攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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愉快だったりそうでもなかったり、いろいろあるよそれぞれの家

 軽い雑談なんかも交わして、すっかり心身ともにリラックスした俺達はいよいよお昼ご飯を調達することにした。

 フードコートで席を確保しといて何も食べないのはルール違反だしね。そうでなくともそもそも腹ペコなんだ、一息つけたらみんなして食事にありつこうというのは当然の話だった。

 

「みんな、先に行ってきてよ。俺はもうちょいここでゆっくりしとくからさ」

「公平くんが待つなら私も待つよ。4人で先に行って来て」

 

 さすがに全員で席を離れるわけにもいかないため、俺だけ残って留守番でもしようかって話をしたところ梨沙さんもそれに付き合ってくれることとなった。

 一人ぽつねんと残される俺を憐れんでくれたんだろう、本当に天使みたいにいい子だ。松田くん達も俺達の意を受け、席を立つ。

 

「おし、じゃあちょっくら行ってくる。すぐ帰って来るからそれまでよろしくな」

「ごめんね二人とも、お先様!」

「いってらっしゃーい。ゆっくりでいいよ、別にー」

 

 気を遣ってすぐに戻ってくる気みたいだけど、せっかくなんだからゆっくりと店を回ってくればいいのにとは思う。

 何しろフードコートに並ぶ店ときたら様々で、丼系から麺類、肉類、スイーツ……ドリンク専門店なんてのもある。選り取り見取りの様相だ。

 パッと行ってパッと戻ってくるのももったいないんだよね。

 

 まあごゆっくり〜、とだけ彼らを見送って、俺と梨沙さんが席に残る。しばらくは二人きりで時間つぶしだね。

 とはいえこちらからは何かこう、雑談の話題になりそうなものを提供できる自信がないからアレなんだけども。そこはさすがの梨沙さんで、微妙に自分からは話しにくい探査者生活を中心にいろいろ、話を展開し始めてくれる。

 

「こないだ隣県で遊んでから今まで、結構忙しかったりしたの? 公平くん」

「え、と……んー、まあまあってとこかな。探査者としてやるべきこともあったし、それに盆だったから親元に帰省もしてたし」

「親元? どこか別の県?」

「いや、湖西から湖北に向かっての山間。基本バスもめったに通らない、辺鄙って言うとなんだけどまあ、田舎だよ」

 

 大体この手の雑談はいつも、近況を言い合うところから始まるイメージがあるなあ。一番直近の話で話題も新鮮だし、記憶にも新しいから細かいところまで話しやすいからってのもあるからだろうね。

 そんなわけで俺はかいつまんで我が親元、山形本家について紹介したのだ。ごめん本家は大袈裟すぎた、御堂家じゃないんだから本家分家なんて括りはないよ、基本。

 

 じいちゃんばあちゃん、夏子さんにその子供の啓太くん、恵ちゃん。親元の近場に住んでる洋介さん真理子さんご夫妻に、息子娘の隆太郎さん、春香。

 そしてじいちゃんのお兄さんの孫、すなわち俺にはとこにあたる二宮健吾さん、姫子さんと珠のような赤子、里穂ちゃん。

 毎年会う面子をそれぞれ話していくと、梨沙さんはなんかやけに興味津々に耳を傾けてくれている。人の親戚ってそんな、気になるものだったっけか?

 

「へー! 素敵なご家族、っていうか一族の人達なんだね」

「ま、まあね? 毎年帰省して会うのが楽しみな人達だよ」

「そっかー……私の家にもそういう親戚付き合いはあるけど、ちょっと毛色が違うからなんか羨ましいなあ」

「そ、そうなの?」

 

 どうも自分の家の親戚付き合いを鑑みて、何やら羨ましく思っているみたいだ、梨沙さん。

 思えばこの子の家には一度だけだったかな、家の前まで寄らせてもらったことはあるけど……御堂家ほどでないにしろ、かなりお金持ち感あった気がする。

 

 つまり梨沙さんってば結構いいとこのお嬢さんなんだろうけど、だからこそ親族ってところには思うところがあるのかな。

 よくドラマとかで聞くもんね、お金持ちの家の親戚さん方がちょっとこう、笑えないタイプの人だったりするとかさ。

 

 さすがにフィクションと現実を混同したりはしないけど、梨沙さんの口ぶりからはそれに似た何かを感じる。

 あまり踏み込んだことを聞くのも失礼かもだけど、と意を決して俺は、彼女におずおずと尋ねた。

 

「ええと……梨沙さん。その、親戚さんとかってもしかして苦手だったりするかな」

「んー、苦手っていうか嫌いかな、怖くてキモいし」

「……………………そ、そうなんだ〜」

 

 怖ぁ……思ってたより直球な勢いで嫌い宣言してきたよ。見た目はギャルだけど普段から誰に対しても優しい彼女がここまで言うってよっぽどだよ。

 しかもキモいとまで言ってるし。これ、何か過去にあった気がしてならない。そんな推測を肯定するかのように、梨沙さんはため息混じりに愚痴をこぼし始めた。

 

「何かあるとすぐにお金とか、権力とか、立場とかの話ばかりしてきてさ。私にも同い年くらいの親戚とかいるんだけどそんな子達まで親に言い含められてるんだろうね、あからさまな感じでさ」

「それは……つらいね」

「だから、公平くんやみんなとこうしてる時間は私にとってすごく楽しいの。友達ってやっぱりそういうの抜きでなりたいじゃん? 子供っぽい考えかもだけど」

「そんなことない。素敵で、立派な考えだよ」

 

 照れたようにはにかむ梨沙さんを、俺は微笑んで頷く。

 御令嬢らしいといえばそれまでかもだけど、それにしたって悲しい話だよね……子供同士の親戚付き合いまでもがそんな感じだなんて。




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