攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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山形達の青春はこれからだ!

「お、もう松田くん達もいるね。自由研究は目処が立ったのかな」

「なんか本持ってるよ。もしかしたら片岡くんと同じで家で続きをやるのかも」

 

 図書館のロビーへと向かうと、すでに俺と梨沙さん以外の面子が勢揃いして待ってくれていた。松田くんに木下さん、遠野さん。片岡くんも併せて4人とも軽く、手を振ってくれているね。

 自由研究の残りを家でやるべく本を借りた片岡くん同様、木下さんも何冊か本が入ったバッグを持っている。来る時にはなかったものなので十中八九、レンタル品だろう。

 

 木下さんも家で自由研究ルートかな?

 階段を降りてみんなと合流する。開口一番松田くんが、片手を挙げて俺達を迎え入れてくれた。

 

「おう、お疲れー。どうだった自由研究、進んだか?」

「お疲れ。俺のほうはもうバッチリ、後は家で発表用の紙に書き写して終わりってとこだよ」

「さっすが山形くん、探査者さんはお仕事早いや」

「探査者関係あるかなぁ……?」

 

 進捗を尋ねられたもんだから率直にあともうちょい、家で清書したら終わりってレベルだよと答える。

 我ながら実に有意義な時間だったと思うよ。自由研究に目処を立てられたってのもあるし、テーマである進化、統合、派生の各スキルについて、世間一般の認識や知識をある程度把握できたからね。

 

 これでそれなりに踏み込みつつ、けれどあくまで体裁そのものは学生の考察程度という塩梅の発表ができる。

 同じクラスで探査者でもある関口くんあたりが見たら唖然とするかもだけど、彼だってもう俺が妙にスキルに詳しいスキル博士ちゃんなのはご存知だしね。問題ない、問題ない。

 

 と、そんなやり取りを聞いて木下さんがはへー、と声を漏らした。

 うん? と彼女を見ると、苦笑いして照れたように頭を掻いて言ってくる。

 

「いやー、こっちはこれが案外進まなくって。松田や真知子にも手伝ってもらっといて面目ないや」

「そうなんだ……それで本を借りたんだね」

「そうそう。いやー郷土史舐めてたわ。もうたくさん資料がありすぎてどれがどれやらって」

「探すのだけで手一杯だったもんなー」

 

 うんうん、と頷きながら松田くんも言う。

 木下さん……うちの県の郷土史について調べるって言ってたけど、たしかに一概に郷土史って言ってもいろいろあるからね、どこの地域でも。

 

 古くは交通の要衝であり、大きな湖もあることから船を使った水運なんかも発達していたとかで極めて重大な土地だったと聞いたことがあるし。

 そんなだからいずれの地方地域においても特色のある歴史や伝統、文化があるみたいだからね。そりゃ資料集めって簡単に言うけど難しかったはずだよ。

 

 むしろ今回、めぼしい資料を見つけられただけでも良しとするべきなんだろうね。

 そこは木下さんも思っていたみたいで、改めて松田くんと遠野さんにお礼を言っていた。

 

「ホント、2人がいなかったら資料探しもままならなかったわ……ありがとね。マジで助かった」

「良いってことよ、気にすんな。木下もお疲れさん」

「えへへ、いつでも力になるよ!」

 

 互いに労い合う光景は、傍から見ても青春だ。思えば今回、割と生まれて初めて友達と協力し合ってこういう取り組みをしたわけだけど……結構楽しかったな。

 まず待ち合わせから楽しいし、途中松田くんとバッタリ出会って、二人でダラダラトークしながらのバス移動も楽しかった。梨沙さん木下さんとも合流して、片岡くん遠野さんペアを待つのもなんだか胸が弾んだよ。

 梨沙さんや片岡くんとの資料探しもいろいろ新鮮だったしね。

 

 中学生の時分では想像もつかないくらいの、青春的なことをしてるんだな、今。

 そのことに気づいてなんだかしみじみしちゃうよ。去年までは何をするにしても大体一人だったし、余計にね。

 

 クラスメイト達とも学校では多少話をしていたし、別に嫌われてたりいじめられてたりハブられてたりしたわけじゃないけど……特段好かれてもいなかったとは思う。

 ただ、こうやって学外でまでつるんで遊んで楽しんでってのはこれが間違いなく初めてだ。

 

 人間関係に対しての戸惑いや、距離感に対しての不安とかも当然つきまとうけど……それさえ含めてひどく、楽しくて嬉しい。

 そんなウキウキ気分がひっそりと漏れ出ていたんだろう。梨沙さんが何やら寄り添ってきて、優しい目をして俺に聞いてくる。

 

「どしたの、公平くん。なんかすごい、いい顔してるじゃん」

「そ、そう? いや、楽しいなって思って。みんなと一緒なの、嬉しくてさ」

「……そっか。私も同じ気持ちだよ。たぶん、みんなもね」

 

 目を細めてじわりと微笑む彼女の、表情は慈愛に満ちている。なんて優しい顔をしているんだ、陰キャに優しいギャルって本当に奇跡みたいな存在だよ、梨沙さん!

 

 笑いかけてくる彼女を、内心にて女神のように讃えながらも俺も微笑む。

 東クォーツ高校に入って、梨沙さんと出会えたのは掛け値なしに素晴らしい出来事だよな〜とこれまた、しみじみと感じ入る俺なのであった。




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