遊戯王ARC-V 黒竜を従えしデュエリスト   作:鈴木颯手

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第二十二話「前進するリリーサーズ」

『もしもーし。こちらNo.2。えっと榊遊矢君とデュエルして圧勝したよー』

「分かった」

 

 舞網市のとあるビルの屋上、そこでリョーマは副隊長であるNo.2の報告を受けた。リョーマにとっては聞き慣れた間延びした、何処か幼さを感じさせる声と口調から放たれた報告に淡々と返した。

 

『んじゃ僕は別の所に行くよ。精々ユーリにはさっさと要件終わらせてね、って伝えておいてよ。あ、先に見つけたら僕が奪っちゃうともね』

「そんな事を言える訳ねーだろが偽ショタ」

 

 わーん、ひどーいと通信越しに聞こえる声は楽し気でありリョーマの言葉を気にしていないのが分かる。しかし、No.2は直ぐに真剣な声で言う。

 

『それと、彼ね。【覇王黒竜】ってカードを用いたよ。データはそちらに送るからそれで判(・)断(・)し(・)て(・)』

「……」

 

 リョーマは送られてきたカード情報を読み取ると口角を上げた。そして続けてNo.2に言った。

 

「確実に覚醒へと向かっている。とは言え今は榊遊矢を放置しても問題ない。今はプロフェッサーの命令を忠実に遂行するのみだ」

『はいはーい。分かったよー。それじゃ次の獲物見つけたからそろそろ切るねー』

 

 それだけ言うとNo.2との通信は切れリョーマは改めて屋上から見える舞網市を見る。リアルソリットビジョンによって舞網市全体がジャングルや火山、氷山などに囲まれている。そんな舞網市からは所々でデュエルの戦闘音らしきものが聞こえてくる。リリーサーズが行っているものもあればそうではないものもあった。

 そんな時、リョーマのデュエルディスクに通信が入る。先程のNo.2とは違う者からの通信でリョーマはそれに出る。

 

『隊長、No.6です。対象を見つけました』

「よし、分かった。ユーリに伝える。そのまま逃がすな」

『了解しました』

 

 それだけ言うとNo.6は通信を切る。リョーマは少しづつ目的が果たされつつあることに満足しつつ自らも動くべくビルの屋上から移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「了解しました」

 

 リリーサーズの隊員No.6は隊長からの命令に返事をすると通信を切り目の前にいる二人の男女を見る。少女の方は今回の対象でありユーリが捕まえる予定となっている柊柚子でもう一人の男性は舞網チャンピオンシップの参加者で榊遊矢と似たエンタメデュエルを行うデニスという人物だった。そして、そんな二人が居る橋の反対側に対峙するように立つNo.6を含めた五人のリリーサーズの面々。

 

「さて、では始めましょうか」

 

 そう言うとNo.6はゆっくりと彼らへと近づいていく。No.6はスラリとした体に何処か凛々しさを感じさせる容姿はデュエリストよりもモデルと言われれば信じてしまいそうな美しさを持っていた。腰に届きそうな長髪を揺らしながら二人の下に向かう。

 一方の二人はいきなりの事に戸惑っていた。デュエルを終え、次の場所に向かおうとした時に彼らが現れたのだから。明らかに参加者ではないがただモノではない雰囲気を見せる五人に柚子たちが警戒しつつ後方に下がろうとした時だった。リリーサーズの足元に何かが命中し黒煙を上げる。それは一気に柚子たちを覆い隠したが柚子は誰かに持ち上げられる感触と共に素早い動きでその場を離れていた。

 

「っ! 何が……!」

 

 No.6は口元を抑えつつ煙が晴れるのを待つとそこには柚子とデニスの姿は無かったが代わりに八人の男たちがいた。その全員がリリーサーズを険しい目で見ている事からNo.6はこちらの事を知っている敵(・)と判断し、好戦的な笑みを浮かべた。

 

「成程、スタンダード次元もこういった対処は考えているようだな」

 

 そう言ってNo.6はデュエルディスクを起動した。他の四人も同じように起動し相対する。そして、No.6は大きく顔を歪めてこう言った。

 

「さぁ! かかって来るがいい! 己の全てを賭け、私達を倒して見せろ!」

 

 

 

 

 

 

「なんだこりゃ……」

 

 すべてが赤く染まる火山エリア。そこに流れる溶岩の河を見てバイクに乗った少年、ユーゴはそう呟いた。彼はこのスタンダード次元の人間ではなくシンクロ次元と呼ばれる場所から来たデュエリストだった。とある理由からあ(・)る(・)少(・)女(・)と(・)自(・)分(・)と(・)顔(・)の(・)似(・)た(・)少(・)年(・)を探しておりバイク、Dホイールを走らせていた。しかし、彼は自らのエースモンスター、“クリアウィング・シンクロ・ドラゴン”が光ると同時に様々な次元を移動する羽目になり今度は一面が凍りで覆われた氷山エリアにやってきた。そして、そこから移動した結果、先程とは反対の火山エリアに入ったという訳だった。

 

「氷河期の次はマグマ……。一体この世界はどうなっているんだ?」

 

 思わずと言ったように漏れる声には困惑がいりまじっていた。とは言え誰だって正反対の二つが隣り合っているのを見ればそう言う反応になるだろう。

 そんなときだった。彼の耳に男の悲鳴が聞こえる。悲鳴が聞こえた方を見れば橋の中央で五人の男女に囲まれた三人のデュエリストの姿があった。彼らの場には大型モンスターが一体ずつ並んでいるが、そんな事はお構いなしとばかりにリーダー核と思われる女性、No.6が叫ぶ。

 

「私はこのモンスターたちでシンクロ召喚を行う! 

白き封印より解き放たれし聖なる槍よ、今こそ大いなる力を振るいあらゆるものを破壊せよ! シンクロ召喚! 降臨せよ! “氷結界の還零龍 トリシューラ”!」

 

 その言葉と共にNo.6の後方より白き龍が姿を現す。赤い世界に突如現れた白はまるで周囲の温度を下げるかのように白いオーラを発している。

 

「“氷結界の還零龍 トリシューラ”の効果発動! 相手フィールドのカードを3枚まで除外する! 私は貴様等の場のモンスター3体を除外する!」

「ば、馬鹿な!?」

 

 3人のうちの一人、桜樹ユウはその圧倒的な力を持つ“トリシューラ”の効果に絶望する。一気に場をがら空きにされた彼らには伏せカードもなくこのまま攻撃を受ければ負ける事は確定だった。

 

「私は魔法カード“白き槍が導く未来”を発動! このターンの間、私は1000ライフを支払うごとにもう一度攻撃が出来る!」

「っ! そ、それって……!」

 

 No.6のライフは2700あり2000を使えば全員を仕留める事が可能だった。それが分かった三人の顔は青くなる。しかし、そんな彼らに無情にもNo.6は攻撃を行う。

 

「バトル! “氷結界の還零龍 トリシューラ”よ! 愚かなる彼らに地獄を見せよ!」

「「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」」

 

 “氷結界の還零龍 トリシューラ”のブレスに三人のライフは0となり橋の柵に叩きつけられる。三人とも体の一部が凍っており明らかに重傷だった。だが、そんな彼らにNo.6は近づくとデュエルディスクを向け紫の光を浴びせる。浴びせられた三人は紫の粒となり消え代わりにNo.6のデュエルディスクから三人の姿が映ったカードが出てくる。

 

「ふん、所詮はスタンダード。この程度か。よし、先程の少女を追いかけ……」

「待てやコラァッ!」

「ん?」

 

 Dホイールをうならせてユーゴが背を向けたNo.6がいる橋に乱入する。突然の事にリリーサーズは驚くもNo.6だけは興味深そうに目を細めている。

 

「てめぇら! あの時の奴らだな!」

 

 ユーゴの脳裏にはエクシーズ次元で人々をカードにしていくアカデミアの姿が映っていた。そして、その中に赤や黄色、青のラインが入った黒服に身を包んだ者達がいた。

 

「しかも俺達のシンクロ召喚を使いやがって!」

「何を言う? 我らは確かに融合次元から来た。だからと言って融合に拘る必要などない。自分の好きなようにデッキを組み強化する。それの何がいけない事なのだ?」

 

 No.6はユーゴにそう問うが彼にとっては自分たちが使う召喚を用いて侵略を行う彼女を許せなかったのだ。ユーゴはDホイールに備え付けられたデュエルディスクを起動するとNo.6に指を向けた。

 

「俺とデュエルしろ!」

「ほう? 勿論構わないとも。だが、貴様に私を倒せるだけの力があるのかな?」

 

 そう言ってNo.6は再びデュエルディスクを起動して特徴的な剣を模した盤を出現させた。

 

「「デュエル!」」

 

 こうして火山エリアにてNo.6とユーゴはぶつかる事となるのだった。

 




白き槍が導く未来(通常魔法)
自分のフィールドに「氷結界の龍」もしくは「氷結界の還零龍 トリシューラ」が存在する場合に発動できる。バトルフェイズ終了時まで自分フィールドの「氷結界の龍」、「氷結界の還零龍 トリシューラ」はLPを1000払う事でもう一度攻撃できる。
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