遊戯王ARC-V 黒竜を従えしデュエリスト   作:鈴木颯手

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第三十四話「漆黒の影の大頭の時」

 アカデミアでリリーサーズによるクーデターが発生している頃、シンクロ次元のフレンドシップカップも大詰めを迎えていた。2回戦では黒咲隼がセルゲイ・ヴォルコフを倒し、コモンズによる革命を企むシンジ・ウェーバーに榊遊矢が勝利した。

 しかし、榊遊矢と同調しつつあったユーゴにNo.7は敗北したがロジェの手引きにより地下施設に送られる事は無かった。そして、2回戦最後の試合クロウ・ホーガン対No.6の戦いは……。

 

「行け! “覇王眷竜トリニティ・トリシューラ”で直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

「くそっ! がぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 圧倒的盤面制圧力を持つトリシューラ3体を出したNo.6が圧勝して勝利を収めた。そして、3回戦では榊遊矢と黒咲隼が激しくぶつかりあった結果、遊矢が辛勝した。

 

「ロジェ、アカデミアで隊長がクーデターを発生した。戦況は五分五分だが時期にこちらが勝利するだろう」

「ほう、それは嬉しい知らせですね」

 

 No.6の言葉にロジェはそう返した。これでアカデミアに怯えずに済むと同時にそろそろこの協力体制の終わりが見えてきた。

 

「(出来れば彼女達をこちら側につけたいですが赤城リョーマへの忠誠心は高いようですしこちら側に付くと言うとそれはスパイの可能性が高いでしょうね)」

 

 ロジェはNo.6やNo.7に気付かれないように裏切りの準備を開始した。そんな風にシティも激動の時を迎えている中、No.11の屋敷では柊柚子が連れて来られていた。

 

「はーい、スタンダード次元の娘のご入場!」

「ちょ、ちょっと! 放してよ!」

 

 柚子は自身の腕を掴み強引に前に進むNo.4に抗議の声を上げた。屋敷の廊下を歩く彼らの邪魔をする者はおらずすれ違う執事や侍女は頭を下げて道を譲っていく。

 

「大人しくしなよ~。危害を加えるつもりはないんだからさ~」

「そんな事信じられるわけないでしょ!」

「まぁ、信じる信じないは関係ないよ。こちらの指示に無理や従ってもらうだけだし」

 

 そう言うとNo.4は目の前の扉をあけ部屋の中へと入っていく。部屋は広間でありそこにはセレナと黒咲瑠璃がソファに座っていた。入って来たNo.4を二人は睨むもすぐにその後ろの柚子に気付いた。

 

「! 同じ顔!」

「まさか!」

「この娘は柊柚子。スタンダード次元の娘だよ~。二人とも仲良くするんだよ~」

 

 No.4は軽い口調で言うと柊柚子をソファに向けて放り投げた。宙に浮いた事で柚子は小さい悲鳴を上げながらソファにボフンと落下した。怪我はないものの宙に浮いた衝撃で軽く混乱している様だった。そんな彼女を守るようにセレナと瑠璃が背中に隠すように前に出た。

 

「あなた、この娘が怪我をしたらどうするつもり!」

「え? 結構傷つかないように気を付けていたつもりなんだけどな~」

 

 No.4はそう言うがセレナ達が言っている事はそう言う事ではなくただただ睨みつけていた。そんな中、何も知らない柚子は自分と同じ顔をしている二人の少女に驚いていた。そんな彼女にNo.4は告げる。

 

「彼女達は君と同じ顔の別次元の人間だよ。赤いジャケットを着ている方がセレナでもう一人は黒咲瑠璃って言うんだよ」

「黒咲!? まさか黒咲隼の妹……!?」

「っ! 兄さんを知っているの!?」

「え、ええ……。知り合い、程度だけど……」

 

 ランサーズの事を知らない柚子の中では黒咲隼はLDSの教官を襲撃した人物でしかなくそれを正直に妹である目の前の少女に伝えていいものか分からなかった。故に柚子は知り合いとだけ答えた。一方、事情を知っているNo.4はニヤニヤと悪い笑みを浮かべながらその様子を眺めていたが顔を少し引き締めて言った。

 

「それじゃ、君たちはここで大人しくしててね。多分だけどもうすぐ最後の一人もここに連れてくると思うよ」

 

 それだけ言うとNo.4は部屋の扉を閉めた。残された3人のうちセレナと瑠璃はこの状況にも慣れていた為柚子との情報交換を行っていき、現状の把握をしていく事になる。

 

 

 

 

 

 

 

「……ぐっ!」

 

 アカデミアのプロフェッサーがいる部屋では激しい死闘が繰り広げられていた。ペンデュラム召喚を用いたロック戦術で戦っていくプロフェッサーに対してリョーマはシャドールの展開力と制圧力を生かして有利に進めていた。

 優勢は傷だらけのプロフェッサーとほぼ無傷のリョーマを見ればどちらが優勢なのかは一目瞭然だろう。

 

「馬鹿な……! デュエルディスクにこれほどのダメージ機能は……!」

「どうだ? 人を殺せる威力は。エクシーズ次元への侵攻の際、裏切り者をこれで殺した。余(・)に逆らう愚か者への罰としては、いささか物足りないがな」

 

 リョーマはこのデュエルの内に大きな変貌を遂げていた。外見が変わっている訳ではなく、黒いオーラを身に纏い、今このデュエルを悪意に満ちた笑顔で楽しんでいるのを見れば誰もが変貌したと思えるだろう。

 

「余は速攻魔法“超融合”を発動! 貴様のモンスターと我が下僕(シャドール)で融合召喚!

全ての生物を取り込み我が力の糧とせよ! 今こそ一つに! 融合召喚! いでよ! 我が化身よ!」

 

 そう言って召喚されたモンスターは凶悪な龍であった。プロフェッサーはその龍を見て大きく目を見開き後退る。今の融合召喚でプロフェッサーの場にモンスターはなくなった。魔法・罠もなく、手札も0の彼が勝てる状況ではなかった。

 

「行け! 我が化身よ! 赤馬零王に止めを刺すのだ!」

【グオォォォォォォォォッ!!!!】

 

 龍は巨大な咆哮を上げるとその巨体を素早く動かしプロフェッサーに接近する。そして、抵抗する機会すら与えずに黒い炎のブレスで焼き払った。

 

「―――――っ!!!」

 

 プロフェッサーは声にならない悲鳴を上げると全身を焦がしながらその場に倒れ込んだ。煙を上げ、皮膚が黒くなっているのを見れば誰もが重傷だと思うだろう。

 そんな彼にリョーマは近づくと冷ややかな目線で見下ろす。

 

「赤馬零王。貴様は止めを刺す価値も、パラサイトモンスターによる洗脳の価値もない。医務室には治療の手はずは整えさせてやる。尤も、手を貸すつもりはないから自分の足で向かうと良い。それが出来ないのなら部屋の隅で朽ち果てろ」

 

 そう言うとリョーマは踵を返し部屋の外へと向かって行く。そんな彼の後姿をプロフェッサーは消えそうな意識の中で必死に睨みつけるもやがてゆっくりとその意識を消していった。部屋に残されたのは大けがを負い、意識を失ったプロフェッサーと激しいデュエルでボロボロになった部屋、そして、アカデミアが集めたカード化された人間がいる装置のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「喰らえ! “サイバー・エンド・ドラゴン”の攻撃! エターナル・エヴォリューション・バーストォォォッ!!!」

「うおおぉぉぉぉぉっ!!!???」

 

 No.20は襲ってきたオベリスクフォース三人組を返り討ちにしたことで50人抜きを達成した。彼女の周りには敗北して気絶したアカデミア生がおりそれだけで巨大な威圧感を持たせていた。

 

「ほっほっほ、随分と派手にやっておるようじゃな」

「っ! No.5……」

 

 後方から声が聞こえてきた為に警戒したNo.20だが味方であるNo.5だと分かると警戒を解いた。No.5は楽しそうに笑いながら周囲を見回した。

 

「それにしても今ので何人目じゃ? 明らかに30人は超えていよう」

「52人だ。この辺の奴は全員倒したと思うぜ。そういうそっちはどうなんだ?」

「ワシはオベリスクフォースを5組ほど倒したぞ。最後は2組同時に相手したがな」

「うわ、マジかよ。6人同時相手とか……」

 

 No.20はドン引きしながらそう答えた。アカデミアが誇る精鋭部隊オベリスクフォースは3人1組で行動する。個人の実力ではリリーサーズが上だが彼らの真価は3人の時に発揮される。3人同時となればリリーサーズでも勝つのは難しい。そんな相手を6人同時に相手にしたのだ。No.20は自分では出来ない事をやるNo.5に驚愕や嫉妬よりも先にドン引きしてしまったのである。

 

「とは言えそろそろ決着がつくじゃろう。アカデミアの一部はエクシーズ次元に行っておりそこへの転送装置は既に抑えておる。彼らが戻って来る心配はない」

「へぇ、因みに今のところ誰が一番倒した数が多いんだ?」

「No.2じゃよ。確か初手で10人を相手に勝利しておったな。ワシが離れる前で60人はたおしておったぞ」

「うわ。俺だってそんなには難しいぞ」

 

 圧倒的な力を持っている訳ではないNo.20では1対1なら勝てても不利になったり負けそうになる事があったがNo.2はそんな心配もなく勝利できる事に驚愕した。

 

「ん? 通信……?」

 

 そんな風に話しているとデュエルディスクに通信が入る。出てみれば隊長である赤城リョーマからのものだった。

 

『プロフェッサーを降した。最終フェーズに移行する』

「お、ついにか」

 

 その通信が入ると同時に放送が流れ始める。喋っているのは赤城リョーマで、内容はプロフェッサーの敗北とアカデミアに降伏勧告をする内容だった。

 

「プロフェッサーに勝利したのならこちらの勝利は確定だな」

「そうじゃのう。では我々も移動するとしようかの。ここに居てもあまり意味はなさそうじゃしの」

「だな」

 

 No.20とNo.5は倒れ伏すアカデミアの戦士以外誰もいなくなった廊下を歩き始める。この後、アカデミア側の士気は大きく削がれ、デュエルをする事もなく降伏する者が続出していく事になる。

 

 

 そして、

 

「やぁ、君がプロフェッサーを倒したのかい?」

「そうだ。貴様にもこちらに従ってもらうぞ。ユーリ」

 

 とある場所で、二人は再会する。二人の関係はエクシーズ次元で一度会ったきりだが妨害された事を片方の少年、ユーリは未だに覚えていた。そして、いつか仕返しをする機会を狙っており今はまさにその時と言えた。

 

「君には悪いけどここでカードになってもらうよ。これは僕が望む事だよ」

「残念だが余をカード化する事は出来ない。勝つのは、余だからな」

 

 お互いにデュエルディスクを構える。

 

「それじゃ始めようか。君の最後のデュエルをね!」

「安心せよ。貴様にはこれからやってもらうことがある。死ぬ事は無いゆえに安心して敗北すると良い」

「「デュエル!」」

 

RYOMA VS JOERI

 

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