攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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今回更新と同タイミングで外伝「大ダンジョン時代ヒストリア」も公開されましたー
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー


Imitation Trinity Cosmos

 戦闘力はともかくコミュ力って点においてはすでに決着ついちゃった感があってなんだか悲しい。なんたる陽キャ力だろうか、ミュトスさん!

 そんな俺の内心はさておいて対峙する。向き合う彼女は何度かどひーどひー言いながらも、ようやく腹を括ったみたいだった。

 緩い顔をしていたのが、鋭い目つきになってこちらを見据えてくる。

 

「こーなりゃ私も覚悟しました! よござんす、御注文通りの全身全霊、今ここに示させていただきますとも!」

「あ、先に言うけど本当に魂ごと燃やし尽くすような出力は駄目だからね? 自壊しない範疇、常識的な範囲での全力を見せて欲しい」

「合点承知の助! もちろんわかっていますとも、せっかく拾ったこの魂、ちょっとやそっとで粗末にはしません!」

「ガッ……なんて?」

 

 真剣かつ真面目なノリに切り替えてもなお、やはり染み付いた言葉遣いのレトロ感は滲み出ていて困惑させられる。

 怖ぁ……言ってることは分かるけど昨今聞かないフレーズがちょいちょい出てきてるよ。

 

 助けを求めるようにワールドプロセッサを見ると、彼女はそんな俺の視線を一切気にせず説明を始めた。

 こっちもこっちでスルースキル全開か! せめて反応くらいしてくれよ!

 

「簡潔に説明します。ミュトスは精霊知能としてはステータスを持たせる方向で考えており、件の超特例的な力もスキルの形で与えてあります。とはいえ実際にステータスとして付与するのはやはり、現世にて受肉するのとタイミングを合わせることになりますが」

「お前ちょっとはこっちを見ろよ……って、やっぱりオペレータか。気配は邪悪なる思念とか謎の力のソレと混じってうっすらしてたから、そんなことだろうとは思ってたけど」

 

 ミュトスの魂から感じ取れる気配は実際複雑で、俺がこれまでに得たいくつかの称号効果による感知能力に引っかかっているところがある。

 《警告:生きとし生けるすべてのものへ》での邪悪なる思念感知とか、《心いたわり寄り添う光風》での能力者感知とかね。

 

 残念ながらミュトスが持つという謎の力については未だ不明なものの、この時点でかなりカオスな魂の様相をしているんだなと窺えちゃうよ。

 そんなことまでしてミュトスを精霊知能に仕立て上げたワールドプロセッサの冷徹さは、世界の危機が過ぎ去ってなお健在のようだった。

 

 そんな世界維持機構が、そこでやっと俺を見て首を振った。

 オペレータなのかと納得した俺に、訂正を入れたのだ。

 

「いいえ、コマンドプロンプト──ミュトスはあえて言うなら擬似的なアドミニストレータです。件の力をスキルとして組み込むには、オペレータの規格ではまったく容量が足りませんので」

「…………アドミニストレータ!? ってことは彼女は、アドミニストレータ用スキルを!?」

 

 まさか! って感じだ、俺の他にアドミニストレータが発生したのか!?

 ってことは、ということは……あのこっ恥ずかしいポエミーステータスの持ち主が俺だけじゃなくなる!? オレだけスキルがやたらポエミーじゃなくなる可能性があることになるのか!?

 

 降って湧いた朗報に思わず顔を煌めかせてワールドプロセッサを見る。ミュトスには申しわけないが期待の視線を全力で投げかける。

 彼女は──しかして、それについても首を左右に振った。否定の意を示したのだ。

 

「いえ、一切持っていません。件の力を組み込んだスキルは、アドミニストレータ用スキルではありませんから。他にも持たせてあるスキルはすべてオペレータ用です。あなたや、これまでの正規アドミニストレータとは違いますね」

「あ……そう。ちなみにそのスキルって名前はその、特別製?」

「ある意味ではそうですが、アドミニストレータ用スキルとは区別をつけるべく情緒表現は避けています。ご安心を、あなたのスキルだけが依然としてポエミーですとも」

 

 一瞬、驚愕とそこはかとない歓喜に包まれた俺をすぐさま落胆が襲った。俺の仲間、ポエミー仲間はいないのか……やっぱり俺だけスキルがやたらポエミーなんですね……

 というか若干茶目っ気めかすのやめろ、ウインクするなこんな時だけ! クスリと微笑むワールドプロセッサにぐぬぬと唸りながらも、俺はミュトスを見た。

 

 俺達の会話が落ち着くまで待ってくれていたらしい、準備運動なんてしながらこっちを観察していた。

 そしてそれもどうやら終わりらしく、軽く何度か飛び跳ねて彼女は構えた。吹き上がる闘志と戦意。俺ほどでないにしろ軽く風が吹くほどに魂の出力が上がっていく中で、その顔が獰猛に笑みを刻むのを確認する。

 

「それじゃあ行きまーすっ! 本当に一撃だけしか入れられないので、その旨よろしくお願いしまーす!」

「はーい! 遠慮なく来てくれー!!」

 

 何らかの制限があるんだろう。ワールドプロセッサもさっきそんなこと言ってたしな、一撃コッキリだと言うのを強調してくる。

 だったらこっちも、きっちり真正面から受けきって看破するのみだ。彼女に与えられた力の正体、そして分かたれし権能への対抗手段とやらを。

 

 さあ来い! 意気込み俺も構える。

 互いの魂が放つ圧が力場さえ形成する中、ミュトスはそして、鋭く叫んだ!

 

「スキル発動──《イミタティオ・トリニタス・コスモス》!」

 

 英語? にしてはどこか違和感がある。とにかく横文字らしい長い名前のスキルを発動する。

 察するにそれが例の、擬似的なアドミニストレータ用スキルか! 眩く発光するミュトスを具に観察すると、彼女はさらに、力強く大きな声で宣言した。

 

 俺とアルマを2人揃って驚かせる、極めて衝撃的なその正体を高らかに叫んだのだ!

 

「大いなる3つの力が一つ! 断獄さんの御加護を今、ここにぃっ!!」

「────何ぃっ!?」

『馬鹿なっ! 断獄だとっ!?』

 

 さしもの俺も、さすがの邪悪なる思念もこれには驚愕するほかない。断獄……三界機構が一柱、断獄!

 かつて異世界のワールドプロセッサだった存在の力こそが、ミュトスに宿りしスキルの正体だと言うのか!?




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