攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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緊急クエストが発生しました:人々の"当たり前の日々"を守り抜け!!

 探査者アイドルグループ、ハミングバード・サーチャーズ。

 通称ハミバの一員である海北アキラさんがなんと、関口くんのパーティメンバーでもあった。なーんて衝撃的な話が明かされ、俺達はなんとも言えず感嘆の息を漏らすばかりだ。

 

 そして関口くん自身もその縁でゲストとして今回のイベントに呼ばれたとかで、別に芸能界デビューを果たしたとかそういう感じでもないのだと話す。

 

「ハミバのマネージャーさんも探査者で、俺とはそれなりに交流があるんだよ。それで今回、うちの県のこの施設でイベントをやるって話になった時、俺をゲストに呼ぼうって思ってくれたみたいなんだ。自分で言うのもなんだが俺、動画配信者としてもそこそこ知名度あるから比較的呼びやすかったんだとさ」

「へ、へえ……」

「で、当日の今日になってやって来たは良いものの、ちょっとトラブルが起きてな……どうしたもんかと思ってた矢先、山形達を見つけて今ここにいるってわけだ」

 

 デビューしてないってだけで人脈は立派に芸能人のそれじゃーん。マネージャーさんと交流あるってなんだよ、怖ぁ……

 なかなか強烈に世界の違う話をしてくる関口くん。ただまったく自慢気な感じでもないしこれ、彼からしたら完全に普通のことで単なる経緯説明に過ぎないんだな。

 パンピー山形くんとはそのへん、感覚のズレを覚えずにはいられないね。

 

 さておき、彼はちょっと気になることを仄めかした。トラブルが起きているとかで、イベントの進行が止まっている?

 何かあったのかな。梨沙さんが首を傾げて尋ねてくれた。

 

「トラブル? 機材的なものだったり?」

「いや……ダンジョンだよ。昼前頃、よりにもよってイベント準備中だったホールの真ん前に入り口が発生してさ。一旦イベントは中断して封鎖したは良いものの、どうしたもんかと運営側が協議中ってわけ」

「あー……すごい間が悪いね、それは」

「まったくさ。なんの嫌がらせだよって感じだよ」

 

 そうか、さっき感知したダンジョンと七人の探査者は、アイドルイベント会場に突如現れたダンジョンとそれを巡ってどう動くべきか悩んでいた、関口くん達というのが実態だったんだな。

 てっきり普通に探査しに来たパーティかと思ってたけど、まさかイベント会場のど真ん中にいきなり出てくるなんて相当運のない話だよ。

 

 イベントは中止、とまではまだ判断されていないようだけど中断、関口くん達は手が空いたから休憩中。そして、その矢先に俺達を見つけて彼がやってきたってわけだね。

 なんだかいい考えを思いついた、みたいな顔をして関口くんが俺を見てくる。なんだろ、何かある?

 

「まさかここで山形に会えるなんて、不幸中の幸いってやつかもしれない」

「俺? なんで?」

「ダンジョン発生直後、すぐにイベント運営と施設管理者が共同で全探組にダンジョン発生の報せと探査依頼の手続きを行った。それを受けて今、調査業者がダンジョンの級区分を判定中だ」

「相変わらずめちゃくちゃ早いよね、そのへんの動き。さすがは全探組だよ」

 

 発生して数時間程度だろうに、もうダンジョンの深度や難度をある程度計測する専門業者たるダンジョン調査業者が手を入れていることに感心する。

 関口くんもまったくだと言って、俺に同意した。

 

 ダンジョン発生が確認された場合、すぐさま最寄りの全探組に一報を入れる必要が、その土地の管理者なり責任者には義務付けられている。

 全探組も動きは早く、報せを受けたらほぼノータイムで対応してくれるものの、それが実際に探査依頼として探査者達に出回るまでには多少のラグがある。

 まずはダンジョン調査業者を呼んで、該当ダンジョンの規模や難度をある程度推測しなければ危険だからだ。

 

 ただ、さすがは毎日無数に発生するダンジョンに対応するための業界なだけはあり、調査業者さん達の数はそもそも多いしフットワークも超軽い。

 特に町中の、大きな商業施設内に発生したとなれば迅速な対応が求められるため、本当に30分もしないうちにやって来てくれたことだろう。そうして今、ダンジョンがどのくらいの難易度なのか、何級に相当するかを調べてくれているわけだね。

 で、問題はそこからだと関口くんは続けて話す。

 

「首尾よく何級か判明したとして、そこから全探組が依頼を出して、探査者がそれを受けて、こっちに来て、で、探査するわけだけど……お前がいてくれるならある程度その工程をオミットできるかもしれないんだ」

「ええと……つまり俺が探査を行うってこと? すでに現場にいる探査者だからそりゃ、全探組に話を通せば即座に請け負えるけど」

「もちろん難易度にもよるけどな。F級とかD級くらいまでならどうにかなるかも。ハミバのみんなは衣装とかがあるから参加できないけど……俺とお前の二人がかりなら、急げばイベントの再開もできるかもしれない」

 

 真摯な視線で俺を見据える関口くん。そこにあるのは探査者としての義務感であり責任感であり、また使命感。加えてイベントをどうにか再開させてやりたいという強い願いの光だ。

 

 俺と関口くんの二人がかりでのダンジョン探査、か。

 予期せぬ出来事ではあるけれど俺だって探査者だ、こんな時、返す言葉は決まっている。

 

 大切な催事、それを待ち望むファンや頑張りたいと願うアイドル達。またその関係者さん達。さらにはこの施設の運営から利用者のありとあらゆる人達まで含めて。

 誰しもに許されるべき日常。当たり前の日々を護るため──

 

「分かった、とりあえず調査業者さんの話を聞いてみようか、関口くん。俺達は、探査者だからね」

 

 ──いつだってダンジョンに立ち向かう、それが使命の存在なんだから。

 俺は力強く断言し、彼に対して頷いた。




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