攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
勢いよくダンジョンの入口、軽く人間1人分の背丈の高さの穴を落ち、そこから続く下層への階段を駆け下りる。
先行は関口くんだ。地下一階へと向かいながらも、彼はすでに己の代名詞とも言えるスキルを発動してくれていた。
「スキル《勇者》、発動せよ! 俺は勇気ある者、そして勇気を与える者なり!」
「っ……いいね、バッチリ! ドラゴン戦の時より出力上がってるんじゃない?」
「レベルが上がったからな! 今は100ちょい、それに併せるように《勇者》のバフ率も50%にまで上がってるよ!」
「すごい!」
端的に褒め称える。関口くんのここ数ヶ月の努力とその証が、俺の身体を駆け巡る《勇者》のバフ量によって示されていた。
たしか探査者ツアーの際、彼のレベルは50程度だったはずだ。そこからわずか3ヶ月で倍にまで引き上げるなんて、彼自身の素質もあれど相当数のダンジョン探査をこなしてきたんだろうね。
そして《勇者》のバフ量も実は段階を踏んで上がっていく仕様になっていて、レベル100を超えるとそれまでの30%から50%に上昇するんだ。
それ以降はレベル200になると60%、レベル300になると脅威の70%バフになる。つまりは100を刻む毎に10%、バフ量が増大する仕組みになるんだね。
これまでの数年間、探査者としての仕事を最低限度にしかこなしてこなかった彼だけど。ここに来て再起を果たした結果、眠っていた素質を開花させ始めているんだ。
きっと将来、彼はたくさんの仲間を率いるパーティリーダーとかになって大成するだろう。《勇者》の特性を考えればそうならないほうがおかしい。
天才揃いのおかし三人娘の師匠だけはある、見事な姿だ。
敬意さえ抱きつつ俺は、ならば自分も負けていられないとばかりに戦闘態勢へと移行した。
「神魔終焉結界、起動!」
「っ!?」
「かーらーの! 《誰もが安らげる世界のために》!」
いつもの戦闘服へと変身し、かつ戦闘能力そのものへの大幅なバフを行うアドミニストレータ用スキルを発動する。
《誰もが安らげる世界のために》。絶対に負けてはならない戦いの時、戦闘能力を最大1000倍まで上げることのできるスキルだ。
発動条件そのものは今の俺なら踏み倒して強制発動できるんだけど、今回は普通に満たしているので発動できた。
"絶対に負けてはならない戦い"なんて曖昧な表現してるけど、要は承認者が負けられないと判断した場面なら使えるスキルだからね。
リーベがアドミニストレータとしての俺をサポートしてくれていた頃は、発動承認プロセスを彼女に任せていたから、基本的に俺の能動的意志で発動させることはなかなか難しかったわけだけど。
今はもう、コマンドプロンプトとしてそのへんの采配は自力で行える状態にある。いつどこでどんな形で発動しようがお構いなしってわけだ。
「出力は、えーっと50倍くらいでいいかな……よし! やろうか関口くん!」
「お、お前……そのコート、なんかのスキルで作ったものだったのか! 夏休みに入ってからなんかやけに派手になったから、俺はてっきり中学2年生がぶり返したのかと思っていたんだが!」
「帰ってきた厨二病リターンズ!? 違うよ、これはそういうものなの!!」
怖ぁ……14歳再びって感じで生温かく見られてたのかよ、今までのこの恰好の俺。
やっぱり蒼いロングコートってそう捉えられちゃうよね。俺だって正直、ヤバいかなって思わなくもない時もあるし。いやまあ、もうすっかり俺の中では定番の装備になってるから変える気もないんだけども。
オブラートに包んでなお厨二病再発を疑うのは止めてほしい!
……と、抗議する間もなく駆け抜ければじき、部屋が見えてきた。そろそろ私語は慎む頃合いだね。
関口くんが懐から何やら鉄の塊を取り出した。何かを折り畳んでいるみたいで、テキパキと組み立てていく。
これは……剣のほうじゃなく、弓のほうかな?
「関口くん、それは」
「今回、俺はサポートとして斥候を行うが、可能ならそのまま突破して道を開く。そのためにも剣も弓も両方使っていこうと思ってな。香苗さんから聞いてると思うが、俺は元々スイッチヒッターなんだ」
「なるほど……剣も折り畳みのを持ってたもんね」
ここから先、俺より前に出て偵察と露払いを務めてくれる関口くんだけど、可能な限りはそのまま自力での突破を試みるみたい。そっちのが俺としても部屋を素通りできるからスマートではあるね。
そしてそれに際し、関口くんが今回扱う武器が弓らしかった。
たしかにこないだの夏祭りの直前、香苗さんや関口くんとダンジョン探査をした際に聞いたことがある。
3年前の彼は剣と弓とのスイッチヒッターで、近距離も遠距離も両方自分でこなしていたと。
当時はとにかく自分が目立つための振る舞いだったんだろうけど……今は仲間のため、責務を果たすためにこそ力を振るってくれるんだね。
「よし、そろそろ先行する!」
「お願いします! お手並み拝見!」
こちらも懐から取り出した折り畳み式の矢──普通に考えたらありえない構造してそうなんだけど、たぶんモンスターの素材を使ってるんだろう──を弓に番えつつ、俺に先んじて彼がトップスピードで駆け抜け、先に行く。
こないだは剣によるスタイルだったけど、今回は弓のスタイルで戦う関口くんなわけだね。
エールを送りつつ俺は一定の速度を保ち走る。さあ、戦闘開始だ!
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