アカデミアでクーデターが発生している頃、シンクロ次元ではいよいよ準決勝が始まろうとしていた。1回戦目はシンジ・ウェーバーを降した榊遊矢対クロウ・ホーガンを降したNo.6。榊遊矢にとっては収容所でのリベンジマッチと言える試合だった。No.6はユーゴに無様に負けたNo.7に代わり、やる気十分といった様子だった。
お互いにDホイールを並べライディングデュエル開始を待つ。その間にNo.6は榊遊矢に話しかけた。
「榊遊矢、貴様は再び無様に敗北するだろう」
「いや、今度はこちらが勝たせてもらうよ」
「……あれほど無様に負けて置いてそんな事を言えるのか。精々私の踏み台らしい敗北を晒す事だな」
そして、アクション魔法が使えるフィールド魔法“クロス・オーバー・アクセル”が発動し、準備は完了した。そして、お互いにほぼ同時に発進しデュエルを開始した。
「「デュエル!」」
YUYA VS No.6
『さぁ! お互いほぼ同時にスタートしました! 果たして先行を取るのは榊遊矢か!? それとも氷河美代か!?』
そんなMCの声に答えるように先にスタジアムを出たのは、No.6だった。これにより先行と後攻が決まりデュエルが始まる。
「私のターン! ……っ!」
『おーっと!? 氷河美代、一番最初にアクション魔法を拾ったぞぉ!? これは一体……!』
No.6はアクション魔法を取り手札に加えた。アクション魔法をここで拾ってもうま味があるとは言い難い。しかし、このデュエルにも慣れて来た彼女にミスはない。
「私は手札より“手札断殺”を発動! お互いに手札を2枚、墓地に送りその後2枚ドローする! 私は今手札に加えたアクション魔法を含む2枚の手札を墓地に送る!」
『な、なんと! アクション魔法を使わずに“手札断殺”で墓地に送るカードにしてしまった! でもこれで実質2:2の等価交換となります!』
No.6
手札6枚→4枚→6枚
YUYA
手札5枚→3枚→5枚
「私は手札から“
サイレント・アングラー(水/魚族 星4)
ATK800 DEF1400
「そして私は同名モンスターをデッキより手札に加える。更に! 通常魔法“霧の闘争”を発動する! 榊遊矢、お前は手札からレベル4以下のモンスターを1体、特殊召喚しろ」
「え? いいのか? なら、俺は“EMギッタンバッタ”を特殊召喚する!」
EMギッタンバッタ(地/昆虫族 星4)
ATK100 DEF1200
「私は手札からそのモンスターよりレベル・攻撃力・守備力が低いモンスター1体を特殊召喚する。私は手札から“
ATK0 DEF0
「そして私は“
貪食魚グリーディス(水/魚族/チューナー 星3)
ATK1000 DEF1000
「チューナーモンスター!? まさか!?」
「そのまさかだ! とは言えまだ準備は出来ていないがな。私は手札から“ホワイト・モーレイ”を通常召喚する!」
ホワイト・モーレイ(水/魚族 星2)
ATK600 DEF200
「私はレベル4“サイレント・アングラー”とレベル2“ホワイト・モーレイ”にレベル3“貪食魚グリーディス”をチューニング!
破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! シンクロ召喚! 現れよ、“氷結界の龍トリシューラ”!」
氷結界の龍トリシューラ(水/ドラゴン族 星9)
ATK2700 DEF2000
「“氷結界の龍トリシューラ”の召喚時効果発動! 貴様の手札・フィールド・墓地のモンスターをそれぞれ1枚ずつ除外する!」
「くそっ!」
遊矢は脳裏に収容所でのデュエルを思い出す。その時もこのように手札やフィールド、墓地のカードをズタズタにされ遊矢の特異なペンデュラム召喚を行う事が出来なかった。今回もフィールドに召喚させてまで相手はカードを削りに来ていた。
YUYA
4枚→3枚
「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
序盤から大きく動いたNo.6。その効果は如実に表れていた。既に遊矢の手札は2枚ドローできたとはいえ2枚墓地に送られた上にフィールドに特殊召喚させられた上に手札1枚と共に除外されてしまっていた。早くも遊矢の手札は3枚となってしまっていた。
「俺のターン!」
YUYA
手札3枚→4枚
だが遊矢は諦める事も、戦意を喪失する事もなく自分のデュエルを始める。
「……っ!」
『おっと!? 遊矢もアクション魔法を拾ったぁ! これはもしや……!?』
「俺は手札から“ペンデュラム・コール”を発動する! 今手札に加えたアクション魔法を墓地に送りデッキから名称の異なる魔術師Pモンスターを2体! 手札に加える!」
YUYA
手札4枚→3枚→5枚
「俺はスケール1の“星読みの魔術師”とスケール8の“時読みの魔術師”でペンデュラムスケールをセッティング!」
遊矢はNo.6と同じようにアクション魔法を手札コストにする事で手札の消費を抑えつつペンデュラム召喚が可能な状態にしてみせた。
「揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚! 俺のモンスター達!」
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン(闇/ドラゴン族 星7)
ATK2500 DEF2000
EMウィップ・バイパー(地/爬虫類族 星4)
ATK1700 DEF900
EMセカンドンキー(地/獣族 星4)
ATK1000 DEF2000
「厄介だな。なら、私は罠カード“トリシューラの鼓動”を発動する! 自分フィールドの氷結界シンクロモンスターの種類の数だけ効果を発動できる! 私のフィールドには1種類のみ。故に相手フィールドのカード1枚を除外する!私は“オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン”を除外する!」
「っ! オッドアイズ!」
No.6が発動した罠カードによって榊遊矢の切り札と言える“オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン”はフィールドから消え去った。除外されたモンスターを呼び戻す方法は少なくこのデュエルで戻って来る可能性はないと言えた。
しかし、“オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン”を排除する事でもう一つの切り札を止める事は難しくなった。
「俺は“EMセカンドンキー”の召喚時効果でデッキから“EMドクロバット・ジョーカー”を手札に加える! 続いて“EMウィップ・バイパー”の効果発動! “氷結界の龍トリシューラ”の攻撃力・守備力を入れ替える!」
「させん! 私は墓地の“トリシューラの鼓動”の効果を発動する! このカードを除外する事で“氷結界の龍トリシューラ”を対象にする効果を無効にする!」
たった1枚のカードに2度も動きを封じられた遊矢だがこれで邪魔をする事は出来ないだろう。遊矢はここまでの恨みを晴らすように高らかに叫ぶ。
「俺はレベル4“EMウィップ・バイパー”と“EMセカンドンキー”でオーバーレイ!
漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ! エクシーズ召喚! 現れろ! ランク4! “ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン”!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(闇/ドラゴン族 ランク4)
ATK2500 DEF2000
「エクシーズのドラゴンか!」
「“ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン”の効果発動! オーバーレイユニットを2つ取り除く事で相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にしてその数値分、“ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン”の攻撃力をアップする! トリーズン・ディスチャージ!」
氷結界の龍トリシューラ
ATK2700→1350
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
ATK2500→3850
「攻撃力3850!? これは……っ!」
「バトルだ! “ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン”で“氷結界の龍トリシューラ”を攻撃! 反逆のライトニング・ディスオベイ!」
「ぐっ! ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
No.6
LP4000→1500
『ここで氷河美代がダメージを受けたぁ! 遊矢、手札を削られ、妨害を受けながらも大ダメージを与える事に成功したぁ!』
MCも興奮しながらそう叫ぶ。このダメージは大きく厄介な“氷結界の龍トリシューラ”を排除しながら行う事が出来たがNo.6はダメージを受けつつもその表情に焦りなどは存在しなかった。
「私は手札から“トリシューラ・シンクロ・リンク”の効果を発動する! 自分フィールドのドラゴン族氷結界シンクロモンスターが戦闘・効果で破壊された時、手札からこのカードを特殊召喚する!」
トリシューラ・シンクロ・リンク(水/機械族 星1)
ATK0 DEF0
「攻守0……? 一体どんな効果を……」
「どうした? お前は終わりか?」
「っ! 俺はターンエンドだ」
No.6 LP1500
手札1枚
モンスター
トリシューラ・シンクロ・リンク(攻撃表示)
魔法・罠
なし
YUYA LP4000
手札1枚
モンスター
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
魔法・罠
なし
ペンデュラム
星読みの魔術師(スケール1)
時読みの魔術師(スケール8)
「私のターン! ドロー!」
No.6
手札1枚→2枚
「……私は手札から“サイレント・アングラー”を召喚!」
サイレント・アングラー(水/魚族 星4)
ATK800 DEF1400
「榊遊矢! 貴様とのデュエルは本当に面白い! 収容所では物足りなさを感じたが今度は違う! 私の妨害を乗り越え大ダメージを与えてきた!」
「デュエルは楽しくやるものだろう! なんでデュエルで戦争を起こすんだ!」
「それが必要な事だからだ。だが、そうだな。確かにデュエルは楽しくやるものだろう」
No.6はそう言いながら試合前のNo.7を思い出す。
―ユーゴってやつとデュエルした時、俺は楽しいって思ったんだ
―アカデミアじゃそんな事を思う事自体禁忌みたいなところがあったけどさ
―No.6も榊遊矢とのデュエルで何か感じる事があるかもしれないぜ?
「(あの時は失笑したが今なら分かる。いや、
「っ! 来い!」
そう言うと同時にDホイールも加速しデュエルの激しさを増していく。
「私は“トリシューラ・シンクロ・リンク”の効果を発動する! このターン、ドラゴン族氷結界シンクロモンスター以外の特殊召喚を封じる代わりにレベルを1から6のいずれかに出来る!」
「何だと!?」
「私はレベルを2に変更する!」
トリシューラ・シンクロ・リンク
レベル1→2
「私はレベル4の“サイレント・アングラー”にレベル2“トリシューラ・シンクロ・リンク”をチューニング!
全ての敵を貫く至上の槍よ! 必中の力で敵を貫け! シンクロ召喚! “氷結界の龍ブリューナク”!」
氷結界の龍ブリューナク(水/海竜族 星6)
ATK2300 DEF1400
「“氷結界の龍ブリューナク”の効果発動! 手札を任意の枚数墓地に送り墓地に送った枚数と同じ相手フィールドのカードを手札に戻す!」
「何だと!?」
「私は手札を1枚墓地に送り貴様の“ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン”を手札に戻す! 勿論、そいつはエクシーズモンスターだ。故に手札ではなくエクストラデッキに戻ってもらう!」
「くっ!」
強大な力を誇るドラゴンも効果の前に呆気なく消え去り、榊遊矢への道を明け渡してしまう。今の遊矢は無防備であった。
「バトル! “氷結界の龍ブリューナク”で
「っ! アクション魔法“ダメージ・バニッシュ”を発動する! 俺が受ける戦闘ダメージを0にする!」
「ちっ! ダメージを与える事は出来なかったか! 私はターンエンドだ!」
ブリューナクが攻撃をしようとしたがそれを遊矢はアクション魔法を拾って回避した。それによりダメージは免れる事が出来たが劣勢である事に変わりはなかった。更に言えば次のターンで“氷結界の龍ブリューナク”を何とかしないと再び効果を使われてカードをバウンスされる。それだけは防がなければならなかった。
「俺のターン!」
YUYA
手札1枚→2枚
「俺は“EMドクロバット・ジョーカー”を召喚する!」
EMドクロバット・ジョーカー(闇/魔法使い族 星4)
ATK1800 DEF100
「“EMドクロバット・ジョーカー”の召喚時効果発動! デッキから“オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン”を手札に加える! そして! セッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚を行う! いでよ! 俺のモンスター達!」
EMユーゴーレム(闇/悪魔族 星4)
ATK1600 DEF1000
オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン(闇/ドラゴン族 星3)
ATK1200 DEF600
「“EMユーゴーレム”の効果発動! ペンデュラム召喚に成功した時、融合召喚を行える! 俺は“EMユーゴーレム”と“オッドアイズ・ミドラーシュ・ドラゴン”で融合!
二色の眼の龍よ! 勇猛な獣の爪を得て新たな力を示せ! 融合召喚! いでよ! 野獣の爪持ちし龍! “EMオッドアイズ・メタル・クロウ”!」
オッドアイズ・メタル・クロウ(闇/ドラゴン族 星8)
ATK3000 DEF2000
「攻撃力3000! やるじゃないか! で? ここからどう見せてくれるんだ?」
「勿論バトルだ! 俺は“オッドアイズ・メタル・クロウ”で“氷結界の龍ブリューナク”を攻撃! 攻撃宣言時! 自分フィールドのモンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了時まで300アップする!」
オッドアイズ・メタル・クロウ
ATK3000→3300
EMドクロバット・ジョーカー
ATK1800→2100
「2体のモンスターの攻撃を受ければ私の敗北だな。なら!」
No.6はDホイールを加速させるとフィールドに落ちているアクション魔法を拾う。
「アクション魔法“奇跡”を発動する! これで“氷結界の龍ブリューナク”の戦闘破壊を防ぎ、受けるダメージも半分にする! 残念だったな!」
「まだだ!」
遊矢はそう言うと自らもアクション魔法を発動する。
「アクション魔法“ノーアクション”! 相手のアクション魔法の発動を無効にして破壊する!」
「なっ!?」
「行け! “オッドアイズ・メタル・クロウ”!」
「ぐっ!」
No.6
LP1500→500
「止めだ! “EMドクロバット・ジョーカー”で
「……っ!」
No.6
LP500→0
“EMオッドアイズ・メタル・クロウ”の攻撃を受け大きく吹き飛ぶNo.6。しかし、No.6はその瞬間笑みを浮かべ、満足そうに眼を閉じた。
『試合終了! 勝ったのは榊遊矢! 手に汗握る怒涛のデュエルでしたー!』
その様子をヘリより中継していたMCの言葉と同時にスタジアムで歓声が響き渡る。Dホイールより投げ出されたNo.6は地面に叩きつけられつつも難なく立ちあがるとDホイールから降りた榊遊矢と向き合う。
「榊遊矢。収容所での時とは違い、私は楽しめた。良いものだな。アカデミアの使命や隊長の野望の事など考えずに純粋に楽しむデュエルというのは」
「……」
榊遊矢は何処か満足そうにしているNo.6を見て改めてアカデミアの人々とも通じ合う事が出来ると認識した。そんな彼にNo.6は手を差し出す。
「私はリリーサーズNo.6。氷河美代だ」
「……榊遊矢だ」
そう言って遊矢は差し出された手を握り、握手をした。そんな彼にNo.6は言う。
「榊遊矢、気を付ける事だ。我が隊長の野望の達成まで後僅かだ」
「? それって一体……」
「アカデミアは大きく変貌を遂げようとしている。恐らく、今頃は隊長が行動に移している頃だろう」
不思議そうな顔をする遊矢に構わずにNo.6は言い続ける。
「私も一度、隊長と話し合ってみようと思っている。そして、私がもし生きていたらその時はリベンジさせてもらうぞ」
「っ! それってどういう……!」
榊遊矢がNo.6の言葉の意味を訪ねようとした時だった。彼女の体を何かが包み込み、その場から彼女は消えた。いきなりの事だったがこの現象を遊矢は知っていた。素良がユートと対峙した時に使った転送装置だった。
「一体、アカデミアで何が……」
一人その場に残された遊矢はNo.6が言った言葉を思い出しながら敵であるアカデミアの事を思うのだった。
トリシューラ・シンクロ・リンク(水/機械族 星1)
ATK0 DEF0
このカード名の①による特殊召喚はデュエル中に1度のみ発動できる。このカードはフィールドを離れた時除外される。
①自分フィールドのドラゴン族「氷結界」Sモンスターが戦闘・効果で破壊された時に発動できる。手札からこのカードを特殊召喚する。
②自分のメインフェイズに発動できる。1から6までの数字を宣言する。このカードのレベルは宣言した数字と同じになる。この効果を発動するターンの間自分はEXデッキからドラゴン族「氷結界」Sモンスターしか特殊召喚出来ない。
霧の闘争(通常魔法)
自分フィールドに水属性モンスターが存在する場合に発動できる。相手は手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。その後、自分はそのモンスターよりレベル・攻撃力・守備力が低いモンスター1体を手札から特殊召喚する。この効果でモンスターを特殊召喚出来ない場合、自分はデッキから1枚ドローする。