攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
さすがにシャーリヒッタになんの挨拶もなしに寝るのはまずいかな、と思ってリビングで待つ。
そろそろ23時も見えてきたってことで優子ちゃんは退散したわけだけど、俺と父ちゃん母ちゃんはリーベ達が戻ってくるのを待っていた。
それで大体30分経過したくらいだろうか? リーベとシャーリヒッタは風呂から上がって戻ってきたのは。
色違いのパジャマ──リーベが黄色、シャーリヒッタがピンク色──を身に纏い、髪の毛までよく乾かした状態でやってきたのだ。
「はー、いいお湯でしたー! ほらシャーリヒッタも」
「いいお湯だったぜー! へへっ、風呂って良いもんだな、キレイになれて、ポカポカ暖かくて!」
「おかえり。人生初風呂、気に入ってくれたなら何よりだよ」
お湯上がりで上気した顔を、さらに興奮で赤く染めてニコニコ顔のシャーリヒッタ。なんていうか、見た目よりもさらに幼く見えるのはこのはしゃぎようも関係しているんだろう。
ソファに座る俺のところまでトテトテと歩き、それからリーベと挟むようにして座り密着してくる。シャンプー、あるいはリンス? なんか、フルーティないい匂いが左右からしてきた! 落ち着かない!
「父様、お疲れ様です、だぜー!」
「えへへー、今日もいろいろありましたねー」
「あ、ああお疲れ。ホント、いろいろあったなあ」
いやはや長い一日だった。倶楽部幹部の事情聴取から始まりそれを受けての話し合い、後、隣県に移動しての宴会だ。
前者は真面目な話だから気が抜けないし、後者は楽しいから気を抜きたくないしでなんやかやとずーっと気を張っていた感はある。自覚するとなんか、精神的に一気に気が抜けて……肩の力がいよいよ抜けてきた。
今日は程よい感じで寝られそうだよ。
「っと……そう言えばシャーリヒッタの寝床ってどうするんだっけ?」
「あー、それね。さすがにもう部屋がないからさ……リーベちゃんとシェアルームって形でひとまず落ち着いて貰う形になったわ」
「うちがもうちょい大きな家なら良かったんだが。ごめんなリーベちゃん、シャーリヒッタちゃん」
ふと、今日シャーリヒッタどこで寝るんだ? とウトウトがにわかに襲いかかってきた頭で考える。両親に聞いてみるとさしあたってはリーベと部屋を共有する形でまとまっているらしかった。
まあそりゃそうだよね、うちの部屋、もう空いてるとこないし。両親や俺の部屋に来るわけにもいかない以上は必然的にリーベか優子ちゃんのどちらかの部屋を共有する形になるけど、そうなると関係性的に考えて、リーベが第一候補になるのは当然の流れだ。
ただ、せっかく新たに山形家の一員となってくれた子に対して、いきなりルームシェアをお願いする形になるわけなので……両親はその辺、だいぶ気にしているみたいだった。
しきりに申しわけなさげにしている姿に、当のシャーリヒッタとリーベが慌てて両手を振って宥める。
「いえいえそんな! お気遣いに感謝していますよー!」
「そうだぜ正彦サン、由紀サン! むしろ急な話なのに対応してもらって、こっちが申しわけないっていうか!」
「いやでも、なあ……」
「いやほんと、オレのほうこそ急に来ちまって申しわけないです、はい……ついに受肉できて、父様とこれからサイコーの毎日を過ごすんだーって浮かれちまって。人の迷惑を全然考えてなかったです……」
言ってるうちにシャーリヒッタのほうが落ち込みだしてしまった。
なんとなく感じてたけど、割とこの子しっかりしてる分、気にしいなところあるよね。
ていうか、このままだと謝罪合戦が始まってしまいそうだ。本質的にはどっちも悪くないんだから程々にしないと、今後の生活にも良くないものを残してしまいそうで怖いな。
ここはフォローを入れないとと思い、俺はまあまあと隣に座るシャーリヒッタの頭を撫でつつにわかに発光し、両親へと言った。
「ルームシェアになるのは仕方ない話だし、そこはシャーリヒッタもリーベも納得ずくなんだ。そんな気にすることじゃないよ父ちゃんも母ちゃんも。むしろこの子のためにそんなに気を遣ってくれて、ありがとう」
「し、シャイニング……」
「それにシャーリヒッタも、そんなに楽しみにしてくれてたんならむしろこっちがありがとうって話だ。気にせず、これから一緒にサイコーな毎日ってやつを過ごそう、な?」
「と、父様……!!」
シャーリヒッタの父──ってことに今はしておく──として。そして父ちゃん母ちゃんの息子として。
両者の間に立ってお互い想い合っててヨシ! みたいな方面に話を落ち着けたところ、双方ともにホッとした感じを出していてどうやらうまいこといったみたいだ。
初日から、というか別に誰が悪いわけでもないのに変に揉めるのは悲しいからね。こういう時のために俺のリラクゼーションシャイニング山形サンシャインはあるのだ。平和サイコー!
「公平さん、普段から暴走しがちな人達を宥めてきてるから手慣れてますねー……」
ボソリとリーベがつぶやく。暴走しがち……一体どこの伝道師と使徒のみなさんのことなんだろう。
僕分かんないやー。
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