攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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美少女三姉妹と語らいながら宿題に手を付ける、自称陰キャがいるらしい

 シュークリームもいただきまして、コーヒーやら紅茶やらで喉も潤しまして。

 改めて俺と精霊知能三姉妹は落ち着いて話すことにした。俺の部屋に移動して、荷物を下ろしがてら彼女らに促す。

 

「まあ座りなよ、お菓子とかジュースはないからアレだけど」

「さすがに食べ過ぎ飲みすぎだ、お気遣いは無用だよ」

 

 冗談めかして言えばヴァールも、微笑んで応えてくれる。

 昨日の宴会での振る舞いを気にしていた彼女だったけど、俺はじめ周囲の面々による励ましっていうか慰めっていうか、まあとにかく気にすんなよ的なエールを受けてひとまずは気を落ち着けていた。

 

 とにかく真面目な子だから、結構引きずっちゃいがちなところをフォローしてくれたリーベとシャーリヒッタには感謝だな。さすがは姉妹。

 とはいえそのへんを言うと"姉妹ではない、姉妹だとしても私が姉だ! "なーんて言い出すと思うので口にはしないけど。なかなかこう、可愛い末っ子ちゃんだなーとは正直思うかなー。

 

「どうした? じっと見られるのも、なんとなし気恥ずかしいのだが……」

「いやいや。なんだ、いきなりの誘いだったろうにリーベやシャーリヒッタに付き合ってくれてありがとうってさ」

「ああ……いや、それはこちらの言葉だとも」

 

 ついチラチラ見ちゃってたみたいで、どうしたのかと尋ねてくるヴァールに誤魔化しがてら答える。実際、よくそんないきなりの話に乗っかって漫画喫茶まで行ったなって思うし。

 

 今の時期、WSO統括理事たる彼女にとっては一応バカンス休暇って扱いらしいので別にどこでどう遊んでいようとそこは誰にもとやかく言われる筋合いもないんだけど……

 さすがに倶楽部案件だのダンジョン聖教過激派だのサークルだのがわちゃわちゃしている昨今では、長期休暇とか言ってられずに結局、あちこちに駆り出されているっぽいのが彼女の実情だ。

 

 正直ね。貴重な休暇を台無しにされたことについて、彼女にはガチギレする権利があると真面目に思う。俺の夏休みとはわけが違うんだもの。

 だのにやっぱり生真面目なものだから、ヴァールは特にそういった感情も見せず、穏やかに笑って俺に言うのだった。

 

「自分で言うのもなんだが休み下手でな。特に今日は倶楽部への捜査や首都圏周りの対応も一段落ついたのでオフだったのをどう過ごすか迷っていたのだ。ハッキリ言ってあとはソフィアに任せて、ワタシ自身は人格の裏側で眠りに就こうかとさえ考えていた」

「ソフィアにも休みが必要なのは言うまでもねーけどよォ。オメーさんもたまには遊んでもバチは当たんねーと思うぜ、妹よォ」

「誰が妹だ、百歩譲ってワタシが姉だ。まあ……ソフィアにもそんな書き置きを残されていてな。どうしたものかと考えあぐねていた矢先に呼び出されたのだ。漫画喫茶なるもの、初めて利用したが良い余暇の過ごし方ができたと思うよ」

 

 シャーリヒッタにツッコミつつも話す。ヴァールもヴァールなりにストレス発散というか、気晴らしができたみたいでそれは何よりだよ。

 実のところソフィアさんも割と、ワーカホリック気味なこの子のことを心配しがちだからね。折りに触れ、こうしてヴァールが自由時間を好きに過ごしてくれることは彼女にとっても本望だろう。

 

 話を聞きつつもさて、と俺は机に座り、荷物を片付けつつもノートやら筆記用具やらを用意し始めた。

 今日の午前で粗方、自由研究に目処は立ったんだけど……あとは仕上げとして方眼紙にまとめた情報をわかりやすく記載して、発表の形に整えるという最終作業が残っていた。

 それを今日中に終わらせたいから、今すぐにとは言わないけどいつでも取りかかれるように準備してるんだね。

 

「公平さん、それってアレですか? 自由研究ってやつのー」

「ああ、まあ用意だけな。概ね形はまとまったから、あとは実際のレポートとして書き上げるだけだし。今は3人とゆっくり過ごそうかなって」

「……お邪魔じゃないですか? 父様。さすがにオレ達も、父様の仕事を邪魔してまで居座りたくはないかなーって」

 

 気を遣ってくれるシャーリヒッタの、心配そうな表情に笑みを向ける。気にしなくて良い、という微笑みだ。

 この子に限らずリーベもヴァールも、性格の差異こそあれみんな真面目で優しい健気な子達だからね。俺が宿題の仕上げを残してるってなったら、自分達が邪魔してるんじゃないかってつい思っちゃうんだろう。

 

 全然そんなことはない、むしろ俺こそ三姉妹の語らいに割って入るお邪魔虫なんじゃないかとヒヤヒヤしてさえいるほどだわ。

 両手を振って彼女らに言う。

 

「いやいや、むしろ今は俺がこうしていたいんだ。せっかくこうして現世に、システム領域の子達がまとまっていてくれてるんだからさ。ゆっくり語らっていてほしいよ」

「父様がそう、仰ってくださるなら……ありがとうございます」

「なんならリーベちゃん達もその自由研究、完成させるの手伝いますよー?」

「大丈夫大丈夫。本当にもう、あとは書き写すだけって状態に近いんだ」

 

 いやホント、時間にしてたぶん30分くらいで済む楽チン作業しか残ってないからね。

 午前中に頑張って図書館まで行った甲斐があったよ、これで俺の夏休みの宿題はオールコンプリートだもの。

 大手を振って首都圏まで行けるよー、なんて三姉妹に笑いかけると、3人ともホッとしたように笑ってくれるのだった。




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