「No.6、No.7。よくやってくれた」
「いえ、このくらい当然です」
赤城リョーマは心から思った事を口にしたがNo.6は本当に何でもないように答える。収容所でランサーズの状況及び榊遊矢の事を観察したNo.6、No.7の二人はロジェの導きでフレンドシップカップに出場する事になった。今は前夜祭を終えた翌日、フレンドシップカップ当日だった。大戦表はデュエル直前まで分からないがロジェから情報を受け取りどのような順番になるのかはリリーサーズは把握していた。
権現坂昇 対 クロウ・ホーガン
風魔月影 対 シンジ・ウェーバー
柊柚子 対 セルゲイ・ヴォルコフ
No.6 対 トニー・シモンズ
No.7 対 デイモン・ロペス
榊遊矢 対 デュエルチェイサー227
沢渡シンゴ 対 ユーゴ
黒咲隼 対 デニス・マックフィールド
「ユーゴ。彼のデュエルも注視するように。彼らは評議会によって確保されているのだな?」
「はい。治安維持局のロジェも手出しは難しいと言っておりました」
「構わん。彼らが大会に出てデュエルをするのなら何の問題もない」
「了解しました」
フレンドシップカップの対戦相手はある程度操作されている為No.6とNo.7が決勝以外でデュエルをする事は無い。ロジェ側の刺客であるセルゲイやデュエルチェイサーとデュエルする可能性はあるがそれも2回戦以降の話だった。
「隊長、そちらの様子はどうなんですか? 順調です?」
「ああ、お前達は何も心配する必要はない。フレンドシップカップ終了までには決着するだろう」
「それなら俺たちも優勝と準優勝という成績で出迎えますよ。勿論俺かNo.6が優勝で」
「馬鹿を言うな。優勝は私以外にあり得ないだろう。特に私がお前に負けるなどあり得ない」
「え? そんな事ないでしょ。俺だってNo.6に勝てるぜ」
「その台詞は1度でも私に勝利してから言うべきだな」
「うっ!」
No.6の言う通りNo.7は彼女相手に連戦連敗だった。とは言え別に実力差が原因ではない。単純にNo.7がデュエルに集中出来ていないだけであった。その理由は周囲には筒抜けであったがNo.6と赤城リョーマはその理由が分かっていなかった。
「……とにかく、俺はそろそろ戻る。それまでにあいつらの
「了解しました」
「了解!」
それだけ言うとリョーマはアカデミアにある自らの自室に転移するのだった。二人きりになったNo.6とNo.7は自分たちの番に備えてデッキの調整を行ったり会場入りして様子を伺うのだった。
最初の3戦は原作となんら変わらない結果となった。
フレンドシップカップでは敗北者は全て地下の強制労働施設に運ばれるが柊柚子はロジェを経由してNo.6とNo.7の下に送られた。彼女はセレナや黒咲瑠璃と同じく屋敷に軟禁状態に置かれる事となり赤城リョーマの下に三人の同じ顔の女性が集まる事になった。
そして、
『フレンドシップカップ初日の最後の試合に相応しい展開となってきました! トニー・シモンズ対
No.6、氷河美代のフィールドには低レベルのモンスターが並んでいるがトニーの場には3体の“アンデット・スカル・デーモン”が並んでいた。それぞれ攻撃力2500のモンスターが並んでいるのは圧巻だがトニーの手札は0枚。魔法・罠のカードも1枚と逆転などいくらでも出来る状況だった。
「私はフィールドのモンスター3体でシンクロ召喚を行う! いでよ! “氷結界の還零龍トリシューラ”!」
氷結界の還零龍トリシューラ(水/ドラゴン族 星11)
ATK2700 DEF2000
「このモンスターの効果で貴様の“アンデット・スカル・デーモン”を3体とも除外する!」
「っ! “アンデット・スカル・デーモン”は効果破壊の耐性はあるけど除外には耐性がない……! ならばリバースカードオープン! “奈落の落とし穴”! 貴様のモンスターを破壊する!」
トリシューラの真下に穴が出現しそこから魔物が姿を現してトリシューラを引きずり込んでいった。しかし、もしトニーがトリシューラの効果を知っていればこのカードを発動したりしなかっただろう。
「“氷結界の還零龍トリシューラ”の効果発動! このカードが相手の効果で破壊された時に“氷結界の龍トリシューラ”を特殊召喚する! この効果で特殊召喚された“氷結界の龍トリシューラ”は攻撃力3300となる!」
「なに!?」
トニーのライフは3000。受ければ敗北は必須だろう。手札もなく、墓地で発動するカードもなく、フィールドのカードもない彼に出来る事は無かった。“氷結界の還零龍トリシューラ”ならまだ300だけライフが残り反撃の機会もあったかもしれない。しかし、3300の“氷結界の龍トリシューラ”相手ではそれも不可能だった。
「そんな……。俺が負けるなんて……」
「バトル! “氷結界の龍トリシューラ”で
「う、うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
TONY
LP3000→0
“氷結界の龍トリシューラ”の攻撃を受けたトニーはDホイール事吹き飛ばされ壁に激突した。そこでデュエルが終了し観客席より割れんばかりの歓声がNo.6に送られた。トニーは痛みからかプルプルと震えながら上半身を起こしNo.6を見上げるもそこに会ったのは冷たい視線を向けるNo.6の姿だった。その様子はまさにトップスとコモンズの関係に似ておりトニーの中であるシンジやコモンズへの扱いに不満を持ち革命を欲している者達は皆一様にNo.6に憎悪を向ける事になった。
『ついに女性デュエリスト初の1回戦突破者になりました! これからは女性デュエリストも大頭していく時代になったという事でしょう!』
フレンドシップカップのMCを担当するメリッサ・クレールはそう言って初日のデュエルを締めくくった。No.6の仲間であるリリーサーズのNo.7は当たり前という風に思いつつも安堵の息をついていた。それがデュエルに勝利できたことへの安堵なのか、別の意味があるのかは本人しか分からない。ロジェも突破したことに対して予想通りと思っていた。
一方、敵側であるランサーズの衝撃はデカかった。ただでさえアカデミアの人間であるにも関わらずフレンドシップカップに出場しているにも関わらず圧倒的な強さで勝利を手にしたのだから。榊遊矢たち出場者は気を引き締めていた。
一方、ランサーズの事実上のトップにしてフレンドシップカップに出場せずに評議会の面々と同じ部屋にいた赤馬零児は質問を受けていた。
「彼女がアカデミアの者なのか?」
「その通りです。アカデミアにおける少数精鋭部隊リリーサーズの一人です」
「それ以外の情報はないのか?」
「リリーサーズの結成は最近の事らしく私達も詳細な情報は持っておりません。ですが、間違いなく隊員すべてが我らに匹敵、あるいは超える実力者ばかりでしょう。隊長の赤城リョーマは我が次元でも上位の実力者3人相手に圧勝しておりそれ以外の面々もスタンダード次元のデュエリスト相手にほぼ勝利をつかみ取っています」
その言葉に評議会の面々の顔が険しくなる。それほどの実力者がフレンドシップカップに出場しているのだ。最悪の場合、優勝する可能性すらあった。更にはこちらで監視しようにもロジェが彼らを擁護する為に確保に至っていなかった。故にリリーサーズは自由に動き回る事が出来るのである。
「彼らがランサーズを降し、優勝した際には君たちには悪いが融合次元側に立たせてもらう事になるだろう」
「それが嫌であれば実力を示せ」
「ですな? 議長」
「はい。貴方達の活躍を期待していますよ」
「勿論です。ここで彼女たちに勝つことが出来なければアカデミアを倒す事など不可能です」
赤馬零児はそう自信満々に言い切った。実際、彼らにすら勝てないようではアカデミアを倒す事など夢のまた夢だろう。アカデミアでは確かに彼らの実力は高いがそれに引けを取らず、連携を取らせればそれ以上の力を発揮するオベリスクフォースや百を超えるアカデミアの生徒、それらにデュエルを教える教官とランサーズに対して数では大きく勝っていた。そうである以上ランサーズは質の方を向上させるしかなかった。
今回のフレンドシップカップはその第一歩と言えるだろう。
「(アカデミアがここまでシンクロ次元で動くとは……。エクシーズ次元の方も既に制圧済みの可能性が高いと思って間違いないだろう。……スタンダード、シンクロ次元への侵攻も時間の問題か)」
赤馬零児は内心でそう予想して今後の展開を立てていくがこの時点で彼を含むランサーズの面々はシンクロ次元で行動するリリーサーズが独自に動いている事、その後、アカデミアで激震が走る事を知るのはまだまだ先の事であった。
フレンドシップカップは順調に消化されて行った。1回戦最後の試合にてデニス・マックフィールドが繰り出した“
●権現坂昇 対 クロウ・ホーガン○
●風魔月影 対 シンジ・ウェーバー○
●柊柚子 対 セルゲイ・ヴォルコフ○
○No.6 対 トニー・シモンズ●
○No.7 対 デイモン・ロペス●
○榊遊矢 対 デュエルチェイサー227●
●沢渡シンゴ 対 ユーゴ○
○黒咲隼 対 デニス・マックフィールド●
1回戦はこの様に終了した。第2回戦はこの結果を下にロジェの操作が行われた。
黒咲隼 対 セルゲイ・ヴォルコフ
榊遊矢 対 シンジ・ウェーバー
ユーゴ 対 No.7
クロウ・ホーガン 対 No.6
2回戦でもロジェとリリーサーズ側の人間がデュエルをする事は無かった。この結果を下に大会の準備が進んでいく中、No.6とNo.7は顔を隠しつつコモンズの町を走り回っていた。理由は単純でデニス・マックフィールドの確保である。
アカデミア側の人間であるとバレたデニス・マックフィールドをロジェは確保しようとしたものの、評議会の者達とのいざこざをしているうちに何者かによって連れ去られてしまっていた。それを受けてロジェはセキュリティに仕込んだ洗脳装置を使い行政評議会にクーデター染みた行いをしてデニス・マックフィールドの捕獲に乗り出した。
No.6とNo.7はその手伝いをするべく街中を駆けまわっていたのである。
「No.7、相手は誰と予想する?」
No.6はフード付きのマントを羽織り、耳に付けたインカムでNo.7に話しかける。しかし、その視線は常に周囲を高速で確認しておりおしゃべりに夢中になるような事は無いと予想できた。それはNo.7も同じであり軽やかに答える。
「んー、多分アカデミア側じゃないかな。そしてデニス・マックフィールドが覚醒したらそのまま転送されているだろうね。リリーサーズが動いている事は既に知られているんじゃないかな?」
「……不味いな。隊長の行動が間に合っていればいいのだが……」
「五分五分ってところじゃないか? とにかく俺達は時間のある限り探そうぜ。もしかしたらデニスを奪ったやつがここに居るかもしれないし」
「そうだな」
二人はそこで会話を切ると捜索に全力を注いだ。しかし、結局デニス・マックフィールドも彼を連れ去ったと思う者も見つかる事は無かった。二人は赤城リョーマの動きが阻害されていない事を祈りながら自らの任務をこなすべく撤退するのだった。