攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
さておき宴もそろそろ佳境である。なんかピラフだのチャーハンだのピザだのと米もの、粉ものが出てきて炭水化物祭りの様相を呈しだしてきたテーブルは前にもまして賑やかだ。
これはこれで酒に合うぞ! とベナウィさんやマリーさんが嬉々として皿によそってはそれらを食べまくってる光景は、見ているだけでお腹いっぱいになりそうだよ。
「ステーキ! ステーキ食べましょうよシャーリヒッタ! あ、ジュースなんにしますー?」
「おーなんだこの、山芋焼き? ってのも気になるなァ。ジュースったらやっぱコーラだな! シュワシュワって飲みごたえがあるし、何より父様と同じだし!」
「言うと思いましたー! よっ、ファザコン!」
「照れるぜ!」
「えぇ……?」
一方でシャーリヒッタは向かいの席、リーベのほうに移動して二人でキャイキャイ騒いでいる。楽しげな様子は正しく姉妹だ。
パッと見、シャーリヒッタのが年上に見えるんだけどこの子達の中ではリーベが姉なんだよなあ……なんか不思議なようなしっくり来るような。
今も隣で酒を飲んでいる、自称姉らしい他称妹なヴァールほどややこしい感じではなさそうなのはたしかだった。
「大体だな、コマンドプロンプト。あの二人はワタシを舐めていると言わざるを得んのだ分かってくれるな? ワタシの仕事量と活動歴を鑑みれば、ワタシこそが言うなれば姉というべき存在であるのだと、あなたなら分かってくれると信じているぞ?」
「え? お、おう?」
「ソフィアも何故か私宛のメッセージは大体姉的な振る舞いというか、まるでワタシを娘か何かのように扱っている節があるのだがそれはまったくの誤解だ。ワタシが、あの子の、親代わりのようなものなのだ。あの子が15歳でアドミニストレータとなった時からずっと面倒を見てきたのだし、今でも統括理事としてあの子を陰ながら支えている自負はあるのだからな……聞いているか?」
「は、はい……聞いてます……」
怖ぁ……俺今、酔っ払いに絡まれてるぅ……
見た目まったく変わりないものの、言動は完全におかしくなっているヴァールが俺の手をずっと握りつつ酒を呷っている。
ひたすら日頃の愚痴というか不満を言いまくっているのだ。なんならことあるごとに理解を求めてくるものだから、俺としてはお、おう……としか言いようがない。
これがエリスさんがさっき言ってた絡み酒か。
ちらと彼女のほうを見るとニコニコ笑顔で俺を見て手を振っている。ああ、これは完全に対岸の火事モードですね分かります。
彼女の隣で呑んでいた葵さんが、不思議そうな顔をして師匠の顔を覗き込む。
「はっはっはー。師匠、どうしたんですめちゃくちゃ笑顔ですけど。SNSで炎上でもしました?」
「ハッハッハー、君の中の私はとんだド変態かな? いやいや、安全なところから大変そうな人を見るのってこう、安全という愉悦が味わえるんだなーって思ってさ」
「? まあいいです、それより飲み比べしましょう飲み比べ! この店に置いてある酒を片っ端から飲み比べるんですよ!」
「うんうん…………えっ?」
やはり火中にあるこっちを見て何やら悦に入っていたみたいだが、何やらとんでもないことを言い出したお弟子さんに思わず、エリスさんが反応を遅らせながらも唖然として振り向く。
俺もあんまりな提案にまさかと思って彼女を見るけど、葵さんってばほんのり顔が赤くなってる。酔ってるわこれ、かなり酔ってるよこれ!
思えば彼女、宴開始時点からかなりのペースで呑んでるし、このメンツだとレベルが低めだから他の大人よりも多少酒に弱いはずだし。
それで酒呑み三師弟と同じくらい呑んでたら、そりゃー酔いも回るよね!
「いや、え、葵? 君もうだいぶ飲んでる──」
「すみません店員さんメニューにある酒左端から右端まで全部2つずつお願いしまーす! はっはっはー! はっはっはー!」
「葵!? す、ストップ! 店員さんストップです、すみませんが水持ってきてくださいますか!?」
「あ、はいかしこまりました、ピッチャーでお持ちします!」
とうとうけらけら笑い出した。すっかり出来上がりつつある葵さんが無茶苦茶な注文をしようとしたのを即座にカットして、エリスさんが絶妙に水のオーダーを入れる。
店員さんもさすが手慣れたもので、すぐさまエリスさんに頷いてピッチャーごと水を持ってきてくれる。やっぱりこういうお店だものね、度を超えだした酔っ払いもお手の物って感じか。
「ほら、飲みなさい葵……まったく焦らせてくれて。君はたまに羽目を外すとやりすぎるきらいがあるよね」
「んくんく、んく……ぷはー! ふえ? なんですししょー?」
「……私の弟子は可愛いなって話だよ」
急ぎコップに水を注いで、エリスさんが葵さんにそれを飲ませる。これぞまるっきり母娘みたいな構図だ、さすがは96歳、出す時には思い切り母性を醸し出してるね。
やれやれと言いながらも弟子の頭を撫で、弟子もそんな師匠を笑いながら水を飲む。まあこれで酔っ払いその1は大丈夫だろう、良かった良かった。
「よし、じゃあ酔っ払いその2、お前もそろそろ水でも飲もうか」
「なんだと? まさかワタシを酔っ払いとでも? あなたまでそんな、ワタシを見くびるというのか? あなただけはどんなことがあってもそんなことはないと信じているのだが?」
「もうその物言いが酔っ払いなんだよなあ。素面に戻っても恥ずかしさから顔隠したりとかするなよー。あ、すみません店員さん、こっちにも水くださーい」
未だ俺に向けなんかぶつくさ言ってるヴァールにも水を飲ませるべく注文する。
たぶん少ししてから、この子の落ち込む姿を拝むことになるんだろうなあ、と確信を抱きながらの介抱開始であった。
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