攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ラスボス一歩手前くらいのエリアは、なんとなく荘厳な雰囲気であってほしい気がする

 もうここまで来たんなら直接言えば良いものを、わざわざ称号欄を弄ってまで抗議してくるワールドプロセッサに呆れるやらツッコむやら。

 とりあえずこっちとしてはさっさと出向いて対面して、面と向かって人のステータスをどう思ってるのか問題についてお話ししなくてはなるまい……と腹を括る思いでさらに、黒と白だけのエリアを進む。 

 やがて階段が見えてきて、俺達はそこで一旦止まった。

 

「長い階段だな……外からはこんなのなかった気がするけど」

「途中からワームホールを隔てて別空間に繋がっていますからね。ここから先は許可された精霊知能しか自由に立ち入りできない区間になります」

「今のところかわいいかわいいリーベちゃんとー、シャーリヒッタとその業務を一部引き継いでるヌツェンとー、アフツストの4人になりますねー」

「あと言うまでもないけど、父様は当然フリーパスです! なんならワールドプロセッサ以上の権限さえお持ちの方に、許可なんてそんなもの必要ありませんから!!」

「そ、そう……」

 

 立場というか在り方を考えたらフリーパス以前の話──コマンドプロンプト本体に限って言えば、因果律の存在するところはどこでも私のテリトリー──なんだけど、まあ端末でしかない山形公平にも同じ対応をしてくれているのは手間が省けて助かる。

 一応神魔終焉結界に多少の仕込みはしてるから無許可でも入れなくはなかったんだけど、わざわざ呼んでくれてるのに忍び込む必要もないしね。

 

 あとヌツェン、本当にシャーリヒッタの業務を一部担当してるんだな。現世におけるインターフェイサーの組織と陣頭指揮をこの子が取るにあたって、彼女自身が望んだことなんだけど大丈夫だろうか?

 ワールドプロセッサのやつ、リーベやヴァールの例を見るに割と平然と無茶振りしてそうだ。

 

 なんならアドミニストレータとしての俺でさえ使い潰そうとしてた疑惑だってあるからね。

 これについてはコマンドプロンプトも同様の思惑だったから別にいいんだけど、まさか普通の精霊知能に対してさえもブラック上司みたいになってないだろうかと心配になる。

 

「ヌツェンもこの先に? あの子大丈夫? 心が疲れたりしてない?」

「なんの心配ですか……? ヌツェンの様子は私も折に触れ確認していますがよくやってくれています。シャーリヒッタの全業務の3割ほどを、すでに任せられていますからね」

「一応労働環境もオレがバッチリ見てます! ワールドプロセッサのペースに付き合うと、マジに倒れかねませんからね!」

 

 唐突なメンタルケアの心配に困惑するアフツストだけど、シャーリヒッタはさすが本職ゆえかキッチリと後輩のことを守ってやってるみたいだ。

 ワールドプロセッサと精霊知能は存在の規模や演算能力からして違うからね。そもそも端末に過ぎないあいつのペースで仕事なんてしたら、いかな精霊知能であってもオーバーヒートしかねない。

 

 そしてそれを分かっているため、ヌツェンの心身についてはシャーリヒッタがキッチリ面倒を見てあげているらしかった。

 そう、ワールドプロセッサにも言ってやりたいけど労働環境は健全なものであるべきなのだ。騒動が一段落した今、そして新たに精霊知能を生み出していこうとしている今であればシステム領域のホワイト企業化プランだって起こせるだろうしね。

 

 いろいろ、相対したら話したいことが多いな〜なんて思いつつも階段をついに登っていく。

 黒と白だけの空間に、やはり白の枠線だけの階段が天井まで伸びる。どこまで続くのか果てさえ見えない階段ながら、進んでいくとやがて金色の空が見えてきた。

 ワームホールの接続先──つまりはワールドプロセッサの居城だな。

 

 夜明けよりもなお明るく眩く、そして優しい光が満ちる空。

 まるで西洋画の天国のような光景だけど、なんかやけに神々しいね。

 そのまましばらく階段を登るとまた、ワームホールが開いている。今しがたの空間は通路のようなものなのか、なんだか演出めいてるなあ。

 思わず首を傾げ、アフツストに尋ねる。

 

「……この光景、なんか意図でもあるの? アフツストの趣味?」

「いえ、これはワールドプロセッサによるものですね。なんでも万一にも現世にある正規手順で自分に面会する者が訪れた時用の、ある種のカムフラージュだとか」

「ああ……なるほど。万一どころか那由多もない可能性だけど、0じゃない以上は用意するよな」

 

 今やほとんど失われたけど、それでも一応ながら現世の存在が、システム領域に正規手順でアクセスする方法はある。

 ある種の救済措置というか、イースターエッグみたいなものというか……世界における隠し要素みたいなものと捉えてもらえるといいかもしれない。

 その方法でワールドプロセッサに会えたなら、なんでも一つだけ望みを叶えるというありがちなイベントが実は用意されてたりするんだよね、この世界。

 

 今さっきのやけに荘厳な空間は、そうした手順を使ってアクセスしてきた者に向けた光景なわけか。

 150年前には見られなかったものだから、これも現世を参考にしてオブジェクトを設置したものなんだろうな。自身を精々どこぞかの創造神にでも偽装させるための、それっぽい演出って意図も込められていると見たよ。




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