攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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要するに陽キャに対していろいろ拗らせているだけである

 いい感じに場も落ち着いたということで、そろそろ寝ることにする。俺は自室に戻り、早々にベッドに入って目を閉じた。

 程よい疲れがあっという間に睡魔を招き、ああこれは今日はあっという間に寝られそうだなーって漠然と思いつつも意識を少しずつ手放していく。

 

 明日はいよいよ自由研究をサクッと済ませる日だ。

 学校の友達にも会えるし、さっさと用事を済ませたら近くの商業施設ででも遊ぶとか、できたら良いな。

 なんてことを失われていく思考の中でフワフワと考えながら、俺はそうしてその日、その夜を終えたのだった。

 

 

 ────そして気がつけば翌日、締め切ったカーテンから眩いばかりの日差しが溢れる清々しい朝だ。

 

 

 浮上する意識が、脱力した四肢に力を取り戻させていく。

 眠りの微睡みから徐々にハッキリしていく感覚、俺はやがてゆっくりと寝そべったまま、身体全体を伸ばした。

 

「んんん〜……! っ、はぁ。あー、よく寝た」

『おはよう公平。今日もいい天気だ、ご飯の食べ応えがあるよ』

「開口一番それぇ……?」

 

 相変わらず食べることにひたすら執心するアルマによる脳内モーニングコール。

 ことさら天気を強調してくるけど、晴れでも雨でも曇りでも、なんなら槍が降ろうがいつでもご飯の食べ甲斐を主張してくるだろうに。

 

 

『食べることこそが今の僕の生き甲斐だからね。厳密には僕自身でなく君が食べたもの、受容体に受けた味という感覚の刺激を楽しむことだけどさ。とにかくそれだけが今の僕が直で楽しめるものなんだから、このくらいの主張は許せよ』

 

 

 つらつら語ってくるなあ。別に、良いとも悪いとも言ってないだろうに。

 分かった分かったと言いつつ身を起こす。時計を見れば時刻は朝6時半頃。まあいつもどおりの時間だな。とりあえず着替えて、軽く柔軟でもして、寝てる間になんかメールとかメッセージとか来てないか確認だけして下に降りてご飯を食べようか。

 

 やっぱり長期連休ともなるとクラスメイトの箍も緩みがちのようで、毎日深夜遅くまでグループチャットでやり取りしてる人達もそこそこいたりするんだよねー。

 なんならそれとは別口、ツアークランの人達だって深夜に集まっていろいろ話してることが頻繁にあるし。俺は夜更ししたくない派だから参加せずに寝るんだけれど、後からそういうやり取りを確認するのは結構、楽しみだったりする。

 

「えーっと? 13組チャットのほうは……あー、関口くんグループが遊んでるのか。俺には関係ないな、ヨシ!」

 

 クラスのグルチャを見てみると、関口くんを中心としたクラスカースト──っていうかもはや学年、いやいや学校カーストまであるかも知れない──最上位のグループが延々と話をしている。

 やれいついつは何処其処へ行くだの、アレが食べたいこれがしたい、あともうちょいで夏も終わるし青春しようぜー! みたいなことを夜通し話しまくっているのだ。

 

 うん、眩しいっ!

 この溢れ出る青春感は俺ではとても太刀打ちできない!

 

 そもそもこんな、仲間内で延々とチャットしてられるのがまずすごいもん。

 俺や片岡くんの過去のメッセージ履歴とか見てみると大体いつも敬語だし一言二言で終わるしで、人とプライベートなコミュニケーションを取る気が微塵も感じられないよ。

 

 なんかもう見てるだけでお腹いっぱいって感じでチャットを眺める。へー、関口くんはまたぞろパーティ開いて? ああ湖岸でバーベキューとかするんだへー、オシャレンティー。

 俺にはなかなかできないしやろうとも思わない世界の話ばかりが続き、なんか普通に感心しながら履歴を追って見ちゃう。

 そんな俺に、呆れたように脳内のアルマさんが話しかけてきた。

 

 

『君、案外人を選り好みするよな。なんだっけ陽キャだか陰キャだか、コマンドプロンプトもそういうの気にするんだね』

 

 

 まあここまでの付き合いでいい加減こいつも、俺がいわゆる陰に潜み陰に生きるタイプの陰キャだということを感じ取っているみたいだ。なんなら陽キャも含め、理解に困っているふうながらも指摘してくる。

 けど、人を選り好みしてるってのはちょっと語弊があるな。たしかに陽キャの方々やパーリィピーポーは苦手なんだけど、さりとて否定したいとか嫌っているとか、そういう話でもないんだよね。

 

「別に陽キャを嫌いってわけじゃないぞ? むしろ正直に言えば尊敬してるし憧れてもいるくらいだ。ただ、山形公平の人格と感性だと絶望的に対応に困るから苦手ってだけで」

『それを嫌いと呼ぶんじゃないかと僕は思うんだけどね』

「嫌いと苦手は似てるようで違うさ。下手の横好きって言うだろ」

『好きこそものの上手なれとも言うだろうさ』

 

 はー、これだからアルマくんちゃんはまだまだ未熟ですなー!

 苦手に思っていても、その人を尊敬したり好きでいたりはできる。愛憎、というほどではなくても好きだけど苦手って感情は成立するんだよ。

 好きか嫌いか一方だけじゃない、それこそが知的生命体が持つ感情ってものの摩訶不思議さで、そして素敵さなわけだね。




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