攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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情報不足すぎて結果的にテキトーなことになってる攻略本みたいだ(直喩)

 資料となる書物にもありつけたことだし、さっそく自由研究へと取り掛かる。さっさと目処をつけて、俺はみんなとショッピングモールへと繰り出すんだ。

 とりあえずは事典の巻頭、いわゆる目次からつらつら眺めていく。技能習熟系やら魔導系、魔法系やら、系統ごとにチャプターを分けてまとめてくれているため非常に分かりやすくて助かるよ。

 

 そうして読んでいくと、まあ当たり前だけどものすごいスキルの量だ。

 そもそもこの本自体が1000ページ近くあって、それぞれのページで2つ、スキルを紹介しているわけなのでざっと2000ほどのスキルをこの本一冊にまとめていることになる。

 

 普通に考えてもとんでもない量だ。まとめたほうもまとめたほうなら、そもそもこれだけの数のスキルを用意したシステム側もシステム側だよ。

 まあ、とはいえ大半は元々スキルがあった異世界……たしか魔天世界だったかな? に存在していたものを流用しているはずだから、システム側については労力も抑えめだった可能性はあるけどね。

 

 

『って言っても、ここに乗ってないスキルは没にしたものまで含めるとさらに膨れ上がるだろうに。アドミニストレータ用スキルとかも結構あるんだろう? そのへんについては完全にこの世界オリジナルだろうさ、間違いなくね』

 

 

 脳内のアルマさんによるお言葉。まあその通りで、この本に乗ってるスキルはあくまでも現世においてすでに発見されているものだけだ。

 アドミニストレータ用スキル、精霊知能などシステム管理者用のデバッグスキルとか。作ったはいいものの効果に難アリでお蔵入りした没スキルとか。

 没にはなってないものの未だに習得した人がいないため日の目を見てないスキルや、果てはバグスキルのような正規ルートでは出回らない類のスキルなんかもあるからね。

 

 なんなら《ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で》とか《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》、《神魔終焉結界─天地開闢丿陣─》のような俺の俺による俺のためのお手製スキルなんかも含めちゃうと、下手するともう3倍くらいのボリュームになるかもしれない。

 それらを考えるとやはり、システム側もスキル運用においては相当な負担を強いられたろうなと感じるところはあるよね。

 

 感心しながらも目次を見、気になったスキルをいくつか見ていく。

 たとえば《居合術》。すっかりおなじみマリーさんの戦闘スタイルの根幹を成すもので、マリアベールさんといえば居合殺法、という世間一般のイメージの立役者とも言えるスキルだ。

 

 これなんかは《剣術》を保持した状態である一定頻度以上、技法としての居合斬りでモンスターを倒すことにより進化するという習得条件があるんだけれど……該当ページに移って《居合術》の解説を見てみると、そのへんの記載は一切ないのだ。

 習得条件不明、とだけされていて、スキル保持者のコメントでもなんかいきなりスキル名が変わってビックリした、とばかり書かれているのみなんだね。

 

「ふむ……つまり、進化スキルなのはある程度判明しているけど進化条件は判明していないってことか。《薙刀術》とか《破砕術》なんかもたぶん分かってないな、こりゃ」

『ていうか進化スキル関係はほぼすべて、進化条件未特定なんじゃないのか? 進化時にシステム側からのアナウンスこそあるだろうけど、それだってこと細かに条件の詳細を説明しているわけじゃなさそうだし、こないだの《武装化顕現》の例を見ても』

 

 気になって一応、《槍術》から進化する《薙刀術》や《槌術》から進化する《破砕術》なんかのページも見てみるけどそれらも同様だった。

 使用者は少しばかりだがいるものの、習得条件についてはまったく不明のままか良くても"ある特定の行動を一定回数満たすと習得できるかもしれない"という、いい加減なゲーム攻略情報のような推論を記載しているだけなのだ。

 

 このへん、アルマの憶測がたぶん的中しているな。

 つまりは進化スキルを手にした人はそれなりの数いるけど、そのほとんど全員が意図してのことでなく探査を繰り返すうちに偶然、進化条件を満たしたことで獲得したため再現性の確立ができてないんだ。

 よくて獲得した各探査者の、それまでの来歴から共通する点を見出して何かしら特定の行動を取れば獲得できるかも、と可能性を論じている段階ってわけだね。

 

 これはなかなか……うーん、どうまとめるべきか悩むところだな。

 条件についてある程度書いてもいい気がするんだけど、そうだなあ。保持者のコメントから考察したって体でざっくりとした表現にしといたほうが無難かもしれない。

 俺は用意していたノートに進化スキルの名前を記載して羅列していった。その横にサクッと手持ちの知識から、習得条件をかなりファジーな表現にして書いていく。

 

 《居合術》なら"《剣術》を獲得している状況で居合技術を用いてモンスターをかなり倒す"とか。

 《薙刀術》なら"《槍術》を獲得している状況で薙刀を用いてモンスターを結構倒す"とか。

 

 あるいは《破砕術》とかだと"《槌術》を用いてある一定数の建築物を加工、ないし破壊する"だったりね。

 これについては保持している探査者さん達のコメントに、DIYの最中いきなり進化した、みたいなトンチキな話が書いてあったからそれを受けた形だ。

 あとは実際に発表用の方眼紙等に書き起こす時、これらの文言をあくまで考察ですって体にマイルドにしておけばオーケーだろう。たぶん。

 

「公平くん、すごいね……すっごいサラサラ書いてる。そんなに分かりやすい本なんだ」

「そうだねー。少なくとも軽く読みだしただけでもいろいろ、役に立つ話が書いてあるよ」

 

 おもむろにサラサラ〜と書き出した俺を見て、梨沙さんが興味津々にノートを覗き込んでくる。

 習得条件そのものは本でなくコマンドプロンプトとしての知識からの引用なんだけど、そんなことはお首にも出さず俺は、そのままいくつかの進化スキルをピックアップしていくのだった。




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