攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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好奇心は猫をも殺すが文明だって発達させる

 さて全員揃ったわけだし、さっそく図書館を利用する。

 俺は探査者関連の書籍をまとめてあるエリアに行くわけだけど、木下さんと片岡くんはどうするつもりだろうか?

 尋ねてみると二人はそれぞれ答えた。

 

「私は地元の歴史について資料を探してるから、郷土史コーナーとかを回ると思う。片岡は?」

「俺は山形と一緒だな。ダンジョンについて調べてるから」

「あ、そうなんだ?」

「ダンジョンの出入口付近の環境についてまとめようと思ってるんだ。意外といろいろ、研究されているみたいだぞ」

 

 へぇー、といろんな意味で意外な話に驚く。

 まず片岡くんがダンジョンについて調べるってこともそうだけど、自由研究のテーマとして成立するくらい、ダンジョンの出入口とかその周辺事情が研究されているのも意外と言えば意外だ。

 

 システム側で設定している条件を満たしているなら、割とどこでも発生するからねダンジョンは。

 とはいえ発生地点はランダムだから偏りとかも出るだろうし、そのへんを現世の学者さんはどんなふうに研究して解釈してるんだろうか?

 

 なんか気になるから後で俺もちょっぴり調べてみようかな。もしくはそれこそ片岡くんに聞いてみるのも良いかも。もちろん自由研究の邪魔にならない範囲でね。

 俺達3人の予定を聞いて、松田くんがそれなら、と言う。

 

「郷土史コーナーはあっちか。大ダンジョン時代コーナーとは別々にあるな……よし。俺は木下の手伝いするわ」

「あ、じゃ私もー」

「公平くんと片岡くんのお手伝いは私がするね。まあ、本職の公平くんのお手伝いってのもおこがましいかもだけど」

「いやいや。頼りにさせてほしいな、梨沙さん」

 

 松田くんに遠野さんが木下さんの手伝いを。梨沙さんが俺と片岡くんの手伝いをしてくれる運びとなり、俺もそれに頷いた。

 単純に人数バランスを考慮した形になったわけで、二人のサポートをしなきゃいけない梨沙さんは特に大変だけど……

 まあ頼りにさせて欲しいと言った手前なんだが、俺についてはそこまでフォローは必要ないからね。

 

 資料を読んでメモしてまとめて、帰ってから本格作成する。作成の際にはコマンドプロンプトとして本気出した演算能力でパパパっと片付けるから実質、図書館での資料集めが最後の難関って形になるかな。

 そこにしたって情報収集というよりはむしろ、どのくらいまで情報制限するべきかという確認のために閲覧する形になるし。

 

 そんなわけで何から何まで通常の自由研究とは毛色が異なるため、梨沙さんにそこまで負担をかけることにはならないのが実際のところだった。

 まあそんなの言えるはずもないしせっかくの厚意なのだから、少しくらいのお願いはさせていただくことになるとは思うけれどもね。

 

「よし、じゃあ行くかな。なんかあったらすぐ呼べよー」

「早く終わったらそっちの手伝い行くからよろしくー」

「行ってきまー」

 

 ともあれそんな感じで二手に分かれる俺達。木下さん、松田くん、遠野さんは手を振りながら郷土史コーナーへと向かっていく。

 残った俺と梨沙さん、片岡くんは大ダンジョン時代コーナーへと向かう。大階段を上がって右手、近代史にまつわる書籍を保管しているフロアの約半数ほどが、とりわけ大ダンジョン時代に焦点を当てたコーナーとして設置されていた。

 

「さすが大ダンジョン時代絡みは、書物がやたらと多いな」

「だね……と。スキル関係書籍はこっちか」

「ダンジョンそのものの本は向こうみたい」

 

 WSOによって定義された、ここ100年を指す通称"大ダンジョン時代"。

 ダンジョンだのステータスだのモンスターだのが初めて現れたこの時代は人類史においても当然のように極めて特異な時代として扱われ、数多くの関連書物が記されてきた。

 

 研究、考察は言うに及ばず経済から娯楽から哲学から何から何まで、あらゆるジャンルにダンジョンと紐づけされた形での新たな思索が為されていったのだ。思想的にも新時代を迎えたと言っても良いかもね。

 そんなわけでバブルめいた勢いで次々といろんな書物があちこちで書かれた結果、こうして近代史関係コーナーの半分を占めるに至ったわけだ。

 

 そしてそのコーナーの中、さらに細分化された棚を見ていく。哲学、自然科学、文学、生命学、ダンジョン学……ここが片岡くんの領分だな。

 そして称号学にスキル学。このあたりか、俺の求めるタイプの書物がありそうなのは。

 

「じゃあ俺はダンジョン関係の棚を見てるよ」

「分かった。じゃあ俺はスキル関係の本を見てくる」

「私は先に公平くんを手伝って、目処がついたら次はそっち行くから。たぶんこっちのが早いしよろしく」

 

 そう言って片岡くんと分かれて梨沙さんと二人、スキルや称号に関する棚へと向かう。

 棚がいくつも並び、それぞれにみっしりと本が並べられている。古いのかは新しめのまで、本当にこれ全部がスキルや称号に関する書物だってんだからすごいよ。

 

 

『これがこの世界の人間達のすごいところだね……知的好奇心がすさまじいから研究者、学者が山ほどいてその分だけ記録や書物もある。文化文明の発展の目覚しさはひとえに、この好奇心が影響しているところが大きいんだろう』

 

 

 脳内のアルマも呆れたような、それでいて感心したような声でつぶやく。

 そうだな……他の世界はどうか知らないけれど、この世界がここまで発展できたのは間違いなく、人間達の持つ知的好奇心、探究心によるものが大きいんだと思うよ。




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