第二十五話「シンクロ次元」
「ロジェ」
「何でしょうか?」
「あの二人は必ず確保して」
「了解しました」
シンクロ次元のシティ中心部に位置する場所に存在する巨大な建造物。それは治安維持局というこのシティにおける警察組織の本部でその指令所にはとある男女の二人を追跡していた。そんな二人を追跡するように指示を出しているのが長官であるロジェという男性だがその隣には椅子に座り、優雅に紅茶を飲む一人の少女がいた。ロジェはその少女に敬語を使っており明らかに目上の人に対する接し方をしていた。その様子からも二人がどのような関係にあるのかを伺う事が出来る。
「“スピード・ワールド-ネオ”の展開完了。対象のDホイールとのリンクを確認。“スピード・ワールド-ネオ”の管理下に入りました」
「長官、デュエルチェイサー227。デュエル開始します」
「コースは?」
「トップスの別荘地区からシティ中心にかけてSTC06ルートです」
「……結構」
ロジェは部下からの報告に満足げに答える。彼の横にはチェスが置かれており白と黒がそれぞれ一つずつ動いた形となっていた。そんな長官の隣ではモニターに映る逃走犯二人の姿を睨むように見ている少女の姿があった。彼女は一口紅茶を飲むとカップを置きデュエルの様子を眺める。
逃走犯はDホイールに乗る二人組で片方は男性でDホイールを操縦しておりもう片方の少女はその後ろに乗っている。しかし、少女は逃走犯の片方を知っており何故ここに居るのか最初見た時は驚いていた。
―柊柚子……。何故ここに……?
少女、No.11は疑問が巻き起こる心の中を見せないようにしつつモニターに映る少女、柊柚子を見るのだった。
逃走犯とデュエルチェイサーによるデュエルは終盤までデュエルチェイサーが優位に進める事になった。逃走犯はダイスや
しかし、それは最後の最後で狂う事になる。デュエルチェイサーが欲を出した結果返り討ちに遭い無様に敗北する事となったのだ。それをみたロジェはデュエルチェイサー227の処分を決定し出口にセキュリティを向かわせた。
逃走犯が逃げている場所は高速道路であり出口は決まっている。そして、デュエルの影響で彼らはセキュリティによって封鎖された場所に向かうしかなかった。
「デュエルに負けても捕縛では手を抜かないのね」
「治安維持局の目的は犯罪者の捕縛にありますからね。このくらい、当然です」
ロジェはなんでもない様に言うがここで逃走犯は驚きの行動に出た。Dホイールのスピードを上げるとセキュリティの頭上を越えた。これには誰もがポカンと見送るしかなかったが出口を封鎖していたセキュリティは直ぐに我に返り追跡を開始した。しかし、既に距離は離されている為捕獲は失敗に終わるだろう。
「……」
それがNo.11にも分かり軽く息を吐くと椅子から立ち上がった。
「長官。後の事は任せます。そして、今後、やって来ると思われるスタンダード次元の者達への対処もよろしくお願いします」
「勿論です。赤城リョーマさんに、よろしく伝えてください」
「分かりました」
No.11は優雅にお辞儀をするとその場を出ていく。ロジェも彼女を見送る事はせずにすぐに自分の仕事に戻る。所詮は
それでも協力するからには全力を出そうとロジェは逃走犯二人を支給指名手配するのだった。翌日までには全セキュリティに顔写真付きで知れ渡る事になり一気に二人の行き場をなくしていくことになる。
そして、そんな状況の中、スタンダード次元にて結成されたランサーズはシンクロ次元へとやって来る事になる。
「おい! 私をどこに連れて行くつもりだ!」
「はいはい。静かにしてね」
トップスのとある居住地にて両腕を拘束された少女、セレナはなだめようとしつつもセレナを歩かせているNo.4に食って掛かった。彼女は彼に腹パンを受け意識を失っていたが気づけば見知らぬ大都会へと連れて来られていた。融合次元でもましてやスタンダード次元でもないその都市を歩かされたセレナはとある館に連れて行かれていた。
「ふざけるな! いきなりこんな所に連れてきて!」
「これも隊長の命令なんですよ。あまりうるさいなら強硬手段に出ても構わないといわれています。どうします?」
「はん! 出来るものならやってみるがいい! 返り討ちにしてやる!」
セレナは男性の様に堂々と話しているがNo.4は呆れつつ彼女の両腕を掴んでそのまま引っ張っていく。
「ならちょっと待ってくださいね~。あと少ししたらデュエル出来るスペースがあるのでそこまで大人しくしてくださいね~」
「む、そうか……」
セレナはその言葉を聞き素直に指示に従う。この様な場所で駄々をこねるような真似をするよりはデュエルで決着を付けようと考えたからだ。
そして、No.4は公園に設置されたデュエルコートに来るとそこでセレナの拘束を外し彼女のデッキが装着されているデュエルディスクを渡した。
「はい。これセレナちゃんのね。一応言っておくけど俺が勝ったら大人しくしてね?」
「良いだろう。ただし、私が勝ったら好きにさせてもらう!」
「勝てたらね」
自身ありげなNo.4の言葉にセレナの苛立ちは募っていくがデュエルでボコボコにしてやると意気込みNo.4とは反対側に立つ。
「一応言っておきますがスタンダード次元のようなアクションデュエルではないですよ。良いですね?」
「そちらの好きにして構わない」
セレナはアクションデュエルにこだわりはない為即答する。No.4はデュエルコートとデュエルディスクを連動させ周囲にデュエル用の空間を生み出した。
「それでは……」
「「デュエル!」」
No.4 VS SERENA
こうして片方は大人しくさせるため、もう片方は自由になるためにデュエルを行う。ほぼ同時刻ではこの次元へとやってきた榊遊矢たちがデュエルを行っており本来なら彼女もその一員として参加していただろうがこの世界では彼らと共に戦うという事は訪れる事は無いだろう。