クワガノンとカントーで生き抜く   作:クワガノンが好きなんだ

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前回のあらすじ
寝付けない夜にポケモンセンターの宿泊施設を抜け出したシロツメ。
何かのポケモンの遠吠えに導かれるように謎の場所へ迷い込み、通常よりも大きいヘルガーと出会う。
ヘルガーを仲間にしたシロツメは困惑したまま宿泊施設へと戻るのだった。


森育ちなめんな

「ご報告申し上げます…様!実験No.007が脱走いたしました!」

 

清らかな白を基調としたとある一室にて、黒を纏った人物の前に姿勢を正し部下らしき男が報告していた。

 

「…そうか、埋め込んだチップはどうした」

「正常に機能しております」

 

黒を纏った人物は小さく舌打ちを打つと、手元の資料をちらりと見た。

 

「すぐに位置を特定して連れ戻せ、あれは今外に出してはいけない物だ」

「了解いたしました!」

 

部下が部屋を出ていくと、黒を纏った人物は窓の外を見る。

 

高いビルの最上階から見える夜景は、ネオンが光り、星の輝きさえ霞んで見えた。

奇跡をゴミのように重ねた景色だと、黒を纏った人物は感じていた。

 

「ポケモンの完全支配を達成すれば…我が理想は叶うのか」

 

自分に問いかけるように、小さくつぶやいた。

 

彼の机には、赤ん坊を抱えた母親の写真がポツリと置かれていた。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「無理無理無理…どうしろってんだ俺に…」

 

俺は宿泊施設のベッドに座り、頭を抱えていた。

爽やかな朝の日差しが部屋に注ぎ込む非常に良い微睡の時間。だがそんなこと俺にとっては些細なことだ。

 

昨晩のヘルガーは夢だと思いたかった。

絶対突然変異とかの個体だもん。良からぬ事を考える研究者とかポケモンの密猟者に狙われるやつだもんこれ。

ロケット団とかに目つけられたらどうしよう…めんどくせぇんだよその場合…。

 

で、当の本人はすやすやと俺の眠ってる間に勝手にボールの外に出て俺のベッドで眠ってるわけだ。

 

つーかマジででかいなこいつ…。

 

俺がそんな感じでうだうだと考えていると、ヘルガーはパチリと目を覚ました。

 

「…ゥ」

 

眠そうに控えめにあくびするとベッドを降り、モンスターボールの中に戻った。

 

こいつでかいだけじゃなく賢いんだよなぁ。

 

と、俺がそう思ってるとクワガノンがモンスターボールから出てきた。

 

何?俺のポケモンは勝手にモンスターボールから出てこないといけない縛りでもあるの?

 

「ジジジッ」

「どうしたクワガノン。ちょ、顎のやつで小突かないで!マジで痛い!なんで小突くんだ!?」

 

クワガノンは俺を睨むようにして軽く小突いてくる。何に怒ってんだよこいつ!?

 

「ジジーーッ!」

「あ痛ぁ!?…も、もしかして、勝手にヘルガー仲間にしたこと怒ってんの?」

 

俺がそう言った瞬間クワガノンはピタリと止まった。あ、図星だわこれ。

 

「あー…それはごめん…お前モンボの中でぐっすりだったから…」

「…ジィ…」

 

たしかにクワガノンに一言言うべきだったかも…まぁやっちまったもんはしゃあなしなんだが。

 

「安心しろよ、俺の相棒はお前だけだって」

「ジジ…」

 

俺はクワガノンを撫でると、ちらりとヘルガーのモンボを見た。

 

さて、どうすべきかな。仲間にした以上は出来るだけ手放したくないものだが…。

 

クワガノンをモンボに戻して、バッグを担ぐと俺は部屋を出てロビーへ出る。

目立つレッドさんとグリーンさんはまだ部屋にいるようで、俺はしばらく考える。

 

「…先行っちまうか」

 

必要なもんだけ買ってさっさとジム目指そう。その方がぐだぐだ地元にいるよりはいいだろ。

 

朝食はどうするのかって?俺は元々朝食は食わない派なんだよ。

 

 

 

さて、トキワの森の前まで来たわけだが…どうしよ。見るからに怪しい奴がいる。

いや、ロケット団とかそういうのじゃなさそうなんだけど、明らかに怪しいんだわ。なんでトキワの森の前で白衣着てんだあいつ。

 

「…トキワの森にも居なかったか、チップを自分で外したのか?」

 

なんか一人でぶつぶつ言ってる…こわ…近寄らんとこ…。

 

俺が静かに隣を通り抜けようとすると、目が合ってしまった。

 

「ああ、そこの君!こんなポケモンを見なかったか?」

 

やべ、捕まったわ。

 

俺が白衣のやつに見せられた写真には、ヘルガーが写っていた。隣に立つ人間と比べると明らかに通常よりも大きいヘルガーだ。

 

アッッ完全に俺の手持ちですねぇ!!

 

厄介ごとに首突っ込んじまったなこれ。えっ、本当にどうしようこれ。

 

「私の研究所で預かっていたとても凶暴なポケモンでね、それがどこかへ逃げてしまったんだよ」

「ア、スイマセンシラナイデス」

「そうか…うーん、参ったな…」

「タイヘンデスネ、ハヤクミツカルコトヲネガッテマス。ソレデハ」

 

俺は早足でトキワの森の整備された道へ入った。

 

こっっっっっわ!こんな冷や汗出たのトキワジムの件以来だわ!!

 

俺は深くため息をつくと、トキワの森の道をズンズン進む。森育ちなめんな?道さえあれば迷わないし多少の崩れた足場もどんどん行けるわ。

もうトキワの森は俺の庭だ。でも二度とここで暮らしたくはないです。

 

たまにトレーナーとバトルになるが、まぁクワガノンで軽く流す程度で勝てる、ヌルゲーだなぁ。

 

トキワの森を早々に抜けると、ニビシティへ一直線に足を進める。

 

なんでそんなに急ぐのかって?白衣の人が怖いんだよ。

人間後ろめたいことがあると焦るんだよ。

 

はぁ…これからどうしよう…。




さぁ…様は一体誰で何者なんでしょうねぇ?
何か重要な鍵を握ってるみたいですけど…
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