攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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世が世ならお貴族様じゃない?ってくらいパーフェクトギャル

 目的地の駅にて下車し、俺と梨沙さんは松田くん、木下さんと別れた。二人を載せて走る電車を見送ってから改札口へと向かい、駅から出る。

 お互いここからは歩きなんだけど、進む方向はそれぞれ別々だ。つまり最短距離で帰る場合、ここでお別れなわけだね。

 

 ……ふむ、とGW中のデートのことを思い返す。あの時はたしか、彼女を家の近くまで送り届けていたな。

 あんまり自意識過剰みたいに思われそうでアレなんだけど、さりとて一人でこのまま帰すのもな。

 俺は梨沙さんに提案した。

 

「あー、そういえば家族に頼まれてスーパーで買い物しなきゃなんだった。梨沙さんもお家、そのへんだったっけ」

「え? うん、そうだよー。すぐ近く」

「せっかくだし一緒に行っても良いかな? ほら、進む先は一緒だし」

 

 まあ頼まれごとなんてないんですけども。なんとなし、デートの帰りでもないのに君を家の近くまで送るよー、とか言ったら事案になりそうなのでそれっぽく言いわけしたにすぎない。

 イケメンの関口くんとかならこういうのもサラリと言えるんだろうけどね。俺はほら、アイドルイベントのゲストになれるほどの顔立ちではないから。

 

 キザったらしいことをするのも言うのも、一々理由をつけたくて仕方ないわけ。そんな年頃なわけ。なんなら照れくさくて彼女の顔とか見れないわけ。思春期の少年なわけ。

 キョトンとして俺を見る梨沙さんだったけど、やがてじんわりと優しい笑みを浮かべた。目を細めて、なんか慈愛の色濃い表情で応じてくれる。

 

「もちろん! ……ありがとね公平くん。公平くんのそういうとこね、ホント、素敵だなって思うよ」

「……ど。ど、どどうも」

「もう、キョドんないでよー。目を泳がせないで、ほら、行こう?」

「は、はははいぃ」

 

 聖母のような笑みに照れくささ倍付け! しどろもどろで答える俺に、ギャルっ子梨沙さんは楽しげに笑い、俺の手を取った。

 うひゃあ、手繋ぎ! 小さくてすべすべした手の感触がダイレクトに伝わってくる!

 

「公平くんの手、大きくて力強い。この手でいつも、みんなの暮らしを守ってるんだ……探査者だもんね」

「ま、まあその。え、えへへへ。あ、あんまり見栄えがしなくて申しわけない……かな?」

「そんなことない。カッコいいよ、尊敬する。パパやママにも負けないくらい、すごくてカッコいいヒーローの手だし」

 

 俺の手を優しく握ってくる梨沙さんが、めっちゃ褒めてくる。うわーっ、顔が熱い! 夏の暑さより熱い!

 ここ半年、いろんな人からいろんな意味で持ち上げられたり褒められたりすることがあって恐縮なんだけど、クラスメイトの女の子から、手の感触についてコメントいただくっていうのはまた新鮮すぎて照れるしかない。

 

 ああでも親御さんに負けないくらいって評価はちょっぴり怖いよ? 以前梨沙さんのご両親にご挨拶したことがあったけど、マジで立派な人達だったからね。

 御尊父様はダンディなイケオジで渋くて格好良くて、御母堂様も梨沙さんのお姉さんかな? って言いたくなるくらいに若々しくてお美しい方だった。

 

 そんな方々よりカッコいい俺の手とかどう考えても過剰評価だ、畏れ多い。

 なのでそのへんについては曖昧に笑うしかないまま、俺達は手を繋いで歩き出した。駅を出て梨沙さんの家のあるほうに向かって歩く。

 

 彼女の家のあるあたりは駅からも近く湖岸に近い、いわゆる高級住宅が立ち並ぶ通りだ。

 国道からも多少離れていて車もほとんど通らない、閑静な住宅街だね。

 

 俺の家からも歩いて来れなくはないところではあるんだけど、日常の動線の中にはない。

 そもそも俺が一人でそんなところうろついていたら、翌日の地域回覧板にお触れが出そうなくらいブルジョアジーの香り漂う地域なのだ。用もないのに踏み入れないよ、怖ぁ……

 

「梨沙さんのお家、本当に大きいもんねえ。家政婦さんもいるんでしょ?」

「あーうん、まあね。家政婦さんっていうか、小さい頃からお世話になってて本当に家族みたいに親しい人達だけど」

 

 そしてそんなブルジョア地方にお住まいの梨沙さんのホーム、佐山家ときたらさすがの高級住宅なのだ。

 庭園とかはないけど車が何台と置いてあったし、家政婦さんとかいたし。三階建てだったし。

 

 それでいてご家族は当然梨沙さんも含めて人品骨柄文句なしのパーフェクトぶりだ。

 現代の貴族かな? これが本物の上級国民ってやつかぁ……なんて、初めてお会いした時に光眩いリア充オーラに陰キャとして存在が消えそうになったのは記憶に新しい。

 

「お嬢様なんだねえ……」

「ちょ、やめてよー! そーゆー深窓の令嬢みたいなのがヤだから、ギャルってるとこあるんだからねー?」

「あ、そうなんだ?」

「そうそう。パパやママからは、勉強しっかりしてるならこのファッションをしても良いよって言われててさー」

「あー! だから学年上位なのか!」

 

 得心がいって思わず声を上げる。この子、実のところ学業も相当優秀なんだよね。具体的に言うと学年トップクラス。

 関口くんも同じくトップクラスだったりするので、うちのクラスのトップリア充であるこのお二人さんは、容姿的にも成績的にも最強の二人なわけ。

 

 しかしまさか、そんな梨沙さんの学力の秘密がご両親との約束を守ることにあったとは!

 ……そう考えると、そういうのなさそうでかつ、遊んだりパーティーしたり部活したり探査までしてるってのに学年トップクラスな関口くんって本当になんなの?

 この世のバグか? なんてついつい考えてしまう俺でした。




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