攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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匿名だけど匿名じゃない山形くんちゃんねる

 さて都市中枢ビルの上層、オフィスエリアを抜けて少し通路を行くと、途端に風景が怪しいものに変化してくる。

 都会の仕事場って感じの風景が突如一変して、黒一面の世界に白のラインが入った光景が広がるのだ。

 

 邪悪なる思念との最終決戦の場となったはじまりのダンジョン。アレに近い光景だ。

 S級モンスター並の巨躯を誇っていた三界機構が動き回れるだけの広さと幅、大きさがあった向こうとは違ってこっちはサイズ自体はやはりビルの1フロア相当だけれど、視覚的な意味ではそっくりさんって塩梅である。

 

 怖ぁ……

 急に不穏になるじゃん。なんていうか脈絡のなさがアレだね、ホラー系の悪夢っぽいね。

 

「なんでこんなデザイン? 毛色が急に変わって風邪引いちゃいそうなんだけど……」

「あー、それはワールドプロセッサの領域を示すための区切りですねー。なまじ現世チックにしてますから、キッチリ分けるべきところは分けとかないとーってことで、こうしてますー」

「ワールドプロセッサはそもそもこうした、オブジェクト変更による娯楽というものに興味もないようでしたからね。我々としても懸念の一つではあるのです、御方にとって気を休められる瞬間が今のところ、ないのではないかという点は」

「えぇ……?」

 

 ワールドプロセッサさん、めっちゃメンタル面の心配されてるよ。

 根を詰めすぎて精神的にヤバいんじゃないの? なんてかなりガチめの懸念抱かれてるじゃん。

 

 というか精霊知能達にこの手の趣味に走ることを許した本人がそれってのは、さすがにちょっといただけないかな……

 アイツもアイツで邪悪なる思念を滅ぼしたことで余裕は生まれてるはずなんだけど一体どうした?

 まさかまた別の方面で、同規模の心配事でもあるのか?

 

「現世や概念領域のアレコレが原因か? いやでも、ぶっちゃけシステム領域的にはそこまでの負担でもないだろうに」

「バグスキルだのスレイブコアだの言ったって所詮、現世での騒動でしかないからな……加えて実働は現地のオペレータや精霊知能主体だ。たしかに、あの方自身にはかつてほどの負担はないはずだな」

 

 俺もヴァールも訝しむ。今現在、現世方面でシステム領域も絡む揉めごとこそ起こってはいるものの、それだってこないだまでの詰みっぷりからすればまるで微風にも等しいものなはずだ。

 なんならあいつ自身、大きな負担になっていただろうセーフモードを解除できたことで力が有り余ってるとかなっててもおかしくない。500年の緊張や不安、絶望から解き放たれたという心理的な解放感もあるだろうし。

 

 だったら多少ははっちゃけてもおかしくないと思うんだけど、一体どうした?

 たまに人のステータスを使って脳内のバカと漫才してるけど、まさかそれくらいしかストレス発散方法を知らないとか? ワールドプロセッサが? そんな馬鹿な!

 

 

『誰が脳内のバカだ馬鹿野郎! ……多少は分からなくもないよ、そこだけは。会ってみれば分かるだろうけど公平、あのワールドプロセッサも結局のところ、人格を得ているなりにそれらしいことになってるってことなんだと思うよ。別に心配することじゃない、むしろ喜ぶことかもしれないね、君的には』

 

 

 素直な心が思わず本音を漏らしたところ、見事に反応した脳内のバカが何やら思わせぶりなことを口にした。

 かつてワールドプロセッサだったモノとして、この世界のワールドプロセッサが今、陥っている状況に心当たりがあるのだろうか。

 

 ただ心配するようなことじゃなく、むしろ俺にとってみれば喜ぶことかもしれないって話はどうなんだろう?

 まあもうじき直接会うわけだし、その時に聞くなりなんなりして推し量れることもあるだろう──

 

 なんて思っていた矢先だ。ステータスが変更された。

 称号が変わったのを感知したのだ。

 

「もう目と鼻の先だぞ、アイツ……《ステータス》」

「父様?」

 

 この期に及んでステータス宛にメッセージを送ってくるワールドプロセッサに、呆れながら俺はステータスを開いた。

 

 

 名前 山形公平 レベル972

 称号 誰が誰との漫才ですかおぞましい

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 名称 あまねく命の明日のために

 名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING

 名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─

 

 称号 誰が誰との漫才ですかおぞましい

 解説 あなたももう少しそこの愚物に厳しくていいと思います

 効果 なし

 

 《称号『誰が誰との漫才ですかおぞましい』の世界初獲得を確認しました》 

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……たしかにもうすぐお会いできますがそれはそれとして、抗議すべきは直ちに抗議します。コマンドプロンプト、表現は適切にお願いします》

 

 

「もう直接会いに来いよ!!」

「ワールドプロセッサからのメッセージですか? ……なるほど、これはひどい」

「あの方、まさか公平さんの称号欄使ってストレス発散してるとかじゃないですよねー?」

「割と頻繁にメッセージ送りつけてるのは知ってましたが、マジでプライベートなことですねこれ……しかもその度初獲得ボーナス付与されてるから、こんなんでも父様のアドミニストレータとしてのお力はさらなるパワーアップを果たしてますよ」

 

 思わず叫んだ俺に、精霊知能達の反応。

 アフツストさえドン引きする有り様だよこれ。まさかとは思うけど本当にリーベの言うようにアイツ、俺のステータスに愚痴を刻むことでストレス解消とかしてるんじゃないだろうな……




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