攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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精霊知能統括担当、その名もアフツスト

 リーベとヴァールに引っ張られて都市部中央、1万もの精霊知能がひしめく中を一際前に出ている、いわば代表的なおじさんの前へ進む。

 設定年齢60歳すぎくらいかな? サウダーデさんと同年代くらいに見えるけど、当然精霊知能なので実年齢については外見情報なんて当てにならない。

 みんなそれぞれ自分の感性で姿を象ってるからね。

 

 ただ、目の前の男性については元より俺も知っている存在だから年齢だって知ってるよ……きっちり俺と同い年、つまりは500歳だ。

 邪悪なる思念によるファースト・アタックに際してワールドプロセッサ、コマンドプロンプトとともに人格を獲得したプログラム。すなわち初期型精霊知能。それが彼である。

 

 そう。つまりリーベ、シャーリヒッタ、ヴァールとも同い年なんだ。

 そして役職として担当しているところも彼女らに近しい。

 

 

 ──精霊知能統括担当、その名をアフツスト。

 

 

 システム領域内にて生まれたあらゆる精霊知能の頂点に立つという極めて重要な役割を担っている特殊なタイプの精霊知能の一体だ。

 

 そんな彼と向き合い、真正面から顔を見合わせる。精霊知能の頂点と、因果律管理機構。500年かけて初めての、システム領域における重役同士の対面って感じ。

 何万という精霊知能達がしんと静まり返る。なんだよ急に、やめてくれよ。アフツストくん見た目が見た目だから、これからヤキ入れられそうな気がして怖ぁ……なんですけど。

 

 怖じける山形公平の心をコマンドプロンプトとして持ち堪えつつ。俺は努めて穏やかに、微笑みをもって彼へと挨拶した。

 

「あー、どうも久しぶりというかはじめまして……俺、いや私はコマンドプロンプト。実は人格を得ていて、500年間姿を隠していた因果律管理機構だ」

「そうですね……はじめまして、ということになりますか。お初にお目にかかります、ワールドプロセッサより精霊知能統括の大任を預かっております精霊知能アフツストです。500年を経ての初対面、光栄に思いますコマンドプロンプト。我らがワイズ・オールドマン」

 

 渋い声で薄く笑い、目を細めて握手を求めてくる。それに応えながらも俺は、内心で新鮮な感覚を抱いていた。

 ……思えば初めて男性人格の精霊知能と接するけど、リーベ達ともヌツェンともまた違う雰囲気のやり取りになるもんなんだなあ。

 

 もちろんお互いに緊張は多少あるというか、アフツストは涼しい顔してるけどだいぶ強張ってるみたいで握手から動作に至るまで若干硬い。

 150年前までに見ていた時はもっと自然で流暢な動きだったわけなので、俺相手にどういう感情からかは知らないけれど、気を張ってはいるみたいだ。

 とはいえ悪感情でなさそうなのはたしかかな。微笑みとともに握手をしたまま、ダンディ同い年おじさんは嬉しそうに語る。

 

「不思議と、ずっと前からあなたの視線を知っていた気がします。改めて面と向き合って感じますよ……もしかして輪廻に乗るまでの間、システム領域をご観察などされていましたか?」

「ん……まあずっととは言わず、時折だけどね。邪悪なる思念に対抗するためにこちらの戦力や状況を見測る必要があったし、精霊知能達の動きも把握しておきたかったから。ワールドプロセッサだけは、下手に覗いてると気づかれかねないからあまり見てはいられなかったけど」

「なるほど……道理で。あなたがこれまで身を隠されていた事情はすでに承知しておりましたが。それでもなお、我らを温かく見守っていてくださったのですね。深く感謝いたします」

 

 感激したように頭を下げるアフツストにちょっぴり罪悪感。いやー実際のところはと言えばマジで利己的というか、邪悪なる思念を倒してリセットするためだけのためにしかシステム領域の状況を観察してなかったんですけども……

 でもまあ、せっかくそう思ってくれているならわざわざ否定することでもない、かなあ?

 

 彼と感覚を共有して聞いているのか、周囲の精霊知能達も何やら笑ったり泣いたり喜んだりとざわめきだしている。

 実は時折見てましたーなんて聞かされたら、いろいろ反応もするよなあ。ここについてはもう言うだけ野暮ったい気もするし、各々の受け止め方をしてもらいたい。

 

 コマンドプロンプトとしても、精霊知能達への愛情はたしかにあったんだから強ち間違いでもないからね。

 ただそれ以上に、邪悪なる思念を滅ぼすことに専念していたというだけだから。本当に、それしか頭になかったってだけだし。

 

「ついにご帰還されたコマンドプロンプトには、今のこのシステム領域の姿はなかなか新鮮なものに映るでしょう?」

「あ、それはうん。なんか現世ブーム来てるんだって?」

「ええ。私もこれこの通り、威厳がありつつ渋い感じにキメています。おかげで若い精霊知能達からは畏れられつつもそれなりに人気を獲得できていますよ」

 

 渋く笑いながらもなかなかお茶目なことを言う。サウダーデさんのようにどっしりと地に足の付いた落ち着き振りというよりは、どこか飄々とした、織田にも通ずるような軽さが少し見られるね。

 左右のリーベとヴァールも呆れたような、それでいて相変わらずだなーって感じに気安く笑っているよ。

 

 ちなみに元々は精霊知能間の人事調整担当だったリーベは同世代ながら役職上、彼の直属の部下だった形になる。

 ヴァールについても同様で、アドミニストレータ補佐という形で対邪悪なる思念の最前線にずっといたから微妙に役職的には離れているけど、立場的にはアフツストの部下だったわけだね。

 

「久しいなアフツスト。少し見ない間にずいぶん洒落た着こなしと物言いになったな、似合っているではないか」

「なあに、恥ずかしい話だが現世かぶれだよ、ごっこ遊びと変わらない……久しぶりだなヴァール。リーベはつい最近ぶりだが、シャーリヒッタも併せ3人ともコマンドプロンプトに迷惑をかけていなかろうな?」

「モチのロンですよー! 私達はもはや公平さんのファミリーなんですからー! 家族、家族!」

 

 とはいえ生まれたタイミングは同一だから、シャーリヒッタともども本質的には対等な4人だ。二人も彼に、気さくに挨拶を交わしている。

 他にも初期ロットとも言える精霊知能はいるけど、特にシステム領域中枢に関与しているとなるとやはりこの4人がトップなんだよなあ。




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