攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
催事場は一階に下りて歩いてすぐのところ、施設の中央部に設けられた広場にあった。
さっき地図を見て遠野さんが騒いでいた、シュークリーム屋さんが近くにある場所だね。向かえばたしかにダンジョンの気配も近く、パーテーションで仕切られたブースのすぐ近く、スタッフさんらしい人々が集まっているところにあるのを感じるよ。
先導する関口くんがまず、ブースの入り口付近にいるスタッフさん達に声をかけた。
慣れた様子で突っ込んでいって話しかける姿は堂々としており、さすがはアイドルと並んでイベント参加だってしちゃう人気者だなあと感心する。怖ぁ……
「お疲れ様です! みなさん、ちょっと空けてもらっていいですか、探査者を連れてきました!」
「関口さん!? ……って、あれ。そちらの方って、えっ!?」
「えっ」
スタッフさん達も関口くんに振り向き応え、次いで一緒にやってきた俺を見て何やらめっちゃ驚愕していた。なんだ?
驚き方がおかしいというか、探査者ってところでなく俺個人に対して驚いている気がする。えっ、何? なんかしちゃいました、俺?
ちょっぴりドギマギしていると、スタッフさん達の何人かが目を見開き、関口くんと俺を見比べて叫びに近い大声を上げた。
「き、きき、救世主様じゃないですか!? お知り合いだったんですか関口さん!?」
「えっ……え、あ、はい。く、クラスメイトです、けど」
「なんとっ!? う、うわうわうわわ、生救世主様、生シャイニング山形様だぁぁぁっ!!」
「本物だ! 本物の救世主様だっ!!」
そしてなんかいきなり、急に異様なテンションになって俺に向けて片膝立てて跪いた! なんか祈るように両手を組んでるよ、何これ怖ぁ!?
関口くんはもちろんのこと、他のスタッフさん達も唖然としている。身内の突然のこの行動、彼にとっても予想外のまさしく奇行なんだな。
行き交う人々が立ち止まり衆目を嫌でも集める。止めてくれ跪かないでくれ、せめてあからさまに俺相手にするのは勘弁してください!!
ていうかこれ……アレだな。アレだよな間違いなく。俺なんかやっちゃいました? じゃないよな。
伝道師さんなんかやらかしちゃいました? だよねこれ!
「怖ぁ……え、まさかその、救世の光の?」
「はい! 私こそ何を隠そう偉大なる伝道師であらせられます御堂様の、素晴らしき伝道を動画より賜りし者! 救世主様こそがこの世の救い主であると確信している者にてございます!」
「救世主様バンザイ! ああまさか関口さんが救世主様の御学友だったとは! 隠しているなんてお人が悪いですよ関口さん、救世主様バンザイ!」
「む、むしろ信者の方だったんですね……はは、はは、は」
話す前と後に一々"救世主様バンザイ! "を付けないでほしい。本当にマジで信者じゃん怖ぁ……
関口くんも他のスタッフさんもドン引きして信者スタッフさんと俺を見比べてるし。せめて俺は見ないでよ、俺だってドン引きだよ悪いけど。
この人達、あのチャンネルの動画のフォロワーなんだな。それで伝道師さんの影響を受けてこうなった、と。
……実在したのかあ、信者。なんやかや言っても一部の伝道師と使徒以外は面白がってるだけでしょとか、正直内心で思ってたりしなくもなかったんだけど。
こうして例のチャンネルが生み出した新しいタイプの方々を見てしまうと、こう、すごいことになっちゃったな感がすごい。
手がつけられないって感情はまさしくこういう感じなんだな。脳内でアルマさんまで驚いてるほどだもの。
『……いやあ、初めてのケースだよ。まさか概念存在じゃなく直でコマンドプロンプトを信仰しだす世界があるなんて。伝道師だったっけ? 僕の天地開闢結界を封印しきるだけのことはあるよね、あの御堂だかいう女。さすがだよ』
呆れとも驚愕とも、あるいは嘲笑とも感心ともつかない絶妙に複雑な色合いの声音。こいつにこういうガチな反応されるのはそれはそれですごいな、香苗さん……
ついに邪悪なる思念までもをドン引きに近い状態にせしめた、伝道師の大いなる威光──
この場にいないのに存在感をバッチリ示した、そのすさまじさに想いを馳せつつ。俺はそろそろ本気で勘弁してくれと膝をついて目線を合わせ、信者スタッフさん達に話しかけた。
「あの、すみません」
「はい! なんでございましょうか救世主様! なんなりとお申し付けくださいませ!」
「怖ぁ……いえその、関口くんから話を受けまして。ダンジョンができたとかで、もし僕で探査できそうなら速やかに探査したいと思うんですよ。つきましては責任者の方にお取次ぎをお願いいただけますでしょうか?」
「! はいっ! いますぐお呼びしますので少々お待ちくださいませ、救世主様バンザイ!」
「ど、どうもです……」
語尾にソレつけないと死んだりするの? と言いたくなるような語尾のまま、信者スタッフさん達は慌ててブース内に駆け込んでいった。責任者を呼んできてくれるんだろう。
嵐がひとまず去った。なんとも言えない心地で立ち上がる俺に、やはりなんとも言えなさそうな顔をして関口くんが話しかけてくる。
「…………あー、なんだ。話がスムーズに進みそうだ。助かったよ救世主様」
「それなら良かった……のかな? あと救世主様呼びやめて?」
悪い、と。ガチトーンで謝られては俺も二の句を継げない。お互い完全に真顔のやり取りである。
微妙な空気。お互い反応に困る時間はその後、責任者さんが来るまでの数分ほど続いたのであった。
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