攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
「いやぁ、我が家にもまた一人娘が増えたぞ、母さん!!」
「そうねえ。リーベちゃんの妹? らしいから、優子にとっては二人目のお姉ちゃんってことになるのかしら?」
倶楽部案件解決、お疲れ様でしたパーティーを終えて帰宅した俺とリーベ。
新たに山形家に加わることとなった精霊知能シャーリヒッタを伴って家族の元に戻ったところ、話は通していたもののまあーはしゃぐのなんのって。
リーベに続いて義理の娘、あるいは姉妹が増えたんだからそりゃ騒ぐんだろうけど、もうそろそろ良い子は寝る時間だってのに優子ちゃんまでリビングに下りてきて両親ともども目を煌めかせているほどだ。
そんな3人の視線を受けて、しかしシャーリヒッタも負けちゃいない。いつもと変わらない明朗快活な笑顔でもって、朗らかにこれから世話になる人達へと挨拶してみせたのだ。
「はじめまして、現世でのコマンドプロンプトの父上様、母上様、そして妹さん! オレはシステム領域における精霊知能の一体、シャーリヒッタ! コマンドプロンプトこと山形公平サンの娘です! 今日からお世話になります、よろしくお願いいたします!!」
「ご丁寧にどうも、よろしくねシャーリヒッタちゃん。ていうか、本当に公平の娘さん……なのねえ? ええと、その、となると私達にとっては孫、なのかしら?」
「よろしくな、シャーリヒッタちゃん! いやでも、リーベちゃんの妹って感じでもあるんだろ? その辺どうなってるんだ?」
さすがにこれから世話になる家の人相手には丁寧な言葉遣いだな、シャーリヒッタ。精霊知能としてでなく俺の娘、リーベの妹として振る舞うってことなんだろうか。
さておきそれに応えつつ首を傾げるのがうちの両親だ。さっきの俺同様、複雑怪奇極まるシャーリヒッタの立ち位置について考えあぐねている模様だね。
正味な話、ここについては俺にもよく分からない。
というかシャーリヒッタ以外の誰にも理解できる話じゃないと思うよ、だってすべてがこの子にとっての認識でしかない話だもの。
そりゃ広義で言えば俺はこの子の親とも言えなくはないし、リーベやヴァールだって姉妹と言えなくもない。ただ、そう解釈できなくもないってだけで本気でそんな解釈してる子は今のところ、シャーリヒッタくらいのものだ。
つまりはこの子の中だけの話だもんで、外野の俺達は多少話を合わせるにしても、それに縛られる義理も理由もなかったりするのだ。
いやまあ、ガチで完全に無視なり否定なりしちゃうのは心苦しいからそこそこ付き合いはするけどもね。
「あー……本当は父様の娘だって公言したいところだけど、それだといろいろややこしくなるってのはオレも分かってます。なんでここはリーベの妹って扱いにしといてください」
「シャーリヒッタ……」
「それに誰からどう思われようと、オレが父様を父様だと思っていることに変わりはありませんから! ね、父様!」
そういう、自身の言動のややこしさは彼女自身も理解してくれているようだ。なるべく穏当な、理解可能な範囲にことを収めようという提案をしてくれている。
なんというか、本当に気の利く子だよ。俺は改めてシャーリヒッタという精霊知能の一番の強みは、この聡明さにあると感じ取っていた。
500年前、偶然にも発生した瞬間から身を隠すまでの私を唯一観測し、その上で何か理由があってのことだと誰にも──それこそワールドプロセッサにさえも──隠し通して来てくれた実績を持つことからも、シャーリヒッタがどれだけ思慮深く、そして忍耐強いかが分かる。
"コマンドプロンプトがそうしたからには、そうするだけの理由がある。だから自分も隠しておこう"、なんてあの状況で考えられるのは並大抵の話じゃない。
粗雑な言動に反して実のところ、相当に慎重かつ裏まで読める策謀家タイプの精霊知能なのかもしれない。案外直情径行気味なリーベやヴァールとはその点、対照的と言えるかもしれないな。
「そ、そう? それならそうするけど……実際ややこしすぎて私の頭じゃ理解出来なさそうだったし」
「というかそういう話を俺達にも適応しちゃうと、下手するとみんな元は公平から生まれたんだよ! みたいな話にもなりかねんしなあ。そこは深く考えないでいこうか」
「怖ぁ……ぜひともそうしてください……」
シャーリヒッタの言葉に一安心のうちの父ちゃん母ちゃん。まあ俺の妹扱いであるリーベの妹であり俺の娘でもある! なんてトンチキにも程があるからね、ついていけなくて当然だよ。
そして父ちゃんの指摘が非常に鋭い。そうなんだよ、シャーリヒッタの認識というかそこに至るまでの理屈を彼女以外にも適用すると、巻き添え食って俺が意味不明なことになるから止めたほうが良いんだ、いろんな都合上。
ひとまず俺の娘云々ってのはシャーリヒッタの中だけの話ということで片付き、対外的にはリーベの妹ってことになった。これなら一安心だね。
と、そこで優子ちゃんがぽつりと漏らした。
「まさか義理とは言えお姉ちゃんが2人もできるなんて、半年前は思いもしてなかったなあ」
どこか遠い目をしている……春からこっち、家庭内事情も相当変わってるけど、とりわけ姉が二人もできるなんてのは普通なかなかないからね。
なんとも奇怪な経験をしてるよ、山形家は。
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