攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
朝食を食べ終えての一時。システム領域に帰るって言ってもそんな切羽詰まった話じゃなし、多少優雅にのんびり過ごしても全然問題ない。
7時も30分を回れば優子ちゃんやアイも起きてくる。父ちゃんは今日は仕事だからすでにいないし、母ちゃんも8時すぎには仕事のため出かけなきゃならないので朝食を食べ始めている。
その間、俺と精霊知能三姉妹も席に残って話に興じている。特に優子ちゃんが今日は一人留守番の形になるため、寂しがってるみたいだしね。
氷がたっぷり入ったコップに入れたコーヒーを飲みつつ、俺はもそもそと箸を動かしている母ちゃんと妹ちゃんを見た。
「遅くても夕方には帰るからそのつもりでよろしく。まあ言っても行きも帰りも俺の部屋だから、外出っていうのもなんか微妙なんだけどね」
「システム領域……だっけ? あんたの魂の故郷とかどうとか。なんか中2よねー」
「まさか高校入ってからぶり返すとか思ってなかったなあ。蒼いコートとかもそうだけど、完全にそれって14歳の多感な時期に陥るアレだよねえ」
「むごい」
なんてこと言うんだ、いや自分でも思うところはあるけども。システム領域だの精霊知能だの神魔終焉結界だの、いかにも邪気眼ですねと含み笑いを自分でも浮かべちゃいそうだよ。
ただ言わせてもらうなら、そもそもこの世界そのものの仕組みが中2チックなんだ。つまり俺がぶり返したと言うよりは世界のほうからなんか勝手に寄せてきたという表現が正しい。
ワールドプロセッサさん中2説あるな……あと神魔終焉結界についてはネーミングだけは言いわけできないけど、デザインについてはアルマの世界のお偉いさん用の服を流用しているそうなので、そこについてはアルマが中2だからそこは明言していきたいスタンス。
『そんなデザインの服を毎度毎度、嬉々として身につけている時点で君が一番アレだよ。大体僕の提案を"おおっ! なんかカッコいいし良いじゃんスゲーじゃん! "と二つ返事で受け入れたやつがグダグダ喚かないでくれ』
ぐうの音も出せない。最終的にデザインヨシ! と指差呼称しちゃったのは俺なので脳内アルマの正論がまあ突き刺さること。
人はみな、心に永遠の14歳少年少女を潜ませているのさ……と黄昏混じりにハードボイルドな空気を出してアイスコーヒーを飲んでると、ところでと優子ちゃんがアレコレと質問してきた。
「システム領域ってどんなところなの? 土産とか観光地とかある? あったら私スイーツ系が欲しいなあ」
「えぇ……? どんなところって言われても、そもそも人の立ち入る場所じゃないから天地の区別さえないデータの混沌だよとしか」
「少なくとも150年前は精霊知能とワールドプロセッサが各々のタスクをこなすだけの、見るべきところも持ち帰るべきものも何一つない鉄火場でしかなかったな」
言われてヴァールとともに答えるけれど、俺達の記憶に残るのは150年前のシステム領域の姿でしかないんだよね。
薄暗闇の、上下左右の区別もなければ天地天空の区切りもない、情報だけがひたすらに流れ込んでは処理されて出ていくだけの演算領域。
ワールドプロセッサも精霊知能も心と姿こそ得たものの、ただひたすらに邪悪なる思念を打ち倒すために忙殺されているだけの何もない空間。それが俺達の知るシステム領域だった。
観光も土産もそんなもんあるわけがない。そもそも次元が違うんだから、現世に持ち帰れるものなんてそれこそ情報、記憶くらいのものでしかないはずだ。
……の、はずなんだけど。リーベとシャーリヒッタは薄く笑みを浮かべて、そんなことを語る俺達にノンノンと指を振って見せるのだった。
「今は全然違いますよー二人ともー。いえまあ土産とかは微妙ですけどー」
「見た目に関しては大ダンジョン時代が始まったあたりからシステム領域、相当変わってるぜー。現世を参考にして、それを模倣した表層オブジェクトを生成してるんだ。パッと見、日本に思えるかもだぜ」
「…………えっ、そんなことなってんの今!?」
「そんなバカな……」
怖ぁ……知らんうちに文明できてるじゃん。
あくまで模倣したガワを表層に貼り付けてるみたいだし、あくまでそれっぽくしただけで本質的には150年前と変わらないんだろうけど、そもそも何がどうしてそんなことしたんだ。
大ダンジョン時代が始まったあたりからってことはおそらく、現世をチラ見する精霊知能が増えたことによるものだろうけど経緯が気になるよ。
尋ねるとリーベが苦笑して、頭を掻きながら答えた。
「きっかけは私含め何体かの精霊知能が、オペレータ計画の進行度をチェックがてら現世を観察していたことですねー。初めて目にした人間社会の文化文明に感銘を受けて、それを精霊知能全体に共有化させたんですー」
「ああ……精霊知能は受肉して独立してないうちは、クラウド的に情報共有してるものな」
「はいー。そしたらそのー、ものの見事に精霊知能達がドハマリしちゃいましてー。いわゆる現世ブームが到来したんですねー」
「ブーム……?」
愕然とつぶやくヴァール。俺も、前からちらほら断片的なところは耳にしていたもののいざ説明を受けると、なかなか意味不明すぎて困惑しちゃうね。
精霊知能は受肉してないうちは、基本的な部分の情報は常に共有できているんだけど……そんな状態で現世に触れた個体が出た結果、あっという間に全体に人間社会のアレコレが伝わって影響をもたらしちゃったわけだ。
つまりはシステム領域の特質として、いわゆるクラウドネットワーク化しているがゆえに特殊な形でのムーブメントが起きてしまったという話らしかった。
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