得していないようだが反論する気は無いようで無言でうなずいた。

 その後は調整などを行い濃い一日となったこの日を終えるのだった。

 

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