攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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アイドルとアイドリングとシャイニング

 気になる探査者達の気配。その原因と言うか正体については意外なほどにさっさと割れた。

 ゲーセンのある施設中央、吹き抜けになっている広々したエントランスホール。エスカレーターのすぐ近くに、何やらイベントの案内看板が置かれていたのだ。

 

 看板には可愛らしい、いかにもアイドル然とした女の子たちが五人、並んでポージングしているね。

 その横にデカデカと書かれたイベント名を、俺は口に出して読んだ。

 

「探査者アイドルグループ"ハミングバード・サーチャーズ"とのふれあいイベント……? 日付は今日か。今からやるんだな」

「ハミングバード・サーチャーズ? 最近売り出し中のアイドルグループじゃん、なんだってこんなところで」

「一応全国区なのに、ドサ回りみたいなことするんだな」

 

 正直テレビそのものをあまり見ない俺にはなんともはや……ぶっちゃけ知らないんだけど、木下さんや片岡くんは知ってるみたいだった。

 とはいえ梨沙さんや松田くん、遠野さんは聞いたことのあるようなないような……みたいな微妙な顔をしているので、売り出し中ってのは間違いないんだろう。国民的アイドルだったらさすがにこの3人も知ってるだろうし、ニュースとかに映る機会があるなら俺ももしかしたら知ってたかもだしね。

 

 しかし、探査者アイドルグループかあ。

 基本的に職業制限がなされている探査者だけど、芸能関係については割とそのへん緩めというか、本業をしっかりしてるなら全探組やWSOの宣伝にもなるしってんで黙認されがちなところはあると聞く。

 歌って踊ってレッスンしたりライブしたりしながら、けれどダンジョンにも抜かりなくトライしているんだろう。ものすごい努力だよ、頭が下がる思いだ。

 

 まあ、とはいえアイドルに興味とかないから見に行ったりはしないけどね。

 なんぞや? と思ってた謎の探査者集団についてある程度得心がいったから俺としてはそれだけで満足だし。残り2人の気配だって、そのハミングバード・サーチャーズさん方のマネージャーだか付き人だか、あるいはパーティメンバーだったりするんだろう。

 

 喉に刺さってた魚の小骨が取れたようなスッキリ感だけ味わえたし、それならそれで良しだ。さあゲーセン行こーっと。

 

「…………えっ。ちょっとみんな見てよ、これ」

「んー?」

 

 と、立ち去ろうとした矢先。梨沙さんが何やら気づいて驚きの声を上げた。なんか看板指差してる。

 アイドルさん達の立ち姿の横、出演ゲストの項目。アイドルさんのお名前が一人一人書かれているのはもちろんのこと、その隣。

 なんかやけに見覚えのある名前が一人、書き連ねられていたんだ。

 

「配信探査者、関口久志……関口くん!?」

「はあ? おいおい関口くんってマジかよ、なんで彼が」

「本当だ……え、同姓同名の別人ってことないよね?」

「同姓同名自体はいそうな名前だけど、探査者なのはなあ……」

 

 そう、関口くん……俺のクラスメイトであり同じ探査者である少年の名が、アイドルに並んで連なっていたのだ。

 マジかよ。関口くん、いつの間に芸能界デビューを果たしていたんだ? それも駆け出しらしいとはいえ、全国区のアイドルグループと肩を並べてなんて。

 

 一瞬片岡くん同様に同姓同名の別人説を抱きかけたけど、兎にも角にも探査者だってのが何よりの証拠すぎる。

 この近場に同じ名前、同じ性別の探査者がいるなんて普通に考えてありえないからね。これについてはステータス付与プログラムのほうでもきっちり管理している事柄のはずだから、まず被ることはない。

 

 だから間違いなく、ここに書かれているのはあの関口くんなのだ。

 唖然とする一同。かく言う俺も驚きは隠せず、震える声を自覚しつつもかろうじてつぶやくのだった。

 

「ついでに"シャイニング世代"とかってわけの分からない世代区分も持っていってくれないかな……"アイドリング関口世代"とか──」

「お前は何を言ってるんだ……あと言っとくけど偶像としてのアイドルと、使われてないとか暇って意味のアイドリングはぜんぜん違うからな。なんでも現在進行系にしようとするなよ、山皿」

「山形ですけど! ──って、ありゃ」

 

 散々悪目立ちしてきた俺だけど、これでついに二番手に甘んじることができるかもしれない。

 そう、シャイニング世代なんてアレなネーミングからの卒業が叶うんだ!

 

 なんといってもアイドルと肩並べてるんだもん、誰がどう見ても目立ってるよキラキラだよ。

 はー良かった、これでとりあえず"同世代の中で一番悪目立ちしてる探査者"の汚名からは逃れられそうだ。

 

 ……と、喜んだところまさかの横合いからツッコミが入れられた。

 松田くん達のものでない声、ご丁寧に人の名前まで間違えてくれて、即座に訂正を入れつつも振り向く。

 

「関口くん……」

「よっ。奇遇だな山形」

 

 噂をすれば影。アイドルよりもはるかにイケメンなルックスを誇る少年探査者が、呆れたような目を向けて俺に声をかけてきていた。




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