攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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野に咲く花のような庶民派コマンドプロンプトくん

 東クォーツ高校前を通り過ぎてなお歩く、俺と松田くん。

 ここまで来たら図書館はすぐそこだ、ということでもうじき着くよー的なメッセージをグルチャに送信しておく。

 

「梨沙さん達、図書館の中で待ってるかな」

「そりゃそーだろ、こんなクソ暑いのに外で待ってらんねーって」

 

 雑談にて、松田くんの言葉に頷く。

 陽射しはキツく気温も高い、大気まで焼けているかのような暑い夏の日だ。まさかそんな中を外で待ってはいないだろう。

 なんでも今日は40度近くまで暑くなるみたいだからね。決して無茶はできない気候だよ。

 

 と、グルチャに送ったメッセージに返事が来た。梨沙さんからだね。

 どれどれ、と二人で画面を確認する。

 

 

『図書館の中にある喫茶店で待ってるねー』

 

 

 と、言う文章がいかにも年頃の女子高生らしい絵文字顔文字でたっぷりデコレーションされていた。

 梨沙さんもさすが今をときめくギャルさんだから、この手の装飾は手慣れたものみたいだ。もしかしたらあの伝説のギャル文字なる言語も使おうと思えば使いこなせるのかも知れない。

 

 そう、頓智かな? ってくらい既存の絵文字や記号を組み合わせた、もはや暗号とも言えるだろうあの言語である。

 頼めば披露してくれたりするのかなあ。などと馬鹿な考えがふと浮かんだのを慌てて消し去って、俺はそれよりもと気になるところを口にした。

 

「っていうか図書館の中に喫茶店とかあるんだ? 知らなかったな」

「俺も。てかそもそも図書館とか滅多に行かないし」

 

 なんと今から行く図書館、内部に喫茶店とかあるらしい。新情報に松田くんともども驚く。

 そもそも図書館方面にはあんまり出向かない──バス通学だからギリギリ、日常生活の動線内にないのだ。自転車通学さんだとむしろ普通に通ったりするらしい──ので、そんな喫茶店の存在など普通に気づかなかったよ。

 

 俺も松田くんも高校進学後、日常生活のすぐそばにあることとなったはずの図書館を実のところほとんど利用していないのが如実に出たなあ。

 梨沙さんは時折図書館に行って、予習復習や試験勉強に励むとは聞いたことあるから喫茶店のことも当然知ってたんだろう。

 

「佐山って普通に優等生だよな。クラスでも関口くんと並んでテストの点数良いし、放課後も図書館で勉強とかしてるし」

「すごいよね……」

 

 テスト? あぁ赤点にさえならなきゃ良いでしょ別に、が信条な俺達は改めて梨沙さんの才女ぶりに驚くばかりだ。

 一学期中の中間テストも期末テストも、梨沙さんってば全教科満点に近かったものなあ。日頃しっかりと勉強しているからこその賜物なんだろう。すごい人だよ本当に。

 

 ちなみに俺ちゃんの場合、中間テストは平均より高めって感じだったけど期末テストはなんと全教科概ね9割近くの点数をマークできたよ。

 双方ともに香苗さんと宥さんが家庭教師として勉強のサポートをしてくださっていたおかげだね。

 

 なんならそこに加えて獲得した称号《誰かのために泣けるもの》の効果である勉強効率アップが合わさり、素のままだとぐーたらすぎて平均ラインさえ怪しい山形くんでもなかなか良いとこまでいけちゃったというわけ。

 

 もっというと二学期以降は俺自身、コマンドプロンプトとして覚醒したことため演算能力や思考能力、記憶力もろもろが飛躍的に向上したことも加味できる。

 もちろんしっかり勉強するのが前提だけど、それを踏まえて言うなら俺も頑張れば梨沙さんや関口くんと同じ領域にまでいけるかもしれないのだった。

 

「まあ俺の立場からすると、本当におかしいのは梨沙さんじゃなくて関口くんなんだけどね!」

「は? なんでだよいきなり、イケメンへの嫉妬か?」

「それもある! けどおかしいんだって、探査者しながらテストの点数も良くてそれでいて人間関係もガッツリ広めてて、挙句の果てになんか部活動までしてるんでしょ? おかしいよ、彼だけ一日72時間くらいになってないかなあ!」

 

 やっかみ全開で情けない話だが紛うことない本音だ。この際、一番意味不明な存在は間違いなく関口くんだと言えるだろう。

 端的に言って手広さがおかしい。最近まで探査活動を最低限度にしかしていなかったというのを考慮しても、残る時間で勉強しつつパーティとか開いて人脈を築きつつ、それでいて何だっけ軽音楽部? だかに入って活動して。

 

 しかもそれでいて、自分のグループの仲間達との交流だって欠かしてないんだ。時間の使い方バグってない? バグスキル獲得してないか?

 なんてことを思ってしまうくらいにはいろいろ手広く、しかもスマートにうまいことやれちゃってるのが関口くんという完璧超人であった。

 

 イケメンは何してもうまいってのか……!

 思わず天を仰いで二物どころか三物四物ありそうなんだけど彼どうなってるのお天道様? と内心にて尋ねる俺に、松田くんはほのぼのした顔で笑いながら言うのだった。

 

「だって関口くんだしなぁ。ぶっちゃけ住む世界が違うし。山形も探査者なのは一緒だけどなんていうか、オーラが違うんだよなあ。あっちは貴族、こっちが庶民って感じ」

「庶民派山形くん!?」

 

 庶民派コマンドプロンプト!?

 親しみやすい、と褒められているのだと思いたいけど、オーラからして違うとか言われればもはやどうしようもないじゃん……ってなる俺ちゃんでした。




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