攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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意外と暇だし愉快だぞ!広瀬本部長

 スキル学の棚から何列か離れたところにダンジョン学の本がまとめられたコーナーはあり、片岡くんもそこで右往左往しながら書物を物色していた。

 

 図書館専用の手提げかごにはすでに何冊か本が入れられている。それらを読むだけでも結構時間がかかりそうなんだけど、まだ追加で本を探しているのかな。

 俺と梨沙さんは顔を見合わせ、おずおずと片岡くんに話しかけた。

 

「片岡くん、お疲れー」

「こっちはすぐに見繕えたけど、そっちは大丈夫?」

「ん……? え、早いな二人とも。ていうか一冊だけか、山形」

「うん、ちょうどいい感じにまとまってる資料が手に入ったからね」

 

 俺がほぼ即断即決で、必要な分のみ取り出したのもあり想定外の早さでやってきたわけで、まずはそこに驚く片岡くん。

 次いで資料が一冊だけってところにツッコんできたけど、ぶっちゃけそれで全然問題ないからね、俺の場合は。あんまりいろいろ見比べるとかえって混乱しかねないまであるし。

 

 そのへんはそこそこに説明して、片岡くんの進捗を尋ねる。

 彼はどうやらダンジョンの出入口付近の環境について調べるらしく、それに関連した本をいくつか見繕って参考にしたいようだ。

 

 気合の入った話でなんと彼自身、いくつかのダンジョンの入り口まで出向いて写真を撮影したんだとか。

 その写真に焦点を合わせる形でレポートを作成して、ダンジョンが発生しやすい土地とか土壌があるかどうか、研究するらしかった。

 

「全探組の施設まで行って、職員さんに事情を説明してな。そしたらなんか本部長の広瀬さんってお偉い人が急にやってきて、いくつかのダンジョンの入り口付近を見学させてもらえたんだ。やたら親切な人だったなあ」

「えっ……片岡くんめっちゃアグレッシブじゃんすごっ!?」

「自由研究でそこまでやるんだ……すごい」

 

 思わぬフットワークの軽さ!

 片岡くん、案外フィールドワークへの熱意がすごいんだな、つい梨沙さんともども驚いちゃったよ。

 

 俺ととにかく気が合う人だからてっきり、自由研究についても面倒だし適当な題材をそれなりにまとめて終わらせちゃえ! 的なスタンスでいるかと思ったら……

 まさか全探組に突撃して職員さんに相談して、挙げ句広瀬さんまで出張る大事にまで持っていくとは。まったく思いも寄らない話だ。

 

 いや、まあこの際、広瀬さんについては勝手に話を聞いて首を突っ込んできた感が漂ってるんだけど。意外とお茶目な方向に走るんだよな、あの人。

 

 ちなみに全探組のマスコットキャラクター"ダンコちゃん"をデザインしたのもあの人らしい。

 ダンジョンコアをモチーフにしたという絶妙にその、キモカワ系? なキャラを割と彼自身気に入っているらしく度々、執拗に周囲にアピールしていたりするよ。

 

「まさか広瀬さん暇なのかな……? 本部長が直接対応って」

 

 全探組もよくアレをマスコットにしようと思ったなあ、などとストレートな感想を抱きつつも独り言ちる。

 探査者でもない一高校生の社会見学申請に、わざわざ本部長がやって来るなんてどう考えても大袈裟だよ。普通はそんな懇切丁寧に、ダンジョンの入り口付近を案内して回るなんてしないと思うんだよね。

 

 たまたま暇だったから対応してくださったんだろう。片岡くんもかなりの豪運だなあ。

 そんなことを考える俺に、梨沙さんが尋ねてきた。

 

「知り合いなの? 公平くん」

「まあそれなりに。向こうからしたら数ある探査者のうち一人って程度だろうけど」

 

 探査者になったばかりの頃から度々、お世話になっている人ではあるけれど。プライベートなどではそこまで交流もないし、あくまで物珍しいタイプの新人くらいにしか思ってないんじゃないだろうか?

 そう説明したところ、片岡くんがいや……と軽く声に出した。どこか不思議そうに、当時の広瀬さんの様子を語ってくる。

 

「なんかあの人、俺が山形のクラスメイトだって知ってめちゃくちゃ反応してたぞ。さすが山形さんのクラスメイトだ大ダンジョン時代への好奇心と熱意がすごい! とかナントカカントカ……」

「えぇ……?」

「案内してもらってる間も、お前の活躍とか能力の高さとか、あと全探組がどれくらい期待してるかとかを結構話してたな。間違いなくS級になれる器で、そんな逸材を見出した御堂さんもさすがだーとかも言ってた」

「そうなんだ……公平くん、すごい評価されてるじゃん!」

「そ、そうだね。ありがたい話だよ、ハハ……」

 

 異様に褒めちぎってきたらしい広瀬さんの言葉を聞いて、何やらやたら喜んだ梨沙さんが俺に笑いかけてくれる。

 それに笑い返しつつも、俺はいろいろ察するところがあり、内心でつぶやいた。

 

 怖ぁ……そこはかとなく忖度の匂いを感じるじゃーん。

 広瀬さん、片岡くんが俺の友人だって知って急遽もてなしたとかじゃないよね? 

 

 あの人、邪悪なる思念との決戦後の説明会に参加してたわけだから俺の正体も知ってるわけで。どうにも気を遣ってもらってしまった可能性を否定できない。

 そうでなくとも俺の昇級について、全探組の方針とWSO側の要求で板挟みになってそうなのにこんなところでまでお気遣いさせてしまって、なんとも申しわけない話だよ。

 

「ともかくそんなわけで、あの広瀬さんという人にはすごくお世話になったんだ。これも山形のおかげだな、ありがとう」

「い、いやいや。広瀬さんが底抜けに良い人だったからだよ、うん。後でお礼を言っとくよ、ありがと」

「俺からもありがとうございましたって言ってたと伝えておいてくれ。勉強させていただきました、ともな」

 

 片岡くんの頼みにも快く頷く。

 どうあれ今度、広瀬さんに会ったら友人の分までしっかりありがとうございましたって伝えとかなきゃね。




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