攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
先行して駆ける関口くんが、走りながらも弓矢を構えた。部屋に入るにはまだ若干の距離がある位置から、引き絞った弦を解き放つ。
後に続く俺からでも見える──部屋内にはモンスターが最低2体。見たことのない、二足歩行のワカメみたいなモンスターが一体とアーマー系モンスターのD級に相当するタイプ、ブロンズアーマーがいる。ワカメのほうが例の"動く海草"とやらだろう。
気配の上では部屋内に他のモンスターはいなさそうだ。
そいつらに向けての先手。
関口くんの弓スタイル、技が発動した!
「《狩人》、ブレイブブレイバー・ハードショット!!」
「────!?」
放たれる矢が裂帛の気迫とともにブロンズアーマーを貫く。ハードと名付けるだけはある、見るからに強力な勢いの一撃だ。
敵モンスターの堅固な鎧を一気にぶち抜いて、矢はダンジョンの床に突き刺さる。アーマー系モンスターの中身は総じて暗闇の靄のような気体なのだが、それさえ散らすような暴風を伴う一矢は容易く敵を粒子へと変じさせていった。
かなりの威力だ。もしかしたらC級以上の、今の関口くんにとっては格上かもしれない相手にも通じるかもしれないほどの豪壮な威力。
こないだおかし三人娘が得た必殺技、《武装化顕現》による武装化ゴンベを駆使しての奥義、オリジンブレイバー・ネームレスディバイド──あれよりも格段に威力がありそうだ。
もっとも、あっちはF級相当の実力で放った上での比較なので、やっぱり始原の4体と《武装化顕現》を得たおかし三人娘の火力、いざとなったらすさまじいことになってるんだけどね。
「く……っ!」
「関口くん!? 今の技、まさか反動付きなの!?」
だがそれだけにデメリットもあるらしい。矢を放った関口くんの腕からあからさまに力が抜けた。
持っていた弓を落とすほどではないにしろ、少なくとも右腕は力が抜けきっている。
技の反動。自身の現時点での実力に見合わない高威力の技を放ったことで、一時的にだけど腕が麻痺なり虚脱なりに陥ったのか。
今、関口くんが陥っているのは軽い症状だけど、それでも立て続けにハードショットを2連発することは無理筋みたいだ。
「それでも、先にブロンズアーマーを仕留めるメリットが大きいってわけか!」
アーマー系は攻撃、防御ともに同ランク帯のモンスターの中でも常に高水準を維持する、シンプルに厄介なモンスターだ。
以前、A級アーマー系であるプラチナムアーマーを相手取ってアンジェさんが一騎打ちしていたな……あの時も、A級トップランカーに近しい実力を誇っていた彼女をしてギリギリの勝負を繰り広げていたほどだ。
D級のブロンズアーマーであっても、D級トップ層あるいはすでにC級相当の実力を持つ探査者でなければ、まともに相手なんてできないんだろう。
そんな厄介さがあるからこそ、関口くんはあえて初手から強引にでもやつを排除しにかかったんだ。今のハードショットとやらのデメリットとしての、おそらくは一時的な脱力を加味してなお、先んじてブロンズアーマーを排除する選択を取ったんだね。
「そうだッ! そしてぇっ!!」
──そしてそれは、関口くんが継戦能力を失ったということを意味しているわけでは決してない。
なおも駆けながら、同時に弓を敵の後方、向こう側へと天高く放り投げる。そして懐から折り畳み式の剣を取り出す関口くん。
前に俺と香苗さんとの探査でも見せてくれた、コンパクトながら強度も切れ味もバッチリなやつだね。
その剣を目にも止まらぬ早さで組み立て、あっという間にロングソードへと完成させて彼は部屋へと躍り出た。一気に残るモンスター、二足歩行の海草に距離を詰める!
「《剣術》! ブレイブブレイバー!」
「わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ、わしゃ?」
「────ラピドリースラッシュ!!」
わさわさ動くからわしゃわしゃ鳴いてるんだろうか? 二足歩行のワカメみたいなモンスター、動く海草が身を震わせつつも腕らしき海草を振るう。
だがそれよりも早く、まさに疾風のように関口くんは接近した。そのまま踊るように、やつの周囲を横回転しながらステップする。
ステップの度に放たれる斬撃が、無数に海草を切り刻んでいく。威力こそ低めだが、その分手数が多い……脱力した状態でもダメージを稼ぐための技か!
ブレイブブレイバー・ラピドリースラッシュ。今やチョコさんに受け継がれている各種剣術の本家本元、元祖とも言うべき技術の一角ってわけだな。
「消え去れ、モンスターッ!」
「わっしゃああああああっ!?」
連撃剣舞の最後の一撃、切り刻まれきった動く海草の、胴体にあたる部分に思い切り袈裟懸けを放つ関口くん!
ズバァッ!! と鋭い一撃がモンスターを切り裂き、光の粒子に変えていく。やった、これで一部屋目は突破だ!
俺がギリギリ部屋に到達するあたりで先行した彼がモンスターを倒したもんだから、俺はそのまま素通りの形になる。これはスムーズでいいな!
「関口くん、お見事!」
「序の口だ! この調子で行けるところまでサポートするが、それ以降はすまん、山形に手を貸してもらうことになる!」
「もちろん! まかせて!」
一声かけるとすでに彼は、華麗に天から落ちてきた弓を回収して。床に突き刺さっていた矢をも回収しながら再び走り出した。
今回の探査には概ね1時間という時間制限があるから、悠長に立ち止まって雑談している余裕もないのだ。
俺も引き続き走り続ける。今回の探査はこんな感じで、ひたすらスピーディさが求められるわけだね。
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