攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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砂糖を吐きそうな光景にアルマの塩対応でバランスを取るんや!オエーーッ(AA略

 梨沙さんのお家の話から始まり俺の家の話とか、あと二学期についても話し込んでいると、それで案外時間が経ったのか松田くん達が戻ってきた。

 手にはフードコート用店舗が各店用意しているブザー。注文が出来上がったらこれが振動とともに鳴り響き、客に用意ができたことを告げるわけだね。

 

「お待たせさん二人とも。バトンタッチだぜー」

「おかえりみんな。じゃあ次は俺達が行こうか、梨沙さん」

「うん。ちょっと行ってくるね」

 

 選手交代、次は俺達2人が昼ご飯を調達しに行く段階だ。梨沙さんと一緒に立ち上がり、立ち並ぶ店を見て回る。

 時間が時間だから当然なんだけど、どこもかなりの賑わいだ。それでも予想していたよりは少なめなのは多分アレだね、外が暑すぎてそもそも家から出ないご家庭も多いんだと思うの。

 

 いやほんと、迂闊に外を出歩いてたら倒れかねない危険な暑さだからね。

 そろそろ気温も落ち着いていってほしいなーなんて思いながらも、俺は店をいろいろ見回してつぶやいた。うーん、この中だと今のテンションで言えば、ラーメン屋さんかカレー屋さんかなあ……

 

「ここはラーメンにしておこうかなー」

「私はおうどん屋さんにしよーっと。すぐに用意してもらえるし、みんなが食事を取りに行く時でも留守番できるしね」

「……気を遣い過ぎじゃない? もっと自分のことを優先してもいいと思うんだけど」

 

 ここでも人の良さというか女神天使ぶりを発揮する我らが梨沙さんに、とはいえいくらなんでも自分のことを後回しにしすぎだよと指摘する。

 たしかにうどん屋さんもあって、そこは注文から用意までが素早いもんだからブザーを介してのやり取りなんかは行われていないけれども……だからみんなの代わりにお留守番できるね! ってのはせっかくのお昼ご飯をそういう理由で決めるのはどうかなぁって感じもする。

 

 

『周りに気を遣って食べたいものも食べられないとか、馬鹿じゃないのこの女。欲求に素直すぎるのも問題だけど、何かにつけ抑圧的すぎるのも問題だろうに、知的生命体なんてものの在りかたは』

 

 

 脳内のアルマさんもさすがに呆れ気味だ。

 欲求に素直すぎるのを問題視できるくせして欲求に素直すぎた結果、今こうなってるお前に一ミリだって言えたことかとも思うけど、梨沙さんに対しては正直ちょっぴり同じことを思うかな。

 

 そんな俺による言葉に、梨沙さんはけれど目を丸くした。

 次いで何やら気づいたような表情を浮かべ、どこか気まずそうに頭を掻いて言ってきた。

 

「ごめんね、言い方おかしかったね……うどんが食べたいのは本当なの。元々好きだし、食べやすいし消化にも良いし。ここに来た時点で今日はうどんにしようって決めてたし」

「そ、そうなんだ?」

「うん。早く用意してもらえるとかお留守番できるとかはついでの理由だから。なんかそこを強調するみたいな言い方になっちゃって、誤解させちゃった。ごめんね!」

 

 申しわけなさそうに謝る梨沙さん。どうやら話しぶりからして本当に、今日のお昼はうどんって感じで決めていたらしかった。

 そこが前提にあったから話が飛んで、いきなり早いからとか留守番できるからとかって言い方になったわけだね。自分の中であまりに前提すぎる話がつい飛びがちになるの、わかるよ……コミュニケーションって難しい。

 

 好き好んでうどんにするんなら良かった。彼女ばかり気を遣ってるんじゃ、こっちとしてもどうにかしてあげたくなるしね。

 気まずげな彼女の肩に優しく手を置いて、俺はなるべくやんわりと、想いを込めて伝える。

 

「それなら良いんだけどさ。梨沙さんはただでさえ優しいから、もっと自分のことを優先してもいいと思って」

「そんなことないよ? 割と私、好きなように振る舞ってるし……優しさで言うなら公平くんのほうがずっと優しいよ」

「そんなことないよ。ほら、さっきだって俺に付き合う形で留守番してくれてたけど、みんなと一緒に行ったほうが良かっただろうし。それでもそうしてくれたのは、俺にはない優しさだ」

 

 効率的な話で言えば、留守番は一人に任せて他全員で注文しに行けば良い。わざわざ2人で残る必要もない。

 それでも残される俺を想って一緒にいてくれた、この子は本当に優しく素敵な人だ。陰キャに優しいギャルは実在したんだ。神話生物とかじゃなかったんだ。

 

 褒めそやす俺に梨沙さんは顔を赤らめた。肩に置いた俺の手に手を重ね、潤んだ瞳ではにかむ。

 

「公平くん……ありがと。そんな風に言ってくれる公平くんも、すごく素敵で優しいと思うよ、私」

「そ、そう?」

「そうなの! ……えへへ、そろそろ注文しよ? みんなも待ってることだし、ね!」

 

 不意に朗らかに笑い、俺の肩を軽く叩いて注文を促してくる。梨沙さんはそして、そのまま俺を置いてピューッと風のようにうどん屋さんに行っちゃった。

 素敵で優しい、なーんて……嬉しいこと言ってくれるよ、まったく。えへへ。

 

 

『何ニヤけてんだ気色の悪い。いいから言われたとおりに注文に行けよ、そろそろ何かしら味わいたいよ、味覚が寂しいんだよ!』

 

 

 うるさいよ! なんかいい感じのやり取りができたってのに余韻を壊すなよ!

 デリカシーゼロなアルマに脳内で叫び返しつつも、俺もラーメン屋さんに向かうことにした。




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