攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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結局のところ、みんなで分け合っての食事が一番美味いんです

 久々な感じがするけどそもそも人のステータスを使って誹謗中傷するな、そしてそれを受けて人の脳内で騒ぎ立てるな!

 と、2体のワールドプロセッサに抗議しつつもえっちらおっちら歩いて辿り着く。自宅だ。

 

 シュークリームの箱は未だ保冷剤が効いてるみたいだからこの炎天下でも、どうにか中身が傷まないまま帰ってこれたんじゃないかなーって思う。

 家族みんな喜ぶぞーきっと。なーんて思いながらも俺は玄関を開け、帰宅した。

 

「ただーいーま」

「おかーえーり」

 

 タイミングよくちょうど、二階から降りてきていたらしい母ちゃんと鉢合わせる。気の抜けた挨拶をお互い交わしつつ、靴を脱いでリビングへと向かう。

 なんかオペレータの気配が3つあるんだよね、この家。うち2つはリーベとシャーリヒッタなのだろうけど、じゃああと一つは誰だって話になる。

 

 父ちゃんか優子ちゃんが突然オペレータに覚醒した!? と一瞬考えたけどいくらなんでも万に一つどころか億に一つすぎる。

 となるともうちょい可能性がある話で言えば、やはり彼女のことだろう。今日の散策に呼べたら呼ぶとかリーベちゃん、言ってたもんな。

 

「……うん、案の定だな。いらっしゃいヴァール」

「ああ……邪魔をしているな、山形公平。おかえりというべきだろうか、この場面は」

「おかえりなさーい公平さーん!」

「父様、おかえりなさいませ!」

 

 リビングに顔を出せばそこには見知った顔。父ちゃんに優子ちゃんはもちろんのこと、リーベにシャーリヒッタ、そしてもう一人……ヴァールがいた。

 どうやら本当に3人で地元巡りをしていたみたいだな。

 

 シャーリヒッタはもちろんヴァールだってこのへんについては土地勘ないだろうから、リーベが二人をリードして連れ回したって感じか。

 それで一段落ついて家に戻ってきたんだろうけど、ヴァールがここまで着いてきたのは意外な気がしなくもない。もちろん、山形家に遊びに来てくれるのは大歓迎なんだけどね。

 

「おーうお帰りー」

「兄ちゃんおかえり! ね、ね、何その箱、おやつ? 甘いもの?!」

「シュークリーム。高校近くのショッピングモールで売ってたから、みんなへのお土産にね。はいどうぞ」

「わーい!」

 

 父ちゃんや優子ちゃんとも挨拶を交わしつつ、持ち帰ったシュークリームの箱をテーブルに置く。すぐさまみんな寄って来て、どれどれと開封し始めた。

 窯焼きシュークリームが定番らしい件のお店にはバニラ、チョコクリーム、クッキーシュー、あとはチーズケーキ風やらといろんな種類のものが置いてあった。

 

 なので各種ごとに3つずつ買ってきたんだけど……俺とヴァール含めてみんなで7人だし、一人あたり2つ3つは食べられる感じにはなっていた。

 俺と同じタイミングでリビングにやってきていた母ちゃんが、大皿を何枚か持ってきてそこにシュークリームを移していく。

 リーベとシャーリヒッタ、優子ちゃんがまずは近寄ってきて宝石のようにキラキラした目でシュークリームを見つめていた。

 

「うひゃー! すっごい美味しそうですー! どーれーにーしーよーうーかーなー!」

「シュークリーム、話に聞いたことはあるけど美味そうだぜ! 優子、どれ食べる?」

「えっとね、えっとね! 私はクッキーシューかな! シャーリヒッタお姉ちゃんもこれ、めっちゃ美味しいよ!」

「クッキーシューってこれか? へへ、じゃあ一緒に食べようぜ、優子!」

「うん!」

 

 なんやかやシャーリヒッタと優子ちゃん、打ち解けてるみたいで何よりだ。二人で同じ種類のシュークリームを選び、キャッキャウフフと騒いでいる。

 リーベもリーベでどれにしようか超、真剣な顔で吟味する最中、しかし俺は動かないヴァールを見る。

 

 我関せずって雰囲気だけど、さっきからチラチラと皿や空になった箱を見ているあたり、食べたくない感じでもなさそうだ。

 客人の自分が、他所様の家の土産をいただくのもなーって感じだろうか? もしそうなら水臭い話だよ、俺は彼女に声をかけた。

 

「ヴァール、お前は何にする? 好きなのを選んでくれ」

「? 私も良いのか、山形公平」

「良いに決まってるだろ……お前だけ仲間外れなんて、せっかくのシュークリームも美味しくなくなっちゃうし。ほら」

「あっ……」

 

 みんなでさあ食べようって話で、客人一人置いてけぼりなんてするわけないだろうに。そうでなくともヴァールもソフィアさんも、俺にとってはほぼ身内みたいなもんなんだから。

 彼女の両肩を優しく掴んで、やんわりと立たせて引き寄せる。必然的に密着する形となって我ながら大胆すぎたと後悔するんだけど、ヴァールも動揺したのか顔を赤らめた。

 コホン、と咳払いしつつ、彼女にも促す。

 

「ほら、遠慮するな……みんなで食べるから美味しいんだ。俺達は、お前と一緒にシュークリームが食べたいんだよ」

「そうだぜヴァールよう。変な気遣いはそれこそ余分だぜー」

「ほらほら、どれにしますー? お父様もお母様も選んでくださいー」

「そうだなあ。ビールに合うやつある?」

「あるわけないでしょ! ……ないわよね?」

 

 ないんじゃないかなあ、さすがに……

 ビール片手に父ちゃんがすごいことを言うけど、母ちゃんが呆れた通りビールに合うつまみみたいなシュークリームってあんまりないと思うんだよね、うん。

 

「あ……ありがとう。それでは遠慮なく、このチョコレートをいただこう」

 

 そんなことを言い合いながら和気藹々とシュークリームを選ぶ俺達。

 ヴァールも俺達に言われて、やがて微笑みとともに応え、自分好みのシュークリームを選ぶのだった。




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