攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
関口くんの完璧超人ぶりにぐぬぬとしたものを覚えながらも図書館に到着。県立なだけはあり極めて大きく、それでいて見事な外観の施設だ。
緑に囲まれた自然豊かな公園の中、白と黒の両方の色をベースにした洋風の建築物であり、色合いも佇まいも落ち着いた印象を受ける。
車がほとんど通らず、自然音だけが聞こえるっていうこのあたり一帯の環境も相まって、すごくリラックスできそうな風景だね。
俺と松田くんはほへー、とか気の抜けた声を上げつつもとりあえず中に入ることにした。さしあたっての目的地は中にあるという喫茶店、梨沙さんと木下さんに合流することである。
「ぉ……」
「ぉぉ……すごい、図書館だ……」
何を当たり前のことを、って感じの感想を小声で漏らす。図書館の正門、自動ドアを通り抜けるとそこは図書館でした。
……いや、マジでイメージ通りの図書館なんだよね。清潔で静かで、物音一つさえ目立ちそうなほどに誰もが音を立てない世界。
エントランスからあちこち、別の部屋に繋がる扉があり、なんなら上階に向かうにあたっての大階段だってある。
ある種、ファンタジーめいているっていうのかな。それこそ異世界みたいな光景が、俺の目の前に広がっていた。
『へえ、こりゃ御立派。この世界、少なくともこの国は識字率も高くてメディアも発達してるからこういう施設もできるわけか。知は力なり、とはよく言うもんだ』
脳内でアルマが感心してつぶやく。さしもの邪悪なる思念から見てもこうした叡智の集積施設の存在は、反応に値するものらしい。
こいつがかつて滅ぼしてきた世界、自身が元々管理していたものも含めて4つの異世界はこういう施設、あったんだろうか? 少し気になり、呼びかけ尋ねてみる。
答えはすぐに返ってきた。
『なくはなかった……少なくとも僕の世界と魔天の世界はね。ただ僕の世界の場合はこの世界ほどじゃなくとも識字率が高かった結果だけど、魔天の世界は一部の知識階級のための施設だったと記憶しているよ』
なるほど。アルマ世界と魔天世界の2つは程度の差こそあれ、こうした知識を蒐集し、かつ研究などの目的のために用いられる施設はあったのか。
まあそりゃ、世界が変われど文字というツールは、知的生命体ならばいずれは到達するものだ。それが発展していけばやがてはこうした形態の施設に行き着くことも必然だろう。
ただ今の口ぶりからすると、話に出てこなかった残る二つの世界……すなわち断獄世界と災海世界には、図書館あるいはそれに準じた文化施設が存在しなかった感じになるけど、そのへんはどうなんだ?
『断獄と災海の二つの世界は単純明快、識字率が低すぎた。図書館なんて形で書物を蒐集することさえなく、数少ない知識層が各々個人でそれらを保管し、それぞれやり取りするのが基本って感じの文明レベルだったんだ。何しろ断獄世界は闘争の世界だったし、災海世界は……あー、話すと長くなるけどいろいろ混沌としていたからね。もちろん価値がなかったわけじゃないけど、僕からしてみれば不可解な世界観だったと思うよ』
何やら意味深なことを言う。断獄と災海の世界はそれぞれ、どうやらアルマの基準からすると理解しがたい方向に進んだ世界らしい。
闘争の世界って端的に評された断獄世界はなんとなし予想がつくけど、こいつをして口篭らせる災海世界はなんだ、相当意味不明なことになってたんだろうか?
いずれにせよすでにこいつが食い尽くした世界、今となっては一部の痕跡をこちらの世界に伝え残すのみだけど……異世界の話はなんていうか、興味深いな。
コマンドプロンプトとして興味が尽きないし、山形公平としても中二心が擽られるし。詳しく話を聞いてみたいところだし、また今度時間が空いた時にでも話そうかな。
「喫茶店……あれじゃね? なんか奥に看板あるし」
「ん……みたいだね。行こっか」
「おう」
それはともかく梨沙さん達だ。アルマとの交信を打ち切って、松田くんが見つけたほうへと向かう。エントランスは一番奥、いくつもテーブルと椅子が置かれたロビーのすぐ隣にある出入り口だ。
喫茶店らしい看板が手前にあり、中も実際、喫茶店みたいだ。本当にあるんだな、図書館の中に。朝から晩まで本を読みたい人達にとっての、ある種の憩いの場なんだろう。
図書館内はしんとして静かで、職員さんを除いても結構たくさんの人がいる。なんだけどみんなこの静けさを大事にしているようで極力物音を立てないようにしているね。
なので俺達もなるべく音を殺して忍ぶように歩く。変に騒いだりしなければ多少は問題ないんだろうけど、まあなんとなくだ。
近づけば喫茶店の中身も見えてくる。ガラス張りの窓から自然を近くに感じられる内装に、テーブルや椅子が均等に並んでいる。人も疎らながらいるみたいで、その中に梨沙さん達もいるんだろう。
松田くんが目を凝らして中を伺う。俺もそれに倣えば、すぐに目的の二人は見つかった。
「えーっと、佐山に木下……」
「……あ、いた。ドリンク飲んでる、ほら、窓際の」
「お、ホントだ。さすが探査者、目がいいなあ」
「へへへ」
面目躍如だ、やったぜ。
探査者として強化された視力があればソッコーで探し人だって見つけられちゃうんだ。即座に喫茶店の中、梨沙さんと木下さんがコーヒーか何かを呑んでいるのを見つけて、俺はさっそくグルチャにメッセージを送ることにした。
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