攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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結局ボッチが最強無敵

 さてさて、最終階層だ。ここまで来たら一人ずつ力を見せる、なんてことはせずに、みんなで連携しての戦いとなる。

 俺としては初めて他人と組んでの戦いだ。たぶん、足を引っ張ることになるんだろうな〜と、思っていたのだが。

 

「《光魔導》、プリズムコール・ショットプット」

「特製弾だ、ぜひとも喰らえ」

 

 虹の架け橋から光の砲弾がドスン、ドスンと敵──子供くらいの大きさの蟻の群れだ、おっかない──に向かって降り注ぐ。

 そのほとんどを潰して滅ぼしていき、残ったものを銃弾が一体一体、丁寧に消していく。

 

「マリーさん、パース!」

「ファファファ、よし来た」

 

 俺はと言えばそんな広域破壊現場の傍らで、3mはゆうに超える砂の巨人を蹴り倒し、ジャイアントスイングしてマリーさんに投げ渡していた。

 これがただのお婆ちゃん相手なら老人虐待でお縄もんだが、彼女はもちろんS級探査者。当たり前のように応え、本当に見えない速度の斬撃でもって敵を一刀両断していた。

 

 そう。少なくともこのパーティ、バランスはやたらと良いのだ。

 遠距離の香苗さん、鈴山さんが雑魚を蹴散らし、厄介そうな大物は近距離戦闘型の俺とマリーさんにて仕留める。

 一番経験の浅い俺に、息を合わせる形で3人が動いてくれるため、どうにかコンビネーションとしては成立しているのがこのパーティだった。

 

「ファファファ。公平ちゃん、動きが熟れてきたねえ。無理して合わせてるわけでもないんだが、やりやすいよ実際」

「足を引っ張ってなければ、何よりなんですがね」

「気負わないことさね、大切なのは。まあでも、恐らくだけど現時点で公平ちゃんが誰かと組む場合、相手側が率先して合わせた方が噛み合うねえ、これは」

「……それ、俺がものすごく自己中心的なことになりません?」

 

 みんなー、パーティ組もうぜ! フォロー役はお前らな!

 ……いかん、総スカンの未来しか見えない。マリーさんはどういう意味合いでそんなことを?

 微笑み、彼女は答えた。

 

「公平ちゃんはスキルの都合上、基本的にソロだ。だから戦闘スタイルはどうしたって一人で戦う用に特化されていくだろうさ」

「まあ、わざわざスキルを腐らせる必要もないですしね。強力ですし」

「だろ? そもそもパーティを組む必要性すら薄いんだが、それでもどうしても組まなきゃならんって場合、じゃあどうするか」

 

 一つ、と指をさす。

 香苗さんも鈴山さんも興味深げに聞いている。

 

「公平ちゃんが他メンバーに合わせたスタイルを獲得する。これは長期的に見ればもちろん一番有効なんだが、普段使いになるだろうソロスタイルすら確立できてない今、無理に開発すると中途半端になりかねない」

「いつものスタイルってのもできてないうちに、ややこしいことに手を出すなってことですね」

「そうそう。となると二つ目」

 

 二つ、と指を立てる。

 マリーさんの飄々とした微笑みが、やけに印象に残る。

 

「他メンバーが公平ちゃんのサポートに徹する。これは他メンバーの技量にもよるんだが、言ってしまえば極端なことしかできない公平ちゃんに無理をさせるよりかはまだ、現実的さね」

「俺に付き合わせるようなこと、してくれる人いますかね」

「少なくとも御堂ちゃんはしてくれるだろ? ここで肝心なのは普段から、心を通わせコミュニケーションをしておくことさね」

 

 生きてる以上、そんなもん誰にとっても当たり前だけどね。

 と苦笑いして彼女は続けた。

 

「どちらも無理ならもう、パーティ組んでるけど各人、好き放題に動けってやるしかないね。言うまでもなくこれが一番悪手だ。ソロバフもなければサポートも連携もない。やるくらいなら最初から一人で戦えって話さね」

「まあ、それはそうなりますね」

「となると結局、現時点では周りが公平ちゃんに合わせるのが一番現実的なわけだ、ファファファ」

 

 うーむ。なるほど……参考になるし勉強にもなる。

 つまるところ俺、誰かとパーティになるのが根本的に向いてないってことではあるんだよな。性格はともかく能力と経験面が圧倒的に極端だから、誰とも本当の意味では噛み合わない。

 大体、最適解が一人で戦うことな時点でそうなる他ない。ソロバフなしでもある程度は頑張れるとは思うんだけど、それがイコール、パーティの一員として機能するというわけでももちろんない。

 

 みんなに負担を強いるくらいなら一人で戦った方がマシだが、それが嫌ならとにかく努力あるのみ。

 そんな当たり前の結論に至り、俺は肩の力を抜いた。

 

「……焦ってもどうにもならないってことですね」

「そういうこと。なあに、あんたの味方ならいるじゃないか、ねえ御堂ちゃん」

「もちろんです。もしパーティが必要な場面ともなればこの御堂香苗、粉骨砕身して公平くんの支援をしますとも」

 

 とにかく地道に頑張ろうとする俺に、香苗さんはそう言ってくれた。

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