攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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S.R.Y─シャイニング・レスキュー・ヤマガタクン─

 図書館を出れば夏の昼も盛りの頃、中天に達しつつある太陽がギラギラと燃えて大地を照らす眩しい光景が広がっている。

 さすがに自然公園のすぐ近くにあるからセミが鳴きまくっている。夏感あっていいんだけれど、それはそれとしてとにかく暑いもんだから、俺達はさっさと移動することにした。

 

「あちぃ~……喋る気もなくなるくらい暑いんだけど」

「ライン超えでしょこんなの……死ぬー」

「早くバス停に向かおうか。殺人的だ、この気温は」

「うへぇー」

 

 松田くん、木下さん、片岡くん、遠野さん。4人ともすでにグロッキーな状態で、早くバス停に向かおうとげんなりしつつも足を動かしている。

 件のショッピングモールへは今朝、駅からここへ来るまでのバスの順路とは逆になる。つまりは来た道を戻る途中にあるわけだね。

 

 前もって調べていたバスの時刻表からすると、あと10分足らずで下りのバスがやって来るはずだ。

 それに乗って駅へと向かう半ば、ショッピングモール前のバス停で降りれば良い。ということで一路、バス停まで向かう俺達であった。

 

「たしかに、こりゃ暑いね……途中自販機があるから、そこで水分補給もしながら行こうか。バス停までは数分で着くから、そのくらいの余裕はある」

 

 はるか高い場所にある太陽を見上げ、俺もふぃーと息を吐く。

 今、俺は因果操作による温度調整を行っていない。みんな暑がってる中で俺だけ涼しげな顔をしているのもなんだか気が引けるし、変に怪しまれても困るからだね。

 

 とはいえこちとらレベル1000付近の探査者であり、鍛えた肉体はそうでなくとも暑さ寒さにも強くて頑丈だ。なのでどのみち、他のみんなよりは全然マシなんだけどね。

 だからこそみんなを気遣える余地があるはずだと水分補給を提案すると、暑さに耐性があるのか比較的余裕そうな梨沙さんが笑顔でそれを肯定してくれた。

 

「そうだね、公平くん。ちゃんと水を飲まなきゃ、熱中症怖いもんね」

「賛成〜……ジュース、ジュースを飲ませろ〜」

「よし、あの自販機まで頑張るかぁ」

「頑張ろー……」

 

 他のみんなも次々に頷き、ひとまずの目標を道すがらにある自販機へと定める。歩いてすぐのところだ、そう時間もかからない。

 歩くこと二、三分して、俺達は自販機へと辿り着いた。山小屋を意識した丸太づくりの屋根の下、暑さにも負けず2台揃って稼働している。

 

 各々さっそく好きなジュースを買って飲みだす。俺も買おうか、コーラでいいかな炭酸サイコー。

 暑い夏は炭酸でしょ! ってな感じで勢いよく喉に流し込めば、炭酸たっぷり糖分たっぷり、ついでにカロリーもたっぷりな甘水が心地よい刺激とともに身体を満たしてくれる。

 かーっ、堪らない!

 

 

『この炭酸って飲み物は相変わらずすごいねえ! 弾ける感覚、暴力的なまでの刺激がまるで快楽物質さながらだ! 広がる甘さがゴクゴクいけるし、喉元を通り過ぎる際の感触も爽快極まりない! 砂糖水も工夫次第でここまでいけるものなんだなあ!』

 

 

 脳内のアルマさんもこれにはご満悦で、喜びの声を出している。炭酸飲料を気に入ったようで何よりだ、俺も好きだから、嫌いだ飲むなとか言われてたら脳内戦争勃発だったよ。

 友人達も水分補給で多少、生き返ったように潤いを取り戻してる。これであとはバス停まで行き、ショッピングモールに行ったらひとまずの難は逃れられるね。

 

「……っしゃあ! 元気出てきた!」

「エナドリ飲んだからって現金すぎでしょ、松田ぁ〜」

「遠野、大丈夫か? スポーツドリンク、もっと飲んどけ」

「あ、ありがと片岡くん……えへへ! えへえへ!」

 

 あまりの暑さに元気のなかった4人だけれど、こうなれば割といつもの調子に戻ってくれてるね。

 松田くんと木下さん、片岡くんと遠野さん。傍目から見るとなかなかお似合いのお二人さんがお二組。特に遠野さんを気にしてスポーツドリンクを追加で購入して渡してる片岡くんなんてもう、夏にも負けないお暑さなことである。

 

 そして梨沙さんもまた、しきりに俺を気にしてくれている。

 健康飲料をひとしきり飲みつつも、俺に向けてあの、肌とか拭くとスーッてなるやつを見せて尋ねてきてくれたんだ。

 

「暑さ大丈夫? 一応ボディシートあるけど使う?」

「え? あ、いや大丈夫だよ俺は。梨沙さんこそしんどくない? 俺の麦わら帽子使う?」

「ううん、私も大丈夫だよ! ありがとう、公平くん。みんなも、ボディシートあるから欲しかったら言ってね!」

 

 用意の良さもさることながら、この暑さの中でもみんなを気遣える梨沙さんはさながらグループのお母さんだ。

 でもだからこそ、彼女自身がくたびれちゃわないように気をつけないとね。俺は梨沙さんやみんなを見て、やんわりと告げた。

 

「みんなもだけど、本当にしんどくなったら俺が全員担いで病院なりに連れて行くからそこは分かっといてね。日常生活においてのスキルや力の濫用はあまり良くないけど、緊急時における人命救助のためならむしろ率先してすべきとも言われてるし」

「ま、まとめて担いで運ばれるのか……すげーパワープレイだな」

「シャイニングレスキュー山形くん……」

「光りながら病院に駆け込まれるのは、ある意味恥ずかしさで熱くなりそうだなあ」

 

 実際は空間転移だけど、真に緊急時となれば俺は時も場合も関係なく力を使うよ。だから辛くなったらすぐ言ってね……と。

 そう言ったところシャイニングレスキュー山形くんが爆誕しかけてしまった。なぜいつも光る前提なんだ俺? シャイニング山形だからか。

 仕方ないね……遠い目をする俺に、梨沙さんはクスリと笑ってただ、さらに寄り添うように距離を縮めてくるのだった。




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