攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
おそらくは不死に近い偏在性を獲得しているだろう異世界の神の権能。それをこの世界の管理下として受け入れるため、ワールドプロセッサは策を講じた。
異世界の神の魂を確保した上で精霊知能用の規格へと150年かけてアップデート。先にかの神の人格部分だけをこの世界のシステム側に引き入れて紐づけしたのだ。
これにより、分かたれた半身との繋がりを持ったまま、この世界の存在となったモノが生まれたこととなる。
そしてその状態の精霊知能が己の権能を取り戻せば、異世界の神は完全にこちらの領域下に収まることとなり……それをもって、異世界の神絡みの問題は粗方片付くというわけだった。
「以前あなたの前に現れた偽りの神の器。アレもつまるところ、権能を己の支配下に置くために委員会が製造したモノでしょう。そのままでは指向性さえ定義づけられないほどにスタンドアローンな力そのもの、であれば制御できるだけの器を用意すれば良い」
「お前はそれを、異世界の神の魂部分を器とすることで実現したんだな。元からして権能と同一たる存在だったんだから、そりゃあ器としては最適か」
この世界のいかなるものからも独立した存在とも言えるかの権能は、委員会とてそのままでは制御できないと手を焼いたのだろう。
それゆえに器を造った。魂なき、哀れなる肉体だけのモノ──偽りの神の器。かつて親元にて遭遇した化物の正体とは、言ってしまえば制御装置に他ならなかった。
今回、ワールドプロセッサが画策したのもそれと同質の物と言える。制御しようのない力を器に収めることで、制御可能にしようというのだ。
委員会との違いはその器が正規品だということ。しかしこの世界の規格に合わないものだから、長い年月をかけて精霊知能という形で適合化処置を施していたってわけだね。
嘆息とともにリーベが呻いた。
「理屈は分かりましたが……よく異世界の神の魂が受け入れましたねー。普通拒否くらいしてもおかしくないかもですよー?」
「たしかになァ。知らぬ世界に迷い込んだと思ったら力を失って、その世界の創造主に確保された挙げ句にわけわかんねー手術を施され、上位存在になったなんてよォ」
「その神がどのような気質の神かは知らないが、あまりに振り回されっぱなしでは反発の一つもしたくなるだろうな」
シャーリヒッタやヴァールも同意を示す通り、たしかに無茶苦茶な話ではあった。
異世界の神からしてみれば、この世界に来てからのあらゆる物事が踏んだり蹴ったりもいいところな理不尽祭りだったろうに。
まず魂と権能が切り離されるなんて事態からして不幸極まりない。普通ないよそんなこと、力だけどっか飛んでいくなんて。
その上で意識のある魂のほうはワールドプロセッサに捕まって、必要な措置とはいえ存在を書き換えられて精霊知能に改造されたってんだから……
リーベの言う通り、反発の一つや二つしたっておかしくはないんだよなあ。
「異世界の神の魂は、むしろ快く精霊知能適合化を受け入れてくれました」
しかし、ワールドプロセッサはすぐさま反論した。
まるで問題ないと、それどころか向こうもこちらの無茶振りを快諾してくれたと、微笑みとともに告げたのだ。
「事情を説明した時点で、かの神は積極的に協力を申し出てくれたのです。己の権能が悪用されていることに責任感を抱き、自分の手で始末をつけたいと……力を取り戻したいという思いももちろんあってのことですが、自主的に意志を示してくれました」
「なんとも、心ある神なのですな」
「元の世界では水と豊穣、調和と協調を司っていたそうです。おそらくはそれゆえでしょう、極めて理知的で、穏便で、献身的な性格の概念存在でした」
「……穏やかな方、なんだな」
目を細めてつぶやく俺に、彼女はええ、と返した。
異世界の神……邪悪なる思念に居場所を食われ、逃げ延びた先でも不幸に見舞われたというのに未だ、己が司っていた事象を意識してか相応しい振る舞いをしているのか。
敬意に値するよ。今や精霊知能になっているのだろうけど、きっとシステム領域においても素晴らしい役割を担ってくれるだろうね。
さておき事情は概ね把握した。となればいよいよ、実際にその神とご対面するべき時だ。
ワールドプロセッサが右手を天高く掲げた。同時に開くワームホール。接続先はシステム領域の中、ここからそう遠くない座標。
「かの神は一ヶ月前、精霊知能としての適合化措置を完了させ、いよいよ活動を開始しています。とはいえ公の場に姿を表すのはこれが初めてのこと。多少の不作法はお許しください」
「それはもちろん。会えるのが楽しみだよ」
「そう言っていただけると幸いです──さあ、現れなさい」
俺達への前置きもそこそこに、ワームホール先にいるナニモノかに呼びかける。精霊知能の気配が一つ……件の元神、現精霊知能だろう。
やがてワームホールからおずおずと、少しずつ人型が姿を表した。
銀髪を伸ばし、一部後ろに結った女性。年齢想定20代後半くらいだろうか、白い肌に星を煌めかせたような瞳を持つ美女だ。
現世社会の影響か、動きやすい白地のシャツにジーンズを着こなしている。ふーん、結構背が高いじゃん、俺より二回りくらい高くてスタイルが良い。ふーん。
どこか緊張した様子で教壇はワールドプロセッサの隣にまで歩くその美女は、俺達のほうを向いてぎこちなく笑う。
そしてワールドプロセッサは、そんな美女の名を明かすのだった。
「ご紹介します……精霊知能ミュトス。彼女こそ私が用意した、異世界の神の権能に対してのカウンターです」
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