攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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3組ともイチャつきだしたので収拾がつきません。山形のせいです。あーあ(笑)

 昼飯の段取りもそこそこにつけつつ、バスは問題なく走行してショッピングモール前のバス停にたどり着いた。俺達全員、すみやかにお金を支払って車から降りる。

 相変わらずの陽射しと熱気だけれど、眼前に広がるショッピングモール施設はすでに目と鼻の先。俺達は言葉少なにひとまず店内に向かおうと、足早に移動を開始した。

 

「あっつ〜」

「死にそうー」

「キツいな、これは」

「うへぇ」

 

 なまじバス車内が涼しかったこともあり、気温の差で余計にしんどさが増している様子の友人達。声には出さないものの梨沙さんも結構、うんざりしている様子だ。

 とはいえあともう少し、3分もかけずに涼しい場所へと避難できる。軽く坂道を登って、ほら見えてきた、入口!

 

 到着だ。開く自動ドアを潜れば、涼しくひんやりした風が吹く店内にやって来れた。いくつものお店が立ち並ぶ、市内有数の大型商業施設である。

 

「うはぁ、涼しい! やーっと着いたぜ、あーっしんど!」

「とりまフードコート行こ! もうなんかとりあえずご飯とかより先に空いてる席に座って涼みたいよ」

「だな……遠野、大丈夫か?」

「え、あ、うん、大丈夫……えへへ、ありがと片岡くん」

 

 松田くんに木下さん、片岡くんに遠野さんもようやく安全地帯に到達できたってことで、喜びもひとしおな感じでさっそくフードコートに行こうと話をしている。

 腹が減ったとか以前に、単純に外の猛烈すぎる暑さに体力も気力も持っていかれたんだろう。とりあえず座って落ち着いて、多少回復してからご飯を選びたいようだった。

 

「お疲れ、梨沙さん。喉渇いたりしてない? そこに自販機あるから、何か奢るよ?」

 

 俺も梨沙さんに近づき、労をねぎらいつつその身の無事を案じる。何しろ暑すぎだ、熱中症とまでいかずとも軽い脱水症状くらいなら誰でも容易く陥ってしまいかねないからね。

 店に入ってすぐ横合いに自販機があったから、もしも具合が悪いなら水でも買ってくるよと言ってみる。

 

 彼女はそんな俺に、嬉しそうな笑顔で応えてしかし、首を横に振った。

 

「大丈夫大丈夫! バス乗る前にジュース飲んだし、それにこれからお昼だし。むしろ公平くんこそ、探査者さんだからって油断してたら熱中症とかなっちゃうかも。平気?」

「俺こそもちろん平気だよ。梨沙さんがそうやって気遣ってくれるおかげだよ……今日だけじゃなくていつも、ありがとね」

 

 ギャルギャルしい見た目とは裏腹に、聖母さながらにいつもいつでも周囲の人達のことを見て、気遣っている。それが佐山梨沙という素敵な女の子だ。

 そんな彼女が、こんなにも夏の陽射しにマッチしないインドア派山形くんのことさえ気にかけてくれているからこそ、俺は今日だってなんだかんだ自由研究とかもうまく片付ける目処が立てられたのだ。

 

 だからせめて感謝を告げるのは当然のことだ。

 もちろん松田くん達にも、今日こんな暑さの中でも図書館行きに付き合ってくれたことをとても嬉しく思うし、特に日頃の世話になりまくってる梨沙さんに対しては、より率先してありがとうって言うべきだと思うんだよね、人として。

 

 俺の心からの言葉に、梨沙さんは一瞬目を丸くして息まで止めたみたいだった。そしてそれから、顔を赤くしてうつむき加減ではにかみ、上目で見て来る。

 軽くパシパシと俺の胸元を叩きながら、蕩けたような声で笑いながら言うを

 

「ううん、そんなこと……えへへへ! 公平くんたらもう!」

「えぇ……? な、何、どうしたの……?」

「なんかいつの間にかしれーっとそういう、素敵なこと言う感じの男の子になってるんだものなぁー! もう、もう!」

 

 牛かな? と言うのはさすがに憚られるものの、モウモウ言いながらめちゃくちゃ嬉しそうに笑っている姿はなんだろう、言っといてなんだけどこっちまでなんか照れくさくなってくるなあ。

 

 あと、最近なんか結構ストレートに物言うよね的なことを言われてる気がしてるが、ここについては間違いなくコマンドプロンプトに覚醒したことが関係しているね。

 純度100%の山形公平だった頃だとなかなか面と向かっては言えなかったろうことも、今となってはまったく問題なく伝えられる。これは梨沙さんだけでなく誰に対してもそうだ。

 

 ある意味"俺"だけでなく"私"でも在るようになったことで、誰に対してもそれなりに言いたいことを言えるようになったというか。

 もちろん、相手の意志や立場を尊重して敬意を払うことを忘れずにいたいとは思っているし、場の空気を読んで言うべきでないことは言わないようにしようとも心がけているけど……人間だけだった頃に比べてかなり図太くなった自覚があるのもたしかだよ。

 

「えへ、公平くん……」

「り、梨沙さん」

 

 そういう変わった部分ってのが、梨沙さんからすれば結構好意的に映るみたいだった。

 顔を赤くして、俺に寄り添うように近づく梨沙さんにちょっぴりドキドキ。香水かなぁ、良い匂いするんだよなあ、なんか。

 

「おーう行くぞお二人さん、イチャイチャすんなー」

「せめてフードコートで落ち着いてからラブリーしなよお」

「しかし山形のそういう、案外言う時は言うところはすごいよなあ。探査者魂ってやつかな?」

「関口くんも割と直球であれこれ言う時あるもんね」

 

 と、そんな様子を見ていた友人達から呆れ気味なコメントも来る。仰るとおりで、まずはフードコートに行くべきだろう。

 結局、梨沙さんとはそれからもかなり緊密な距離感のまま。俺達は揃ってフードコートまで向かうのであった。




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