攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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夏の風景─バスを待ちながら友と2人、アイスを頬張り涼を取る─

 電車での移動って言ってもやはり一駅だけだ、3分とかからず目的地の駅にたどり着く。

 東クォーツ高校に登校する際に毎度利用している駅であり、ここからバスで10分ほどかけて山の上へと向かうのが学生さんの常だ。

 

 なんならすぐ近くに、あの竜虎大学のキャンパスが一部存在していることもあり、大学生のお兄さんお姉さんも割とよく見かけるんだよね、このへん。

 ちなみに宥さんも竜虎大学生だけどこちらのほうのキャンパスには来ることはないみたい。学部によって隣県、こないだ行ったキャンパスとこちらのとで分かれてるみたいで、彼女は向こう専門らしいからね。

 

「……とはいえやっぱり夏休み、人は少ないな」

 

 そんなわけで改札を出て、学校のある平日なんかは割と混雑している印象のあるバスターミナルへと出る。

 当たり前だけど今の時期、高校も休みなら大学だって休みなもんで学生さんはまるきりいない。俺にとっては新鮮極まりないほどにガラガラな駅前の風景である。

 

 この調子だとバスも相応に本数が減ってるんだろう。ていうか普段からして、学校直通のバスが頻繁に行き来してたりするからね。

 時刻表を確認するとついさっき高校行きバスが出たみたいで、次は20分後くらいに来るようだ。

 

 少しだけ時間が浮いたな、どうするか……

 軽く悩んだ俺にすかさず、脳内のアルマさんが声をかけてきた。

 

 

『コンビニがいくつがあるね、公平。アイスクリームなんて季節に合ってて良いんじゃないかな? あと向こうにパン屋が見えるけど、あそこも休憩するのに良いんじゃないか?』

 

 

 分かってたけど食うことしか考えていない。今このタイミングで変に胃にもの入れたら、食欲的に昼が中途半端なことになりそうなんだよなあ。

 まあパンはともかくアイスクリームは一本くらいなら良いかもしれない。何しろ暑いしね、陽射しがきついわ毎日毎日。

 

 仕方ないなあアルマさんは、とぼやきつつもコンビニに入る。

 隣り合って別の系列の店が二つ並んでいるわけだけど、学生で賑わっている時はどちらか片方だけだと朝のラッシュ時に捌ききれないからうまいこと共存できてるんだよね、ここは。

 

 世の中持ちつ持たれつだよなーと感じながらもアイスコーナーへ向かう。そんな俺に、横合いから話しかけてくる声があった。

 

「よう、山形! ちょうどいいタイミングで会ったな、おひさ!」

「うん? ……松田くん! 久しぶり!」

 

 振り向けばそこには今日、行動をともにする予定の友人が一人。クラスメイトにして俺がよくつるむグループのリーダー格って感じのポジション、松田くんだ。

 色シャツに短パン、サンダルと俺と大差ないラフさでの登場。なんならバッグとかの手荷物さえない完全手ぶらの状態ですらあるんだけど、まあ松田くんてばそもそも自由研究終わってるからね。何か道具を持参する必要なんてないからそりゃそうなるわ。

 

 そんな彼とにこやかな笑顔で挨拶を交わす。そりゃそうだ、目的地が揃って山の上の図書館なら、よほど別なルートを通らない限りは同じ方法で行き来することになるから途中で鉢合わせるよね。

 見れば彼も手にはアイスクリームを持っており、なんならジュースのペットボトルも一緒に買うつもりみたいだ。汗の滲む顔を爽やかに笑ませ、言ってくる。

 

「いやあ、毎日暑いなあ! アイスにジュースでもないとやってられねーわこれ!」

「だねー。バスが来るまでの間、ちょっと涼を取りたいよね」

「おう! つうわけでアイスアイス、と」

「いろいろあるけど何にするかなー」

 

 さっそく気のおけない雑談に興じつつ俺もアイスを探す。今日の気分はコーンアイスだし、一つ手に取りレジへ。

 同様に松田くんもレジへ向かい、二人して支払いを済ませる。買い終えたら外に出てさっそく実食だ、グズグズしてるとこの暑さだし溶けちゃうからねー。

 

「うひー! 暑い暑い、身体の内から冷やさないと」

「バス停のところ、ベンチ座ろうか。日陰にもなるし」

「だな」

 

 わざわざ日向でアイスを頬張る理由も特にないし、バスを待ちがてらということでベンチに座ってアイスを食べる。

 コーンアイスはアイス部分、コーン部分、そして両方を同時に食べると三段階の味わい方がある素晴らしいアイスだと思う。さっそくアイス部分を頭からかぶりつけばよく冷えた、甘くてとろける舌触りが堪らないや。

 

 

『うんうん! 強すぎない甘みが冷たさとよくマッチして、後味の良さを生み出しているねえ。放っとけば舌の上でまろやかに溶けるけれど噛むとそれはそれで歯応えがある程度には弾力があるから、感触的にも楽しくて良い! アイスクリームだけはどこの異世界にもまったく存在しなかったから、毎回食べる度に僕は感動を禁じ得ないよ!!』

 

 

 アルマさんもアイスクリームのクオリティにはニッコリとして大興奮みたいだ。異世界とさえ比較して、この世界の文明特有の産物とも言える、夏でも気軽に食べられる甘くて冷たい食品に称賛の声を上げている。

 アイスクリームだけはなかなか、中世ファンタジーチックだったらしい異世界にはなかったろうなあ。ふとした拍子に向こうとこちらの差異を感じられて、俺としてもなんだか感慨深いや。




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