攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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統括理事はストレスが溜まるとつい絡み酒に走っちゃうの☆

 フライドポテトをつまみながらコーラを飲む。

 ファストフード店のそれらとはまた異なる味付けや食感が新鮮で、なんなら調味料にケチャップやマヨネーズを付けたりもできるからまるで別の料理みたいにさえ思えてくる。

 

 塩気もいい感じだし、これだけでも俺ちゃん的にはかなり満足だ。

 そこに加えて熱々の唐揚げもサクサクしていて香ばしく、宴を開始してまだ30分も経っていないんだけど早くも俺のみならず場のテンションもかなりの盛り上がりを見せていた。

 

「んぐんぐんぐ……ぷはー! はっはっはー! 唐揚げにハイボール! サイッコーですねー!」

「酒自体そんなには飲まないが、飲むとなればやはりそれなりに楽しいものだな、これは……ふむ、お代わりを頼もうか。ハイボール、今度はウイスキーの銘柄を変えよう」

「はいはーい! 葵さんもお代わりしちゃいますよ!」

 

 葵さんとヴァールが唐揚げを口にしつつハイボールを飲み、頬を緩めて話し合っている。

 揚げ物とハイボールの相性って良いんだ? なんかテレビでもちょくちょく宣伝とかで見かける気がするけど、まあ炭酸飲料自体が唐揚げとかに合う感じはなんとなくしてるしね。

 

 にしてもヴァール、意外と飲むな……葵さんともどもしれっと3杯目だ。

 彼女も高レベルのオペレータだからまだまだ余裕で素面だけれど、あんまり深酒しすぎたらいつもと違う姿が見れたりするのかな。

 

「ナントカ上戸だったりしたら面白いかもだなあ」

「ん……ヴァールですか? アイツが満面の笑みを浮かべだしたら写真撮りましょうよ父様。もしくは急に泣き出したりしたら」

「天変地異でも起きそうですね、感情剥き出しのヴァールとかー」

 

 俺のちょっとしたつぶやきを拾い、ニヤリと笑って提案するシャーリヒッタ。

 笑い上戸か泣き上戸か、どちらにしても普段鉄面皮に近いヴァールがそんなことになったら、まあ写真の一つにでも収めたくなる気持ちは分からなくもないかも。

 

 対面のリーベもリーベでシャーリヒッタに乗っかって、ヴァールの酔っ払った姿について話題にしようとしているし。

 なんでもいいけど当の本人がジト目でこっちを見ていましてよお二人とも。俺は知らないよ、言い出しっぺだけどつぶやいただけだから知らないよ。

 

「ハッハッハー。公平さん公平さん、ヴァールさんは実はこれで意外と酔っ払うと面倒くさいタイプだったりするんだよ、これが」

「え、エリスさん……そうなんですか? めっちゃ睨まれてますけど」

「ハッハッハー、何度か面倒くさい目に遭わされたエリスさんが言うんだから間違いないよー」

 

 白々しいしらばっくれ方をしていると葵さんの隣、エリスさんがお猪口に注いだ日本酒をチビチビ飲みながら俺に話しかけてきた。

 なんでもヴァールの酒癖は案外悪いらしく、どうも聞いてると絡み酒気味になるみたいだ。ストレス溜まってるんだろうなあ。なんなら今、ジットリと何かもの言いたげにエリスさんを見ているあたり現在進行系で絡み酒に切り替わりそう。怖い。

 

 そんな視線をも受け流しつつ、エリスさんは日本酒を呑みながら語り始める。

 この中では一番ソフィアさんやヴァールとの付き合いが古い彼女だからこその変遷、というか……人に歴史あり、というべきか。

 ヴァールが意外な酒癖を持つに至った流れを、わざわざ話し始めてくれたのだ。

 

「第二次や第三次のモンスターハザードの時はまだお互い、お酒は嗜む感じじゃなかったけどさ。そこから10年後、第四次モンスターハザードの時に久しぶりに会ったヴァールさんに誘われてなんとなしに酒場に行ったらさあ、ものの見事に絡まれちゃった!」

「怖ぁ……え、第三次から第四次までの間に何が」

「WSOが創設されてしばらく経って、いろいろ忙しさにも慣れてきたあたりだったんだろうねー。当時から当然統括理事やってたソフィアさんもヴァールさんも、ストレスを抱えていたとかで多少は飲むようになってたんだよ」

 

 たしか、第二次モンスターハザードが78年前で、第三次が75年前だったかな? そして第四次モンスターハザードがそこから10年経っての65年前か。

 WSOの統括理事として大ダンジョン時代の社会秩序の構築に尽力しつつもそうした、モンスターハザードへの対応にも都度駆り出されていたわけだから……そりゃあストレスも溜まるに決まってるよ。

 

 精霊知能でもアドミニストレータでも、心がある以上は疲れて当然だ。それでも駆け抜けたソフィアさんとヴァールは、本当に偉人としか言いようのない存在だと改めて感じ入る。

 シャーリヒッタやリーベ、香苗さんや葵さんも耳を傾ける中、エリスさんは肩をすくめて遠くを見る眼差しとともに続けて言った。

 

「そしたらまー面倒くさいのなんのって。顔色はまるで変わってないのに妙に絡んでくるんだよ、典型的な酔っ払いだったね。永遠の美少女だから許されてそうなだけで、いい歳こいた大人のやるこっちゃなくない? とは当時よく思ったもんだよ」

「あ、顔色は変わらないんだ……」

「えー、ちょっとつまんねーかも。どうせうざ絡みするんだったら、涙溢しながら笑顔を浮かべるとかしてほしいぜー」

「なぜそんなことで注文をつけられたりつまらないなどと評されなければならないのだ、ワタシは……」

 

 どうやら絡みはしても泣いたり笑ったりはしないらしい、鉄面皮絡み屋という特殊な属性持ちのヴァールちゃん。

 シャーリヒッタがあっけらかんと唇をとがらせるのを、いい加減にしろと本人が嗜める。そしてその次、俺の目が合い……

 

「忘れてくれ」

「あっはい」

 

 どんよりした目で懇願してくるから、ついつい一も二もなく俺も頷くのだった。

 怖ぁ……




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