「俺のターン!」
先行を取ったのは権現坂だった。彼は超重武者というカテゴリを使うフルモンデッキを使用する。そんな彼は手札から2枚のカードを取り出した。
「俺は手札からスケール1の“超重輝将ヒス-E”と“超重輝将サン-5”でペンデュラムスケールをセッティング! これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能となった!」
「これが、ペンデュラム……!」
権現坂のペンデュラムにNo.20は見惚れたように呟くと狂気的な笑みを浮かべる。
「壊し甲斐があるじゃねぇか!」
「……我が不動のデュエルは例え相手が女子供だろうと容赦する事は無い! ペンデュラム召喚! 現れろ! チューナーモンスター“超重武者コブ-C”! “超重武者カゲボウ-C”! “超重武者ダイ-8”!」
超重武者コブ-C(地/機械族/チューナー 星2)
ATK900 DEF900
超重武者カゲボウ-C(地/機械族 星3)
ATK500 DEF1000
超重武者ダイ-8(地/機械族 星4)
ATK1200 DEF1800
「へぇ、本当に特殊召喚されてるな。面白いじゃん! で? チューナーモンスターを出したという事はこのままシンクロ召喚でもするのかな?」
「まだだ! 俺は“超重武者ダイ-8”の効果を発動する! 表が守備表示のこのカードを攻撃表示に変更する事でデッキより超重武者装留モンスター1体を手札に加える! 俺が手札に加えるのは“超重武者装留シャイン・クロー”を手札に加える!」
超重武者ダイ-8
DEF→ATK
GONGENZAKA
手札0枚→1枚
「行くぞ! 俺はレベル3“超重武者カゲボウ-C”とレベル4“超重武者ダイ-8”にレベル2“超重武者コブ-C”をチューニング!
動かざること連山のごとし。大岩に宿りし魂、今、そびえ立つ砦となれ! シンクロ召喚!いでよ! レベル9、“超重魔獣キュウ-B”!」
超重魔獣キュウ-B(地/機械族 星9)
ATK1900 DEF2500
「更に俺は手札の“超重武者装留シャイン・クロー”を“超重魔獣キュウ-B”に装備する! “超重魔獣キュウ-B”はルール上超重武者モンスターとして扱われる。よって装備条件を満たしている! “超重武者装留シャイン・クロー”を装備したモンスターの攻撃力・守備力は500アップし、戦闘では破壊されなくなる!」
超重魔獣キュウ-B
ATK1900→2400
DEF2500→3000
「俺はこれでターンエンドだ」
「よっしゃ! それじゃ行くぜ! 俺のターン! ドロー!」
No.20
手札5枚→6枚
「俺は手札から“サイバー・ドラゴン・コア”を召喚! このカードはフィールド・墓地に存在する限り“サイバー・ドラゴン”として扱われるモンスターだ! 更にこのカードの効果によりデッキから“サイバー・レヴシステム”を手札に加える!」
サイバー・ドラゴン・コア(光/機械族 星2)
ATK400 DEF1500
「そして手札から“融合”を発動! フィールドの“サイバー・ドラゴン・コア”と手札の“サイバー・ドラゴン”で融合!
めっちゃカッコいい機械の龍を1つにして最強の龍に変形合体! 融合召喚! “サイバー・ツイン・ドラゴン”!」
サイバー・ツイン・ドラゴン(光/機械族 星8)
ATK2800 DEF2100
「“サイバー・ツイン・ドラゴン”は1度のバトルフェイズで2回攻撃が出来る! 行くぜ!」
「その前に“超重魔獣キュウ-B”の効果を発動させてもらう! “超重魔獣キュウ-B”は相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの数だけ守備力を900アップする!」
「はぁっ!? それじゃそいつは……」
超重魔獣キュウ-B
DEF3000→3900
「ぐぬぬ……! 3000くらいならどうとでも出来たけど……! 仕方ない。俺は手札から速攻魔法“リミッター解除”を発動する! 自分フィールドの機械族モンスターの攻撃力は2倍になる!」
「な、何だと?」
サイバー・ツイン・ドラゴン
ATK2800→5600
「行け! “サイバー・ツイン・ドラゴン”で攻撃!」
「……ん?」
“サイバー・ツイン・ドラゴン”が攻撃を行うも“超重魔獣キュウ-B”は全く動じることなく攻撃を受け切った。そして、何処か呆れた様子でNo.20を見ていた。
「はぁ!? なんで破壊されねぇんだよ!」
「いや、“超重武者装留シャイン・クロー”の効果で戦闘では破壊されないと先ほど言ったはずだが……」
「……ああ!」
No.20は漸く思い出したのか目を見開いて驚いていた。完全なプイングミスに権現坂は呆れつつも目の前の少女について考える。明らかにアカデミアの生徒というには幼いがリリーサーズに所属している。
「……お主は何故アカデミアにいる?」
「あ? そんなの単純だ! 俺は孤児院で育ったが1年か2年だったか前に隊長が俺をスカウトしにやってきたのさ! 俺はそれを受け入れてアカデミアにやってきたのさ!」
No.20は無い胸を張り自慢するように言った。融合次元ではデュエリストになるのは歯分義務のような風潮がある。そんな中で幼くしてスカウトされたという事は栄誉ある事だった。故に彼女はその事で自信を持っていた。
「んじゃデュエルに戻るぜ! 俺はメインフェイズ2に入り手札から“サイバー・レヴシステム”を発動する!墓地のサイバー・ドラゴンを特殊召喚する!」
サイバー・ドラゴン(光/機械族 星5)
ATK2100 DEF1600
「そして俺はエクストラデッキの“キメラテック・フォートレス・ドラゴン”の召喚条件に従い“サイバー・ツイン・ドラゴン”! “サイバー・ドラゴン”! そして! お前のダサい変なモンスターを墓地に送る!」
「変なだと!? これは“超重魔獣キュウ-B”と言う名が……! ん? これもだと!?」
「そうだよ! そしていでよ! “キメラテック・フォートレス・ドラゴン”!」
キメラテック・フォートレス・ドラゴン(闇/機械族 星8)
ATK0 DEF0
「“キメラテック・フォートレス・ドラゴン”の効果で元々の攻撃力は融合素材としたモンスターの数×1000となる!」
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
ATK0→3000
「何と……! そのモンスターを最初から出して居ればこのような状況に陥る事は無かったのではないか?」
権現坂は不思議そうに言う。“サイバー・ドラゴン”の効果で特殊召喚してから“サイバー・ドラゴン・コア”を出し“超重魔獣キュウ-B”を巻き込み“キメラテック・フォートレス・ドラゴン”を出す。更に先ほどの“サイバー・レヴシステム”を使い“サイバー・ドラゴン”を蘇生させれば魔法・罠を使わない権現坂は敗北していただろう。にも関わらず目の前の少女は雑なプレイングでミスをした。それが不可解でならなかった。
しかし、そんな権現坂の疑問にNo.20は驚きの回答をして見せた。
「ん? だってこのモンスターかっこよくないじゃん。“サイバー・ツイン・ドラゴン”とか“サイバー・ドラゴン”を見てみろよ! 滅茶苦茶カッコいいじゃん!」
「……それだけか?」
「あ? 悪いかよ! カッコいいモンスターを優先して何が悪いんだ!?」
「いや、そんな事はないが……」
見た目で選んでいるという事実に権現坂はなんと答えて良いのか分からなかった。確かに誰だって見た目で選ぶことはあるだろう。“増殖するG”などそのいい例だ。効果が発動するたびにGが出てくるのだ。プロデュエリストでそれを用いた者は軒並み人気を無くし、やがて引退していったという話は権現坂も聞いた事があった。
しかし、この少女はそう言う生理的嫌悪からくるものではない。だがどんなカードを使い、どんなカードを優先するかは個人の自由だ。故に権現坂はそれ以上追及する事は止めた。どちらにしろ彼の劣勢である事に変わりはないのだ。
「俺はターンエンドだ。この瞬間、“リミッター解除”の効果を受けたモンスターは全て破壊されるがそのモンスターはフィールドにはいない」
GONGENZAKA LP4000
手札0枚
モンスター
なし
魔法・罠
なし
ペンデュラム
超重輝将ヒス-E(スケール1)
超重輝将サン-5(スケール8)
No.20 LP4000
手札2枚
モンスター
キメラテック・フォートレス・ドラゴン(攻撃表示)
魔法・罠
なし
「俺のターン!」
GONGENZAKA
手札0枚→1枚
「俺は手札から“超重武者タマ-C”を召喚する!」
超重武者タマ-C(地/機械族/チューナー 星2)
ATK100 DEF800
「俺の墓地に魔法・罠カードが存在せず自分フィールドに超重武者モンスター以外のモンスターがいないとき、“超重武者タマ-C”の効果を発動できる! 俺はお前の“キメラテック・フォートレス・ドラゴン”とこのカードを墓地に送る!」
「何だと!?」
「そして! このカードと“キメラテック・フォートレス・ドラゴン”のレベルの合計が同じモンスターでシンクロ召喚が出来る! 俺の“超重武者タマ-C”はレベル2! “キメラテック・フォートレス・ドラゴン”のレベルは8! よってレベル10のモンスターを召喚出来る!」
「そんな……!」
「荒ぶる神よ、千の刃の咆哮と共に砂塵渦巻く
超重荒神スサノ-O(地/機械族 星10)
ATK2400 DEF3800
相手フィールドのモンスターを除去しつつの召喚。それはまさに前のターンにNo.20が行った事と同じやり方だった。
「俺は“超重荒神スサノ-O”の効果発動! 自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、相手の墓地のカードを自分フィールドにセットする! 俺はお前の“リミッター解除”を選択する!」
「え!?」
「俺にとってはあまり必要なカードではないが墓地から回収できるカードも存在する。よってこちらのフィールドにセットさせてもらおう」
権現坂はそう言うと“リミッター解除”をセットする。その様子はまるで悪さした子供から玩具を取り上げる親の如き状態だった。二人の体格を考えれば余計にそう見えるだろう。しかし、今行われているのは命すら奪う事が出来るデュエルだ。よって、権現坂はどうするべきか決めていた。
「行くぞ! “超重荒神スサノ-O”で
「くっそー! ……ん?」
No.20は自分に来るダメージを覚悟して目をつぶるが何時まで経っても痛みは来ない。恐る恐る目を開ければゆっくりと迫る矛があった。
「……へ?」
そして矛はこつんとNo.20の頭に直撃する。頭を小突かれたような衝撃が一瞬No.20の体を駆け巡るがそれ以上の痛みなどはなかった。
No.20
LP4000→200
しかし、LPはきっちりと減っている為攻撃力が下がったという訳ではなかった。そして、その結果自分がどういう状況にあるのかを察し権現坂を睨みつける。
「お前……! わざとこんな風な攻撃にしただろ!」
「流石にこのデュエルが相手に激痛をもたらす以上ダメージを与えないようにする必要がある。俺はそれを実行したまでだ」
「ふざけるな! こんなの認められるか! 見てろよ! 次の俺のターンでお前をけちょんけちょんにしてそんな事を言えなくしてやる!」
「そうか。俺はターンエンドだ」
「くっそー! 俺のターン!」
No.20
手札2枚→3枚
「……」
前のターンでは色々と喚いていたNo.20だが手札には逆転できるカードがなかったのか顔をしかめて手札を確認していた。
「……俺は手札から“サイバー・リペア・プラント”を発動する! この効果によりデッキから“サイバー・ドラゴン”を手札に加える! そして! 手札の“サイバー・ドラゴン”の効果により自分フィールドにモンスターがいなくて相手フィールドにモンスターがいる時に特殊召喚する!」
サイバー・ドラゴン(光/機械族 星5)
ATK2100 DEF1600
「守備表示か」
「ああそうだよ! 盾にしか出来ないからな! 俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
GONGENZAKA LP4000
手札0枚
モンスター
超重荒神スサノ-O(守備表示)
魔法・罠
なし
ペンデュラム
超重輝将ヒス-E(スケール1)
超重輝将サン-5(スケール8)
No.20 LP4000
手札2枚
モンスター
サイバー・ドラゴン(守備表示)
魔法・罠
セット
「俺のターン!」
GONGENZAKA
手札0枚→1枚
「行くぞ! 俺は“超重荒神スサノ-O”で“サイバー・ドラゴン”に攻撃! クサナギソード・
「くっ!」
“サイバー・ドラゴン”は呆気なく破壊されてしまったがこれで凌げたとNo.20は笑みを浮かべた。次のターンこそ叩き潰してやると意気込んでいると権現坂が言った。
「“超重輝将サン-5”のペンデュラム効果を発動する! 自分の超重武者モンスターが相手モンスターを破壊した時、もう一度攻撃を行う事が出来る!」
「え!?」
「“超重荒神スサノ-O”! もう一度攻撃せよ!」
「ち、ちくしょー!」
No.20
LP200→0
先ほどと同じように“超重荒神スサノ-O”は手加減した。今度は矛をNo.20の前で叩きつけその衝撃波でNo.20を吹き飛ばした。小さい体のNo.20は大きく吹き飛ばされた。そのまま地面にたたきつけられたNo.20は痛みにこらえながら目じりに涙を貯めつつ立ち上がる。
「く、クソ野郎……!」
「痛いか?」
「はぁ!?」
「今の攻撃で受けたダメージは痛いかと聞いている!」
「そ、それは……。そうだけど……」
権現坂の気迫にNo.20は圧されつつそう答える。
「貴様が命じた事はこういう事だ。お前は今人殺しを命令しているのだ!」
「そ、それの何が悪いんだよ! 俺達は隊長の為に頑張ってるんだ! 部外者がペチャクチャ言ってんじゃ……!」
「貴様が! 俺たちを巻き込んだ時点で! 部外者ではない!」
「ひっ!」
権現坂の剣幕にNo.20は小さな悲鳴を上げた。
「お前はデュエルで怪我をしていたかっただろう? 俺は手加減をしたが彼らはそんな事を行っていない! 自分自身で考えてみろ!」
「……」
No.20はそう言われて考えてみる。いきなり襲われ、死ぬほど痛いダメージを受けた上で淡々と殺しに来ようとする相手を……。
「っ!!」
そこまで考えて漸くNo.20は自分がこれまでしてきた事の意味を理解した。そして同時に恐怖に襲われる。自分が死ぬかもしれないという恐怖でガタガタと震え始める。
「お、俺は……」
「……今からでも間に合う。これまでの事を反省し、正しく生きるのだ」
「正しく……」
No.20に向けて権現坂は手を伸ばす。No.20はその手を見て一瞬迷うもおずおずとその手を握ろうとした。
その瞬間だった。
「それはさせる訳にはいかんのぅ」
「何!?」
「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」
しわがれた声が聞こえたかと思うと突然No.20は悲鳴を上げた。No.20のデュエルディスクから機械の管が飛び出しNo.20の関節部に装着されていく。そして、最後には頭部に管が装着される。
「これは一体……!」
「っ! ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
管が頭部に刺さった瞬間、No.20は絶叫を上げる。目を見開き、頭を抑えてその場に蹲るNo.20に権現坂は近寄る。
「どうした!? 大丈夫か!?」
「ぐっ、ううぅぅぁぁぁああああああああああっ!!!!」
「ぐっ!?」
駆け寄って来た権現坂に対してNo.20は少女とは思えない怪力でもって権現坂を突き飛ばす。先程デュエルをしていた位置まで突き飛ばされた権現坂は突然豹変したNo.20に驚いていた。
No.20はゆらゆらと立ち上がるとデュエルディスクを構えた。そして、顔を上げたその顔には憤怒とも取れる程顔が歪んでいた。獣が威嚇するように歯を食いしばり、口を横に広げ、目をこれでもかと開き、血管でも浮き出るように頬に線が走っていた。
「デュエルゥゥッ!!!」
「一体これは……!?」
「何、簡単な話じゃよ」
終始困惑する権現坂の言葉に答えるようにNo.20の隣に一人の老人が現れる。着物を着て穏やかそうな表情をする老人はこの場にさえいなければ善人と言える風貌をしていた。
しかし、この場にいる事で怪しさを際立たせていた。
「お初にお目にかかる。私はリリーサーズ所属のデュエリストNo.5。この小娘の守役じゃ」
「リリーサーズ!?」
「さて、お主の問いに答えるのならこれはデュエル強制プログラムとも言うべきシステムじゃ。我らリリーサーズはどんな状況でも目的を完遂出来るようにしなくてはならん。その為のプログラムじゃ。これを組み込まれたデュエルディスクを持った者が肉体の欠損や戦意喪失などでデュエルを続行できないと判断された時、このように意思を奪いデュエルを強制的に行う。これはあくまで戦意喪失の場合のみじゃが肉体の欠損の場合はソリットビジョンを生かした義手が誕生する」
「何だと!? そんな非道な行いを……!」
「この小娘は年齢に反して優秀なデュエリストじゃ。じゃがいかんせん影響を受けやすいうえにデュエルの腕も時々信じられんようなミスをする。そこでこのシステムじゃよ。見てみよ。この小娘は先ほどとは違い油断も隙も無い。貴様を殺す事が出来るデュエリストに変貌したぞ」
「貴様……! その様な事が許されると思っているのか!?」
「……我らの行いを許せないというのならその犠牲となった小娘とデュエルをして勝利する事じゃ。そうすればこのシステムよりNo.20は解放されるじゃろう」
「……本当だな?」
「お主に嘘をついてどうする? ほら、急いだほうが良いぞ。目標を別の奴に変えてしまうからの」
No.5の言葉に権現坂は再びデュエルディスクを構える。やる気を見せたためかNo.20は権現坂を睨みつけるように見る。
「精々負けぬように励む事じゃ。出なければお主、死ぬぞ?」
「無論そのつもりだ! 行くぞ!」
「「デュエル!」」
No.20 VS GONGENZAKA
こうして権現坂とNo.20の2回目のデュエルが開始された。