攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

1053 / 2049
クラスメイト視点だと意外に不思議ちゃんだぞ、山形くん

 ともあれみんなで歩き出す。さしあたって目指すは施設中央2階にあるゲーセンだ。

 何があるかはわからないけどクレーンゲームなりいろいろあるのはたしかだろう。みんなでそれらにチャレンジして遊ぶのも悪くはない。

 

「山形ってクレーンゲームとかもしかして超得意なんじゃね? 探査者やってるんだから動体視力とか良さそうだし」

「欲しいぬいぐるみとか見つかったらお願いしていいかなぁ?」

「いやその……実は最初は俺もそう思ってたんだけど、案外あの手のゲームって動体視力とかよりどこをどう引っ掛けるか考える、頭のほうが必要っぽくて……」

 

 探査者だからってんで期待の視線を集めてしまった。クレーンゲーム──俺も当初は鍛えた動体視力やら筋力やらで、取りたいものを総ざらいだぜ! とか思っちゃってたんだけどね。

 実際のところアレってば、絶妙な置き方されてるもんだから物理法則とか考えて、動かし方を考えないとちっとも先に進めないというある種の知的ゲームだったりするのだ。

 

 つまりはどういう手順でクレーンを操作するかによって手際がまるっと変わるわけで、そのへんは探査者であるとかないとかあんまり関係ないからね。

 なのでここに関してシャイニング山形を期待されても困るのだ。おもむろに光りながら全然ゲットできる気配の見えない景品に、無限にお金を投入してしまう未来が見えてしまいかねないし。

 

 

『コマンドプロンプトが何言ってんだ、演算しろよそのくらい。子供だましのレポートでっち上げるのには使えて美味しそうなお菓子をゲットするのには使えません、なんてこの世界のワールドプロセッサが許しても異なる世界のワールドプロセッサが許しやしないぞ。まあ元だけど』

 

 

 と、脳内のアルマさんが不意にツッコんできた。

 たしかに……クレーンゲームと探査者の能力の関係のなさについて気づいたのはまだ俺が覚醒する前、GWあたりでの梨沙さんとのデート中だから今とはまるで状況が違うのもたしかだ。

 コマンドプロンプトに戻った今の俺なら、その演算能力を駆使して物理法則をも加味しての最短ルートを容易に割り出すことも可能だろう。

 

 やったことはないけど興味深くはある。が、とはいえ妄りに俺の演算能力を披露するのもちょっと躊躇われるところはあるかなあ。

 単純にチートが過ぎる気がするし、そもそも絶対にそれをしないといけないって場面でももちろんないしね。

 

 自由研究の仕上げの時に少しは演算しながら取り組もうかとは考えているけど、一応オペレータの情報についてのネタバラシを含んでいるレポートと、アルマがほしいってだけのお菓子を同列視するのもちょっとな。

 というかどの面提げて異なる世界のワールドプロセッサを自称するんだこいつ、自分で言ってるけど元のくせに。

 

 ちぇっ、とガチ気味な舌打ちが脳内に響き、それを最後にアルマは黙り込む。拗ねたか。

 やれやれ、と軽くため息を吐いていると、梨沙さんが俺に近づいてきて何やら尋ねてきた。

 

「どうかした? なんか考え事?」

「え……あ、いや。なんていうかなんだろ。ええと……そう、なんか今、俺の他にも探査者がいるっぽくてさ、この施設」

「えっ……そうなの?」

「称号効果っていう、スキルとはまた別に探査者が持つ特殊能力でね。俺は近くにいる他の探査者さんの気配が分かるんだ」

 

 アルマとのやり取りに気を取られていたのは否めず、不意打ち気味に聞かれたため若干うろたえてしまう。落ち着け俺!

 瞬間的に瞑想して気分をリフレッシュさせて、フラットな気持ちを取り戻して応える。そう、さっきからなんか探査者の気配がするんだよね、それも複数人。

 

 毎度ながらかつて得た称号《心いたわり寄り添う光風》の効果、半径1km圏内のオペレータの気配を探ることができる力が先程から俺に示してきているんだ。

 7人ほどいる。それも今から俺達が向かうゲーセンのほう、すなわち施設中央らへんに集まってるわけだね。

 

 なんならすぐ近くにダンジョンの気配さえ感じられる。おそらくは探査に来たパーティってところかな。暑い中大変だよ、頭が下がる。

 ともあれそんな話をすると、みんな立ち止まって感心するなり、どこか引いた様子なりと各々反応を示してきていた。

 

「気配って漫画かよ。そんなのも分かるんだな、山形……」

「ダンジョン内で迷子になった時とか便利そうじゃん。山さんってなんか、たまに蝶々追っかけてふらっと行方不明になりそうな雰囲気あるし」

「分かる。なんていうか、変なところで子供らしさを発揮するよな」

「不思議ちゃんかな? さすがに蝶々は追っかけないよ!」

 

 なんてこったイジられ……てるよね、俺? 素で変な子扱いされてやしないよねこれ? なんか著しく誤解されている気がするぞ?

 そもそもオペレータサーチ効果を持つ俺のほうが何故、迷子になる前提なんだ木下さん。蝶々追っかけてダンジョン内で迷子とか、もはや子供とか通り越してアホの子だぞ木下さん!

 

 ……まあ、ものの見事に件の探査者の気配達に気を取られてるからあまり反論できたもんじゃないけど。




ブックマークと評価のほう、よろしくお願いしますー

【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ一巻発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://pash-up.jp/content/00001924 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 コミック一巻についての情報もご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。